PMP受験合格の記録(2024年5月)
はじめに
2023年10月から勉強を開始して、翌年2024年5月に合格しました。約半年間の学習で合格しました。自分の経験が他の方にも役立てば嬉しい&受験学習をしながら考えていたことを忘れないように、という思いでその記録を書き残します。
PMP試験について
PMP (Project Management Professional ) は、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が認定する国際資格です。プロジェクトマネジメントに関する十分な経験と体系的な知識を持つことを証明します。複雑なプロジェクトでは、マネージャがPMPを持っていることを要求する場合や、PMPを昇進要件とする会社もあります。
日本の「プロジェクトマネージャ試験」(IPA)と比較されることがありますが、PMPにはいくつかの違いがあります。PMPは3~5年以上の実務経験が必要で、3年ごとの更新もあります。一方、IPAの試験は実務経験や更新を要求しません。これらの違いがメリット・デメリットとなるかは人それぞれですが、私はPMPの方にメリットを感じ受験を志しました。
私についてと、PMP受験のきっかけ
私は新卒で中堅SIerに入社し、インフラエンジニアとして経験を積みました。その後、国内金融系企業のシステム部門で、共通インフラの企画・構築・保守を担当しています。SIer経験者には「お客さん側の担当者」としてイメージしやすいかもしれませんが、私は自分をユーザ側のプロジェクトマネージャー(PM)と自称しています。
エンジニアとPMは求められるスキルセットがまったく異なり、一人前になるまでに非常に苦労しました。人よりかなり遅れたと思います。今も完全にできているとは言えません。PMの仕事を体系的に学べばもっとスムーズに仕事ができるのではと考え、PMP受験を決意しました。
そして情報処理安全確保支援士(無事合格!)の試験が終わった2023年10月に、(セールで2000円ぐらいだった)35時間のオンライン学習を開始しました。
PMP受験の真のメリット
ネット上には「PMPを取得すれば年収1,000万円になる」「転職に有利」といった情報が多く見られますが、転職を考えていない私にはそれほど大きなメリットではありません。
それよりも、PMPの学習を通じて、「PMとしての理想像(Tobe)」や「PMとしてのマインドセット」を学べることが重要です。
例えば、メンバー間のコンフリクトにどう対応すべきか。スケジュール遅延や予算不足などの問題が発生した際には、まず何をすべきか。PMPの試験問題はそのようなプロジェクトの「あるある」ケーススタディで構成されており、学習の中で数をこなすことになる模擬試験もケーススタディ形式です。ものすごく大量のケーススタディをこなしていくことで、ToBe像やマインドセットを否が応でも自分の中にインストールすることになります。
PMPのケーススタディで得られた知識は、現場でも活用することができます。そして現場で得た経験をもとに、知識を修正し、深めるというループが望ましいはず。ですよね。
また、私は予測型(ウォーターフォール)しか経験がありませんが、PMPではアジャイルやハイブリッドの問題が多く出題されます。これを学ぶことでPMの私がアジャイルの思想に慣れ、アジャイルのプラクティスをチームに導入して改善活動に役立てることができました。
全体として、学習を通じて得られた実践的な知識とスキルと、それを現場に反映させて成果を得られたという、この一連の良いループを経験できたのでPMPを学習・受験して本当によかったなと考えています。
PMPの学習方法について
私のおすすめの学習方法についても記載します。
多くの方が指摘しているように、PMPは過去問題が公表されておらず、試験問題が頻繁にアップデートされます。そのため、最新の模擬試験を受けることが非常に重要です。
私はPMI公式の「Study Hall Essential」(49USD)を活用しました。本があった方が良いですが、なくても大丈夫です。この「Study Hall Essential」の練習問題や模擬試験をひたすらこなすことで合格を目指せます。2024年4月ごろから日本語の模擬試験問題も利用できるようになりましたが、基本的には英語です。ブラウザの翻訳機能を使えば問題ありません。本番も日本語で受験する場合、機械翻訳が使用されるため、事前に慣れておくことが大切です。また、英語の原文を見る癖をつけることも重要です(例えば、「Plan」と「Management」がどちらも「計画」と訳されるため、調達計画がPlanなのかManagementなのか区別がつかないことがあります)。
もうひとつ。PMPは試験の要件が良く変わるので、常に最新の情報に当たるのが良いです。特にPMBOKガイドが改修された場合は影響が大きいでしょう。
特に、ITTO(inputs tools and techniques and outputs)を暗記するようにガイドしているような情報は古いので、参考になさらないでください。
Tips(監査・卒業証明書等)
ネット上にはほとんど情報がないのですが、経験したことを書いておきます。
PMP の Application(申請書)を書いたが、監査対象(Audit)に選ばれた。10%ぐらいでランダムに選ばれるらしいが、非常に気落ちした。
上司にお願いをして、DocuSignで電子署名をしてもらって数日後にAuditをPassした。部下のキャリアアップに協力的で、英語に拒否感がない上司で本当によかった。
学校の卒業証書について、英文のものを取り寄せろというTipsがネット上にあるが、英文の卒業証書は不要。自分で翻訳を書いて、卒業証書のスキャンと合わせて翻訳文を送ればよい。これはPMIの説明にそう書いているので、よく読んで。
最後に
PMPを受験してひと皮むけた気がする。継続して学習することが一番大事だと思うので、これからも学習は続けていきたい。
また、来年からは大学院(情報システム学修士)に行こうと思っているので、そのあたりもそのうちアウトプットしたいです。