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カプチーノ・リレー②

 イタリア、言わずと知れたコーヒー大国です。どんなに田舎の小さな駅、もしくは駅近に、観光地となればそこかしこにバールがあります。
 朝の出勤の時、お仕事がひと段落したとき、おうちに帰る前に、友人たちとの憩いの時間に・・・朝の早い時間から、いろんなときにバールに人々が集まります。

 多くの人は、カフェ(=エスプレッソ)を頼んで、抽出中に店員さんと話をして、出てきたカップにお砂糖をざっと入れて、小さなおさじでチャチャっと混ぜてガッと飲んで「またくるね〜」と言って去って行く人に向かって、店員さんは「あんた、さっきも来ただろ?笑。また来いよ〜」という具合です。なので、大きな飲みものカップを持ってまちを歩く人を、たぶん、見かけていません。

 日本でもすっかり日常的になったシアトル系コーヒーを出すスターバックスは、イタリア国土には1店舗だけあるそうです。場所は、流行や新しいものに敏感なまち、ミラノ。お店のタイプは「Starbucks Reserve」で、日本では目黒川沿いにある店舗と同じタイプです。
 どちらもオープン時は大変な盛り上がりで、店の前から長蛇の列ができていたとか。目黒のお店のことは私もリアルタイムでテレビで見ていましたが、飲食のために行列に並んで入店を待つのが苦手なので行ってません。ディズニー・シーやランドのアトラクションやショーには並んじゃうんですけどねぇ。

 昨年訪ねたナポリやシチリアのバールでも、必ずカプチーノを飲みました。一杯だいたい2.5ユーロくらいです。エスプレッソの苦味、引き立たせるミルク、あぁおいしい、ティラミスでも食べたくなっちゃう。ミルクたっぷりのシアトル系カプチーノに舌が慣れていたから、余計においしく感じました。
 いろいろ飲んだ中で一番好きだと思ったのが、名画ゴットファーザーの舞台にもなったタオルミーナの鉄道駅にあるバールのカプチーノ。古そうな佇まいの店のカウンターには、何かの引きずりキズがたくさんあったのを、なぜか覚えています。カウンターに立つ、白いシャツに赤いベストを着た気前のよさそうなお姉さんが作ってくれたものは、苦味と調和するまろやかで甘いミルクの味と、上にかけてくれたシナモンの香りがやさしくて、一人旅の疲れを癒してくれるものでした。見出しのお写真が、そのときに飲んだカプチーノです。
 店の奥の方にあるパチンコ台に座るおじさんの様子を見ながら、閉店時間までゆったりと過ごし、その後に乗るナポリ行きの夜行列車を待つ活力を補うことができました。そうそう、おじさんが遊んでいたものは、日本のチンチンじゃらじゃなパチンコじゃなくて、木製っぽい作りで、電飾も液晶画面ない、レトロなパチンコ台でしたよ。イタリアのビール・モレッティを片手に、パチン、パチンと玉を打つおじさんの姿を眺めるのは、私にとってはなかなか乙なものでした。

 ちなみに、自動販売機文化が根付いている日本人に馴染み深い缶コーヒーや、そもそも自販機自体もほどんど見かけませんでした(私調べ)。
 ひとつだけ、確かナポリだったと思いますが、駅のプラットホームで、カップにコーヒーを淹れてくれるベンダーを見つけ、珍しさで買ってみたんです。「バールに行ってコーヒーを買う時間はないが、どうしても飲みたい!」っていうときにはちょうどいいかもなぁ。時間があればやっぱり、バールにいきたい、誰かに淹れて欲しい、というのが正直な感想です。

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 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。この記事を書きながら、自分でいれたカプチーノを飲みました。ビスケットでもあれば一緒に食べたいなぁ、と思いました。そのワケは・・・また明日の記事で。


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