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ラリック皿の心配ごと・・・。

きものサロン和の國は、熊本県菊池市「きもの屋・いばらき」の2号店として、​2003年12月にグランガーデン熊本ビル(旧:熊本電気ビル)のオープンと同時に誕生した、着物専門のセレクトショップだ。

その当時より、店内に入るとすぐ斜め左の李朝家具の上に、カミさんの名刺を置いている。その名刺入れに使っているのは、アンティークの「ラリック製」の皿、約80年前の品だ。
ルネ・ラリックは、19世紀~20世紀のフランスのガラス工芸家、金細工師、宝飾デザイナー。 アール・ヌーヴォー、アール・デコの両時代にわたって活躍した作家と言われている。

この皿は、手のひらサイズ。貝殻をモチーフにしている。
かれこれ20年程前になるだろう。
京都の平安神宮手前のガラスの古美術店で求めた。
乳白色が誠に美しい。

購入した年は、和の國誕生の年。
季節は今頃だったか。
桃をのせて食べたら、さらにおいしかった。

案ずるより、産むが易し。
勿体ない気もしたが、カッコつけて名刺入れに使った。
正直、不安もあった。
僕たちが店内奥で接客中に、盗難にあわないかということだ。
「目ざとい人がいてバッグにスッと入れられたら怖い!」と。
その対策として、すぐ持ち出ししにくいように、裏面を両面のガムテープでくっつけた。
心配ご無用、誰も見向きもしてくれない。
掃除のとき、かえって手間になるくらいだ。

オープンから1年もたたずして、ガムテープを外した。
無用な心配のことを、「杞人之憂/きじんのうれい」 と言うらしい。
この四字熟語に出会えたことが、僕のいちばんの収穫だった。


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