見出し画像

希望を持てない人は子供を持たない

日経新聞のこんな記事が話題になっておりました。

若者が子供を望まない理由「日本に希望ない」

記事の内容を要約するとタイトル通りです。
「日本で子供を育てることに希望を見いだせない」という考えを持つ親世代が増えているという話です。
「日本に生まれるのがかわいそう」
「人口推計を見ると暗くなる」
「自分の生活ですらあやういのに」
「政府や社会は何も変わらない」
こんな意見が並んでおりました。
ネガティブな記事に慣れている自分も、とうとうここまできたのか……とストレートな記事のタイトルにショックをうけました。


そういえば、20年前に『希望格差社会』という本が話題になりました。
一億総中流と呼ばれていた時代は過去のものとなり、非正規雇用や弱い立場の人から徐々に希望が失われ、それが社会全体に広がってしまうという内容です。様々なデータや過去の歴史をもとにして日本の現状とこれから訪れるであろう未来について解説されています。
出版後すぐにテレビや週刊誌でも取り上げられ、大いに話題となりました。
当時ニートだった私も読破して衝撃を受け、自分のおしりに火が付いた気持ちになったのを覚えています。

あの本から20年。
現実はどうなったかというと、本を追い越すようなスピードで希望が日本の社会から失われているような気がしてなりません。
その証拠が冒頭のニュース記事です。
希望格差社会では、希望を失うのは非正規雇用社会的に弱い人々のはずでした。
ところが社会のボリュームゾーン、ややもすれば平均よりも恵まれているであろう出産・子育て世代から希望が失われつつあるというわけです。

このニュース記事の反応をチェックするためにSNSを覗いてみて更に驚きました。
子供をあきらめる人々について厳しい意見が多かったのです。

・国に丸投げするな
・甘ったれるな
・自立心が感じられない
・海外に移住するという考えはないの?

こんな感じ。
余裕がなくなっているなと思いました。
たかがネットの意見と思われますが、いくつも重なってくると影響を受ける人もいるんじゃないでしょうか。

みんながみんな余裕をもって暮らすことすらできなくなってしまったことが、希望がないという空気を作り出しているのかもしれませんね。
明日がもっと良くなるという希望を持てるような社会になることを切に望みます。

追記

このnoteを書くために20年前に読んだ『希望格差社会』のあらすじを見てみたのですが、今はその道を想定以上のスピードで進んでいる感じがします。
こういった本で不安をあおるときは大げさに言うことも多いんですが、現実社会が本を追い越しているのですから、そりゃあ希望が見出しにくい社会になっているのかもしれませんね。