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40歳のおっさんが電気工事士を受験した話 その5

前回のつづき)

いくらかの苦労を経て、なんとか学科試験を合格することができました。

そして学科合格者だけが技能試験に進むことができます。
この技能試験にも合格すれば、晴れて第二種電気工事士となることができます。

技能試験の仕組み

電工二種の技能試験は、試験会場で工作器具を使用して配線を仕上げる実技試験です。
これほどの規模の国家資格で技能試験を取り入れているものは他になく、殆どの人が悩み、足をすくわれる試験でもあります。

技能試験は候補問題という形で13個の問題がすでに公表されていて、その中から出題された1問を40分以内に完成させます。
4割まで間違えることができた筆記試験と違い、技能試験は欠陥が1つでもあると不合格です。1ミスで終了です。
代表的な欠陥事例も紹介されているので、その欠陥を出さないように完成させなくてはいけないのです。

時間が足りない?

「技能試験?まじで時間が足りねえよ」
「結構忙しかったよね。あの試験は」

数少ない友人の中に2人も電工二種を持っている人がいたので、アドバイスをもらうことをも兼ねて一緒に食事をしました。
1人が早々に飲んだくれてしまったのでグダグダになってしまったが、2人が口をそろえたのは技能試験の忙しさでした。
40分という制限時間は短く、どの解説サイトなどでも時間との戦いであるとかかれています。
技能試験は1つの欠陥で不合格+時間との戦い。つまりミスなくスピーディに完成させなくてはいけないのです。

お金も足りない?

技能試験はお金がかかります。
試験会場では配線やスイッチ類は配られるのですが、器具は持ち込みです。
自作の器具類は持ち込み×なので、販売されているものを購入することになります。
基本的なもの一式でだいたい13,000円程度かかります。
しかしこれではぶっつけ本番となるため、練習ができません。
そうです、器具類に追加で練習用の電線やスイッチ類を購入する必要があるのです。
ネット通販などでは、13の候補問題〇周分という感じで売られております。
1周だと復習ができず、3周だとだらだらしてしまいそうなので、私は器具類+2周分のセットを購入しました。
これで37,000円ほどの出費です。(めっちゃ高いですが、銅線類が高騰しているので今後値上がりが続くと思います)

金で時間を買う?

手先が器用で呑み込みが早い方ならばこれで合格を十分目指せると思います。
しかし、技能試験用のお助け器具が世の中にはあるのです。

有名なところでケーブル類をまとめておくことができるその名も合格クリップ。
コンセントのケーブル取り外しや結線するときの補助となったりする合格マルチツール。
さらに候補問題すべてに登場するのの字曲げ作業を簡単にするのの字曲げツール。
そして何度も作業で行うケーブル剥ぎを握るだけで完了させる通称ガッチャン。

手先が不器用な私はこれらを全部買いました。
はい、11,500円の上乗せです。
クッソ高いんですけども、これらを使って時間短縮になるのなら買ってもいいかなと思いました。
そして何より、一発で試験に合格したいという気持ちが購入を後押ししました。
再度受験になると次は半年後であり試験時期は忙しい年末、そして1万円弱の受験料が再度発生するのです。
絶対に今回で決めるという気持ちで器具類+αを揃えました。

物が届かねえ

ところが困ったことが起こります。
学科試験に合格した人々が一斉にネット通販で器具や電線を購入したため、
品切れを起こして届くまでに結構な時間がかかってしまいました。
注文したものがすべて届くまで日数を消費してしまいました。
もし受験する人がいるならば、発表までに購入するものを決めておいて合格したらすぐに注文しましょう。

最初にやったこと

ネットで注文したものが届くまでにやったことがあります。
それは動画を見ること。
今は本当に便利な時代になりまして、技能試験の作業手順を動画で知ることができます。
YouTubeで一番人気なのは、器具メーカーのホーザンさんの解説動画。
1~13までのすべてを丁寧に解説してくれています。
1つの動画が約1時間なので、全部見ると13時間かかりますが重複する作業もあるため、後半は1.5倍速で視聴しました。(それでも10時間ほどかかる)
最初は全く分からない状態からのスタートですが、実際に作っていく様子を解説を交えながら知ることができます。
全部見終わったころには苦手意識を持っていた複線図の書き方やケーブルをむく長さがなんとなく分かってきます。
ホーザンさん以外にも動画はたくさんありますので、自分に合ったものを見つけましょう。
私はホーザンさんを倍速しながら2周、そのほか欠陥事例の動画や複線図の動画を何度かチェックしました。
スマホで寝る前に観たりしたもの合わせると、試験まで合計で30時間くらいは実技試験関係の動画を見ていたような気がします。

複線図を書ければなんとかなる

これまでに何度か出てきた複線図という単語ですが、これが書けるようになると技能試験の合格が近づきます。
逆に全く書けないと合格は難しいでしょう。

技能試験はこのように単線の図で出題されるのですが、


単線図

これを正確に書き起こした図が複線図です。


複線図

一本の線でも実際には何本もの線が使われていて、結線するべき線の色なども書き込まれています。
ケーブルの長さや結線するときのリングの大きさも記入されるので、この通りに作れば問題を完成させることができます。
当然これが間違っていたりすると不合格に直結します。
なので1~13すべての複線図をしっかり書けるようになれば、あとは正確性と時間の戦いとなるわけです。
複線図を書く時間も当然40分に含まれます。
できれば3分以内に試験問題を複線図に書き起こし、作業に取り掛かるのがベストです。

※ごく一部の受験生の中には複線図を書かない人もいます。
ですが彼らは体で覚えているレベルに習得している人だったり、すでに電気工事の仕事をしているようなレベルの高い人たちなのでマネはしない方がいいでしょう。

動き出すまでが遅かった

ホーザンさんの動画もとりあえず1周観た。
発注した工具類も届いた。
電線などの消耗品も届いた。
時短のお助けグッズも届いた。
さあ、あとは動くだけ……なんですが、動き出すのがとても遅かったです。
電線などの消耗品類が入った段ボールを開けると、こまごましたものがたくさん入っていて取り出すのが面倒!と思ってしまい、しばらくそのままにしていたところ時間だけが流れていったのです。
試験まで1ヶ月を切り、3週間を切り、そろそろやべえなと動き出したのが7月5日。技能試験日の2週間前のことでした。

(つづく)