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女性を狙うマッチングアプリを使った悪質勧誘(後編)

前編の続き)

女性をターゲットにしたマッチングアプリを利用した悪質勧誘の実態です。
今回は2例目の紹介と簡単な解説となります。

一緒に住む気持ちは無いのね……(B子さんの場合)

B子さんはマッチングアプリを使い始めたものの、あまりいい男性と知り合うことができませんでした。
そんなとき素敵な男性からいいね!が飛んできたのです。
ルックスもよく、マイページの写真からも明るいオーラが感じられるほどイキイキとした好青年といった様子。B子さんもいいね!を押して見事マッチングしました。

そして初対面の日、イメージ通りの男性が来たことにB子さんは歓喜しました。
彼は気遣いもできて話も面白く、なにより飽きさせません。
将来についても真剣に考えているようで、B子さんに初対面ながら好印象を持っていることを包み隠さず話してくれたのです。
もう一度会いたいという思いが通じたのか、彼の方から次回会う話が提案されてB子さんも当然それを受け入れました。

「実は自分の上司にぜひB子さんを紹介したい」

2回目のデート数日前、彼からこんな提案が飛び出てきました。
いわく、ついアプリで気になっている人がいると職場で口を滑らせてしまったことを上司に聞かれてしまい、そんな素敵な女性なら俺が仲人するかもしれないんだし、俺にも会わせろとしつこく言ってくるそうです。
B子さんは驚きましたが、『素敵な人』『仲人』という前向きな言葉に上司の同席を了承することにしました。仮に上司に認めてもらえば、彼との関係が一気に進展するかもしれません。

そして当日、約束通り上司を伴って彼はやってきました。
上司は「せっかくの楽しい席にすみません」とお詫びをしてから席に付きました。
さすがに社会人経験の長い上司は会話の選び方がうまく、彼を立てながらB子さんも褒めてくれるという素敵な時間が流れました。

「でも、これからの人生、備えがないとだめですよね。」
上司のそんな言葉から流れは変わりました。
「住む場所というのは大事な資産になりますし、ローンが払い終われば自分のものになって家賃からも開放されます。いざとなれば人に貸すこともできて大家にもなれるんです。そういえば、うちの会社でこんなことやっているのですが……」
とテーブルの上にマンションのパンフレットを取り出してB子さんに説明を始めたのです。
さすがにB子さんは眉をひそめました。
ですが、男性とB子さんの今後についての猛烈なプッシュである可能性もあります。

しかし、マンションの見取り図に視線を落とした瞬間、B子さんの熱は完全に冷めてしまいました。
薦められていた物件は二人で住むにも窮屈なつくりであるワンルームマンションだったのです。
この時点で相手の男性には、自分と一緒に暮らす気持など一切ないことがわかりました。
不自然に話に加わった上司もそのことは知っているのでしょう。
「課長、いいカモを見つけましたので、一緒にプッシュしてくださいよ!」とでも頼まれたのかもしれません。
もしかすると、普段から上司と組んでこの勧誘をしているのかも……
落胆は怒りに変わり、B子さんは無言で席を立って店を出ました。

解説

マッチングアプリの利用者が増えて規模が大きくなってくると、変なことを考えたり詐欺まがいのやり方でお金を巻き上げようとしている人が紛れ込んできてしまいます。

ターゲットとして、ある程度収入があって自立している女性が狙われていると思います。
お金を持っていないと商品を買うこともできませんよね。
具体的には、ワンルームマンションであればローンを組んで買えそうなレベルの勤め先や年収を持っている女性が標的になりやすいのでしょう。

仮に高いもの買わされたとしても、すぐに売れば何とかなるというわけでもありません。
こんな詐欺みたいな売り方をしなければダメなような商品や物件なので、リセールバリュー(売る時の価格)は全く期待できないと思ったほうがいいです。
A子さんB子さんは断ることができましたが、中にはさらに巧妙な勧誘をされて購入してしまった人もいると考えられます。婚活中の詐欺被害なので周りにも相談できず泣き寝入りするしかないのでしょう。

勧誘に引っかからない方法はシンプルで、
『会ってすぐに高価なものを買わせようとしてくるのを断るだけ』
なのですが、これが難しかったりします。
相手はルックスもよく人当たりのいい魅力的な異性で、「家具は高いかもしれないけど二人の将来のため」「一生ものの出会いを大切にしたい」「僕を助けてほしい」なんて言われると断りにくかったりするようです。
セールスのにおいがしたらすぐに気持ちを切り替えて席を立ちましょう。
無理な引き止めがあった場合は警察を呼んでもかまわないと思います。
相手はあなたを騙す気まんまんの詐欺師なのですから。