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ぎょうざの満州の聖地 老神温泉東明館 宿泊記

ぎょうざの満州という外食チェーン店をご存じだろうか?

首都圏と大阪・兵庫に展開してる餃子チェーン店である。
もちもちであっさりとした食べやすい味で、餃子といえば満州というファンも多い。

そんなぎょうざの満州好きに聖地と呼ばれる場所が群馬県にある老神温泉の東明館である。
何を隠そうこの温泉旅館は、ぎょうざの満州が経営している旅館なのだ。
満州に限らず、餃子好きを自称するのであれば一度は訪れてみたい場所である。
まずは旅行記の前に東明館のふたつの特色を紹介したい。

特色1:365日同じ宿泊料金でリーズナブル

宿泊料金は365日いつでも同じ価格となっている。
曜日ごとの価格差やお盆や年末年始の繁忙期値上げが一切ないのがわかりやすく潔い。
(そのため土曜日や連休中は基本満室となるのでご予約はお早めに)

宿泊料金は近々値上げされる予定で、2023年3月から1人(中学生以上)1泊朝食付きで7500円となってしまうがそれでも十分安い。
お安く良質な温泉を楽しむことができるのはうれしい。

特色2:館内にぎょうざの満州がある

プランは素泊まりか一泊朝食付きのみ。
あれ?夕食がないじゃないか!と思うがそうではない。
ここはぎょうざの満州の聖地である。館内フロント横にぎょうざの満州があるので、営業時間内であればいつでも何度でも餃子の満州を味わうことが可能となっている。
これが東明館最大の特色といえるだろう。

そのため

14:00チェックイン前にぎょうざの満州で遅めのランチ

15:00チェックイン

16:00おやつをぎょうざの満州で

17:00温泉

18:00夕食にぎょうざの満州

19:00温泉

20:00風呂上がりにぎょうざの満州

というローテーションも可能である。
お風呂から出て3分で満州、餃子を食べて3分で自室でのんびりという夢のような経験をすることができるのだ。

フロント横にすぐ満州

2023年1月某日
妻と自家用車で老神温泉へと向かう。
高速道を降りてしばらく一般道をすすんでくのだが、ひとつ心配があった。
雪である。
老神温泉近くにはスキー場もあるので雪道の運転は心配の種だったのだが、一部日陰に雪が残っているものの除雪はされており、運転には問題がなかった。
老神温泉郷に入るとやや道が狭くなるところもあったが、そこを抜けると視界が少し開け、川沿いに出ることができた。そして川向こうの建物に見覚えのあるキャラクターが描かれていた。


東明館の外観。ランちゃんの存在感。

ぎょうざの満州の公式キャラクター『ランちゃん』である。
今日の宿はここだということが一目でわかった。
駐車場もわかりやすく案内がされていて、スムーズに車を停められた。
入口に行くとこんな案内看板が出ている。
東明館は日帰り温泉も利用ができるので、さくっと楽しみたい人にも便利なのだろう。もちろん宿泊客でなくても館内のぎょうざの満州は利用可能だ。

フロントはリフォームされていてとてもきれい。
大き目のソファがいくつか置いてあるのでチェックイン時にフロントでストレスなく待つことができる。
そしていやでも目を引くのがフロントすぐ横にあるぎょうざの満州館内店だ。


ロビー横のぎょうざの満洲。宿泊客でなくても利用可能。

営業時間内11:00~21:00であれば何度でも利用可能。ここでしか食べられない限定メニューもあるそうなので今から楽しみが止まらない。
宿泊費は前払い。

ファースト満州

チェックインが終わると自分の部屋に行く。
案内や荷物持ちはなく、館内マップに蛍光ペンで部屋の場所がチェックされた紙を渡されるだけ。
部屋移動までのスタッフさんとの世間話が苦手な人にはいいだろう。
客室はいたって普通。8畳程度の部屋と通称『あのスペース』と呼ばれる広縁(ひろえん)もばっちりある。椅子に座れば川沿いに並ぶ旅館と自然を楽しむことができる。

カーテンを開けると川と橋、そこに建つ老神温泉の他の宿を望める。

布団は押し入れから自分たちで出してセルフで敷くシステム。夕食の時間が皆一定ではないからこうなっているのだろう。
寒いかなとも思っていたが、室内は快適な温度になっており過ごしやすそうだ。加湿器が置かれていないので冬場は乾燥を気にする人はいるかもしれない。
「うーん、おなかがすいたかもしれない……」とチラッと妻のほうを見る。
満州に行きたいオーラを出すと、乗ってくれた。
お昼は少なめにしていたので、チェックイン直後だが早速満州に行く。(午後4時)
といっても、部屋を出て3分かからず店に行ける。なんだか不思議な感覚だ。
時間が時間なので自分たちのほかには1組だけ。
席にはたっぷり余裕がありそうだ。
メニューを見ながら限定品や食べたいものを選んでゆく。


どれもお手頃価格なので頼みすぎてしまわないように注意が必要。
3割うまい!と主張するランちゃんのお皿で餃子のタレを作り、料理を取り分けて食べていく。


エビチリは普通の中華料理屋さんならば定番メニューなのだけど、実はぎょうざの満州で食べられるのはここだけという限定メニュー。
今回は注文しなかったが、酢豚もここでしか食べることができない。どちらも手間暇時間がかなりかかる料理なので通常の満州では提供していないそうだ。
味はもちろん美味しい。レギュラーメニューにしないのがもったいないと感じてしまうほど。

会計は宿泊料金にツケるのではなく、その都度会計。
2人で2000円もあれば小腹を満たすには十分すぎる量を頂けるのはうれしい。

娯楽は卓球のみ

すぐに自室に戻ろうかとも思ったが、妻からちょっと館内を探検しない?と提案があり、お風呂の場所などを確認するため少し探索することにした。
といっても館内は広くない3階建て。1階の案内板にあるお風呂の場所確認とプレイルームを見に行く。
プレイルームといえば小さなゲームセンターだろう。こういった旅館にはワニワニパニックと初代北斗の拳のスロットあたりが置かれていることが定番だったので、ここでも何かゲームができるかもしれないと思っていた。

ところが、そこにあったのは一台の卓球台。


老夫婦が熱心に卓球をしていた。
たしかに温泉といえば卓球だ。
このあと30分ほど遊んでみてわかったが、すごく面白い
スペースも広くとられていて飽きずにずっと楽しめた。曜日や時間帯によっては卓球待ちが起こるかもしれない。プレイルームの前には休憩室があり、こちらも十分すぎるくらいのスペースが確保されているのでストレスなく卓球を待ったり、風呂あがりの休憩をすることができるはずだ。
部屋に戻って支度をして風呂に向かう。

老神温泉

むかしむかし、赤城の神様と日光の神様で争いがあり、赤城の神様が傷を負ってしまった。
地元まで帰ってきて弓で地面をつくと温泉が湧きだし、その湯につかるとみるみる傷は治り、追いかけてきた日光の神様を追い返すことができた。
老神とは神様を追い返したという伝説からついた名前であるという。
(開湯伝説にはこの他諸説あり)

老神温泉には何本かの源泉があり、宿によってその泉質には違いがあるという。
東明館の温泉はほのかに硫黄のにおいがしており、そこまで熱くないため冬場はずっと入っていられそうな心地よさがあった。内湯が一つ露天風呂が一つ、サウナはなく温泉だけを楽しむつくりになっている。
露天風呂は季節柄かなり寒いが、外の景色を見ながらのんびり入れるのは家では絶対に味わえないのでついつい長湯してしまった。
寝る前と明日の朝にも入りに来よう。

ポケモン合宿と卓球

おなかもそこそこ満たされ、温泉にも入ったので部屋に入るとゴロンと寝転がる。
餃子→温泉→ごろ寝が自然な流れですぐにできるのは幸せというほかない。

実は最近の我が家はポケモンブームになっていた。私も妻もそろそろエンディングが見えてきそうなくらい進んでおり、熱量が上がっていたのだ。というわけで二人とも温泉にスイッチを持ってきて遊ぶ気満々だったのだ。
二人とも進行状況が近いので、どこのジムリーダーが強いとか、ポケモンが倒れてしまったなどの実況をしつつ遊ぶ。


妻はスカーレット、私はバイオレット

気が付くともう夜の7時30分。
満州のラストオーダーが8時30分なので、部屋を出てお腹をすかせるため卓球を30分してみた。
卓球はすぐ疲れてしまうかもという予想は杞憂で、飽きることなく楽しむことができた。
温泉+卓球の魔力なのだろう。

セカンド満州

本日2回目のぎょうざの満州。1日に2度ぎょうざの満州はもちろん人生初。
明日の朝食時間は遅めでお願いしてあるので、こころゆくまで食べようと思う。

秘伝豆。ハイボールは妻のオーダー。

秘伝豆。山形県産の大きいサイズの枝豆らしい。
ファースト満州で食べたチャーハンの中に入っていて美味しかったので単品でオーダーした。
ハイボールと写っているが、私は酒を飲まないので妻の飲み物である。


塩唐揚げはお酒にぴったり(と思われる)仕上がり。
サクサクいけてキャベツも美味しい。


このどんぶりはやみつき丼という名前。
何がやみつきかはわからないけど、癖になるおいしさ。
後日ツイッターで検索してみると、満州のやみつき丼の虜になっている人が多かった。
ぱっと見、小皿にあるのはザーサイだと思ってしまうが、大根の中華風漬物。
美味しいらしく妻がみんな食べてしまったので味は不明だが、きっとおいしいのだろう。

ちょっと頼みすぎかも?気のせい気のせい。
ここはぎょうざの満洲なので、当然焼き餃子水餃子も頼む。
水餃子は特製タレで満腹でも食が進む。


本日の〆はマンゴーアイス。
大満足で部屋に戻り、2回目の入浴にでかけた。
お風呂から戻るとこの日は朝が早かったこともあり、急激な眠気に襲われてすぐに寝てしまった。

目が覚めると7時を過ぎていて、8時半に予約してある朝食まで風呂に入ることにした。
風呂で倒れてしまうと自分も旅館の人も大変なので、入浴前にはしっかり水分を摂ることにしている。
外を見ると寒そうなので、露天には出ずに内湯にどっぷり浸かる。
そこまで熱いお湯でもないので、このままではいつまでも入ってしまうと思い名残惜しいけどもお風呂を出て妻と一緒に朝食に行く。
食事場所はもちろんフロント横の満州だ。

とても珍しい中華風の朝食

バイキング以外で旅館の朝食といえば和食と相場が決まっている。
鮭の塩焼きにお豆腐に卵焼きなどが並ぶのだが、東明館は宿泊客限定で中華風の朝食が出る。
中華風朝食は私が知っている限りここでしか食べられないので、とても珍しい体験ができる。
餃子チェーン店経営ならではといったところだ。


メニューはこんな感じ。
納豆やのりなど和食チックな部分も多いが、中華風の炒め物や煮物、なにより餃子も2つ出る。
用意されている食事以外にごはん、おかゆ、まぜごはんはセルフで食べ放題、コーヒー、ジュース、牛乳などもセルフで席に持ってくることが可能だ。ランちゃんの描かれたティーカップも珍しい。


ランちゃんティーカップで飲むコーヒー

朝食を意識してなのか、どれも優しい味付けで無理なくおいしく食べることができる。
ともかく非日常的な体験となった。
朝食後はチェックアウト時間まで自室でゴロゴロしながらポケモンをしていた。
旅館を出れば老神温泉おススメの散歩コースなどもあるのだが、寒いし一部雪も残っているからという理由で部屋でぬくぬくゲームをしてしまったのは少し反省すべきところかもしれない。

お土産コーナー

チェックアウト時にお土産を買うことにした。
普通の旅館ならお菓子や地元の食材が並んでいるのだが、ここのお土産は餃子や食材が中心である。ついつい60個入りの餃子を2パックも買ってしまった。

別売りだがランちゃんがデザインされたナウい保冷バックもあるので4~5時間であれば問題なく保冷して持って帰ることができる。
さらに館内で着る作務衣(後ろにはランちゃんデザインされている)やオリジナルTシャツも販売しているのでコレクターアイテムとして買い求めるものいいかもしれない。作務衣は着心地が本当に良かったので、買う寸前まで気持ちが傾いてしまった。

まとめ

ぎょうざ好き、満州好きにはたまらない場所。
まさに聖地と呼んでいいかもしれない。
良質の温泉から出てすぐにできたての美味しい餃子を食べることができるし、旅館では固定されがちな夕食時間に縛られることもない。営業時間内であれば何度も利用できるのはとにかくうれしい。
リーズナブルでおひとりさまも利用しやすく、気軽に利用できるのはセールスポイント。
大量にお酒を飲む人でなければ、ひとり宿泊費+2千円でお腹一杯になることができる。
なにより全国的にみても珍しい旅館で味わう中華風の朝食は貴重な食事体験になるだろう。
土曜や連休中は予約が取りにくく、隣近所の部屋にうるさい人がいるとかなり音が漏れてくるという、防音の面がやや気になる点があるかもしれないが、餃子と温泉に特化した宿は周りの友人知人にもオススメしたいと思う。
近くにスキー場もあるので、泊まらずともスキー帰りに温泉に入り餃子を食べるという使い方もできそう。
行く季節によっても印象が変わるのではないだろうか。
妻もぜひまた訪れたいとお気に入りの様子だったので、近いうちに足を運んでみたいと思う。