「生き延びる」、から「生きている実感」へ
失業中の今、どうやって「生き延びる」のか。それが最優先だろう。
節約しまくり、お金を使わないようにして、貯金の残高を眺め、後どのくらい生きられるか考える。
それが日常になっている今。
数日前から、「これでは生きている甲斐がない」という意識が持ち上がってきて、でも思うように動けず、悶々としていた。
そんな中、昨日、数ヶ月ぶりのライブ。
10人限定。
楽しみにしてくれているみんなに会いたい気持ちは募るが、東京の感染者が異常に増えている不安、実施していいのかな。
そんな気持ちを抱えながら、電車に乗ること2時間。
会場は逗子海岸が一望出来る個人宅。
窓を開け放つと海風が通り抜け、トンビが目の前を飛ぶ。
風下に演奏者。
風上にバッチリマスク着用のお客さま。
これなら私はマスクをつけず、お話ししながら演奏できるという深いご配慮だ。
遠方からの方もいるので、入り口で全てのマスクを取り替え、手指の消毒。
演奏中は各自持参のお飲み物のみ。
マスクをした皆さんと私の距離は2メートル。
目の前に広がる海と、4ヶ月ぶりに誰かに聴いてもらう、バンドネオンの響き。
演奏の予定がなくても、クオリティーをキープするために毎日毎日練習してきた。
正直、虚しかった。
マスクから覗く、皆さんの眼差しが、音楽とともに柔らかくなってくるのがわかる。
この日のために、メールで打ち合わせをして譜面を作り、一生懸命練習してくれたトッシーさん。
熱の入った演奏、素晴らしかったよ!
10年前に一度、セッションしたけれど、昨日のリベルタンゴは気合入ってました!久しぶりの共演、ありがとう!
実はこの日集まったメンバーとは、10年くらい前から参加していた長野の山奥のイベント「廃校の音楽祭」で知り合った。
いつも会っているわけじゃないけれどみんな、懐かしい顔ぶれ。
このライブを企画してくれたフミコさんは、こんな状態になってから何かと救援物資を送ってくれたり、励まし続けてくれた。
彼女の行動力と、日置邸のやっちゃん、みゆきちゃんのご協力、そして集まってくれたみんなのおかげ。
最後の曲を弾いていたら、なんだか今まで突っ張って頑張ってきたのが急に崩壊したような感覚があって、涙が溢れてきた。
ライブの後は、フラダンスチームのダンスのご披露もあり、これがまた、優しくて、柔らかくて、温かくて。
ベランダで海風を受けながら、横並びに立っていろんなこと話した。
ああ、こんな時間が、必要だったんだよなあ。
そして、本当に必要なことは、工夫してみんなで協力すれば必ずできる、ということを逗子のみんなは教えてくれた。
ライブは、できます。
想いさえ、あれば。
ありがたいことに少しずつ、小さなライブのご依頼がある。
これからはすぐに諦めず、ちゃんと一つ一つのご依頼と向き合って解決策を探り、ライブを続けていきたいと思う。
もちろん、状況はチェックしつつ、柔軟に。
ふみこさんが作ってくれた注意書き。可愛い、、、。
でも、考えようによっては、本当に聴きたい集まりたい少人数の中で演奏するということは演奏者にとっての理想なのかもしれないと思う。
今のこの危機を、無駄にしない。
そしてやっぱり私にできることは、バンドネオンを演奏することなんだ。と腑に落ちた。
大きな海と自然、リアルに感じる人との繋がりや笑顔。
元気になりました。
最後はみんなと、エアーハグ笑。
ありがとう!ありがとう!
大好き!
photo by Shinobu Yagi
みなさんのサポートは、音楽活動を続けるため、生きていくために、大切に使っていきます。そして私も、誰かの小さな心の支えになれますように。