君島わさび

詩 日記

君島わさび

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廃線

廃線の線路がカタカタと揺れるのは 幾年前のお別れがそこにあるから 青空が流れていく 余韻を残していく 今日はなにもがんばれなかったよ ぜんぶ君のせいだよ 水のない水槽で泳ぐ魚たちは 自分が誰なのかさえ解らないだろう 考えすぎたけど なにも変わらなくて 生温い風が吹き抜ける ぜんぶ知ってたみたいに 青空が流れていく 余韻を残していく 今日はなにもがんばれなかったよ ぜんぶ君のせいだよ 今日はなにもがんばれなかったよ ぜんぶ君のせいだよ 音楽仲間が歌ってくれました フ

    • クリスマスの夜

      百貨店の匂い身に纏って あの子は通りを駆けていく  街路樹が青く燃えている 約束の時間まであともう少し 婦人科の坂道を下って 女の子は路地に消えていく 神様なんてこの世界にいないと知る  制服のスカート 夜風にゆらゆら 今日はロビーにツリーが飾られるんだよ それだけで嬉しくなったよ  真っ白のベッドの上で 少女は夢中で日記を書いてる 渋滞の列の先を見つめて 僕はハンドルから手を離した カーブする湾岸線のむこうに 柔らかな光が灯っている もう2度と元に戻らない世界

      • オーケストラピットの恋

        オーケストラピットより遥かな空を震わせる音 世界中を包むように優しく狂おしく 君のSolo 見つめ合う ふたりの秘密 オーケストラピットより 深く水の底を這う音 沸き起こる拍手ににやりと笑って 君のSolo そして踊る タクトの秘密 最終楽章終わって 空っぽのホールになっても きっと大丈夫 擦り切れないで弦 耳に残るメロディ もう一度鳴らして どうか きっと大丈夫 燃え尽きないで恋 不協和音の夜 ナースコールみたい泣いてる 天使を呼ぶための 合図をするから 聞かせてほし

        • 水夫のいない船/曳航

          遙かなる海の向こう 異国の君を想う 長い手紙を書いていた 長い夜に揺れながら もう君は居ないのに 僕は君に導かれる 水夫のいない船のうえ この旅は続く --- ひき潮が騒めいて ふたり見つめ合う あの日にはもう二度と 戻れない 砂浜に天使の羽が そっとこぼれて 壊れた時計の針が 動きだす いかなきゃ 僕も明日へ未来へ いかなきゃ 僕もいかなきゃ 地下鉄の窓に映る 漂流者達も 何処かへと向かってる 暮らしがある 曳航の月明かり 道を照らして 負けない

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          ありふれた水曜日

          玄関の前でなみだを拭うの パパとママの前では良い子であるため 完璧な人生 望んで守って 帰るべき場所を探しつづけて 眠れない夜にとどろくイメージ 教室で突然に暴れてやるんだ! 悟られないようにつぎはぎの笑顔 イタンになれない異端児の笑顔 完璧な人生 望んで守って 帰るべき場所を失いつづけて

          ありふれた水曜日

          ダイアモンド

          ガラスに映る裸のふたりはjunkの人形みたい 街中みんな鋭い眼で突き刺しあう 君を守りたい クリニックの先生の言葉一つ一つを思い出して またちいさくちいさく傷ついてる 君を守れない テレビをつけたら異国の笑顔が歪んでいる もうベッドにもぐって眠ろう したたかな ナミダ流して今 アンモナイトになる 水夫のない小舟 岸辺に打ち上げられて雨が降る 時間が全てを曖昧にするならば 何も意味がない 月灯りシーツに積もる 君は天使になり損ねる 僕はそっと部屋をあとにして したたかな

          ダイアモンド

          パジェロ2000(大雪の空港)

          君島くん なんだか幼子の頃にもどったみたいだね 大雨の放課後 玄関でみんなお母さんの迎え待つみたい うすのろの生活 そのしがらみ 忘れちゃいそうな 空港の駐車場 真っ白に染ま 待合室で 君と笑った ビジョンに臨時ニュース 100年にいちど悪魔気圧 まるで世紀末 そんな歳末 職員室のコーヒー蘇る 旅は台無し でもブルーじゃない UFO待ち この この 感じを捜していた 心のどこかで いつでも 車の雪をはらって 湾岸線すべる パジェロ2000 ターミナルの誘導灯 バックミラー

          パジェロ2000(大雪の空港)

          死人と会えるファミレス

          飛び下りるための川に橋が架かる  疑いもなく渡る午後の日 失業中の地下鉄の光 冷たくて 君の声をまた忘れてしまう 死人と会えるファミレスで僕はどんな顔 リトルリーグ補欠の夕暮れ 母さん泣いてる 生まれてきたのがこんなでごめんね 咳の出る風邪をひいた日雨が降る 細胞腐ってアンモナイト 大好きな先輩死んだ その日付 その涙また忘れてしまう かなしい顔もうしなくていいって微笑む 天使が消えた放課後の椅子 母さん待ってた 生まれてきたのがこんなでごめんね 火照る身体から何が起

          死人と会えるファミレス

          潰れたイブニングドレス

          地下鉄で潰れた イブニングドレス 憎たらしいけど可愛かったって笑う 彼はもうこれからあの人だけのもの 幸せそうな二人 瞳に焼きついてる さよなら 思い出が頭を通り過ぎる 私 ほんとうに好きだったって笑う ああ 階段の先 改札の向こう 土砂降りの雨が降って 交差点の信号機が点滅している 私の恋はこれでもう終わり  ほんとうにもう終わり 今日はありがとうなんて言った馬鹿 今日はありがとうなんて返した大馬鹿 ああ 知らない匂い 彼の匂い やわらかな胸の痛み でも一度でも 意地

          潰れたイブニングドレス

          この世界には音楽がある

          雨のホームはパンの匂いがする 君に会いにいく レインコートは青 やわらかな発見に口笛吹いて 君に会えるまで あともう少し 1992年の音楽を 聴いている 私が生まれる ずっと前のメロディ でもそれは私の胸に電流流す 君に会えたなら伝えたいんだ もう 泣かないで この世界には音楽がある もう 泣かないで この世界には音楽がある 西棟のベッドで君は眠っている そっと もう 泣かないで 真実は君にいつもウソをつく 時間はやがてそれ暴く 人は勝てない 逃げても傷つくって微笑んだ

          この世界には音楽がある

          帰ろう

          バス停で振り返りキミの部屋を探した 同じ色のカーテンに十字架が貼られてた 優しい心は全部キミが教えてくれたけど 同じ時を刻むのがこんなにも奇跡だとは 知らない 知らない 教えておいてよ 知らない 知らない 僕らまた会えるね うん! 帰ろう 帰ろう ふたりの家まで 帰ろう 帰ろう いっしょに帰ろ 黒い服の人たちが手のひらを合わせている 真実を解くようにナミダを流している 煙が青空にゆっくりとのぼっていく それが見えなくなる頃お腹が鳴ったんだよ 食べよう 食べよう テーブル

          さくら

          誰もいない夜更けのそらをきみと泳いだ 遠くにかすんでいく街の明かり背にして きみは自由の鳥 そらを越え海を抱く 僕も連れて行ってよ きみの住む世界まで 欠けた月が笑うから 僕だけが寂しかった きみと出会ったあの日に 帰ろう 帰ろう 今は遠い春の日 引き寄せられたふたり 震える硝子のような細い指を握って 立ち並ぶビルの影で 行き交う人を眺めた 陽だまりに揺れる花の名前を捜して 君がくれたさみしさを忘れずにいられるかな 瞳に光が昇る さよなら ありがとう

          双頭のテーゼ

          いつも こゝろの何処かで闇へ向かうから 君はずっとブルース 夜の 路地に消えていく 黒猫ランデヴー さよなら 届かない ぐしゃぐしゃなままで走る 走る 走る 走る 燃え 尽きるまで ぐしゃぐしゃに生きて生きて生きて生きて 生きて そして死んじゃうの 夜宙に衛星のメーデー 聞こえた気がしても 立ち尽くすだけ ぐしゃぐしゃなままで眠る 眠る 眠る 眠る 海のように ぐしゃぐしゃに生きて生きて生きて生きて 生きて そして死んじゃうの いつか 晴れた日ふたりは 双頭のテーゼ

          双頭のテーゼ

          電流生活

          きみと一緒にいるつもりだった 一緒にいる気がしていただけだった 同じ孤独を感じてただけだった ドッチボールはいつだってそう 外野にもなれないで校庭のコンクリ 大きな地図をふたりで縫ってた ぐーちょきぱあで生きたり死んだりまいにち 戦う相手 水たまり 追いかけてくる ぼくを見てる バイバイしたってきみはピース どうして なぜ?  天才だって解けない問題を いっこや二個いやもっと抱えてる 同じ孤独は分かち合えない ぼろぼろエナメルかばんやっと 見つけたときうれしさよりほら 恥

          New Year's Eve

          そして今年がまた暮れていく 君は最後の仕事を片付け ビルを飛び出し駆け出していく 久寿里橋のキャンドルが揺れる 歩道に寄せた車のシルエット 見つけて君は息を吸いこむ 窓をたたいてそっと手を振る 微笑む彼の瞳に尋ねる いつも一人で捜していた 帰るべき場所ここにあるの? 信じてみる あなたの心を 縁取るように指でなぞった 最終ベルに急ぐ人たち 埠頭の空にまたたく粉雪  ボンネットをすべるガス灯の燈 彼の隣でただ見つめてた いつも一人で受け止めてた 鐘の音が空に響いた 信じ