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高熱の日の夢みたいな

なにかひとつ手に入れるたび
なにかひとつ失うような感覚

当たり前はもう帰らなくて
失った日々の煌めきにまだ目を細めている

長い時間目を開けていることに疲れて
瞼だけをただ閉じたい時
痛みに似た温もりが伝わって
重みが頭の中に集まる感じがする
わたしはそれを眠気だと信じて
眠りについたりもする
自然と明日がまた来るのを待っている
何も変われなかったつもりでいて
身体の中のほとんどはもう昨日とは違う
わたしの中の一番大切な21gだけを残して
ほかは全部変わってしまった
だけどいつまでも残っているのは
積もり積もった寂しさとか
耐え凌いできた孤独とか
受け止め切れなくなった世界の冷たさ

少しづつ温もりが戻っても
もう本当のことは思い出せない気がしている
いつまでも無い物ねだりで項垂れる
そうやっていることが
許してもらうためのアクセサリーになってしまった
悲しいのは歌いたい歌が歌えない日々ではなくて
心の動かない毎日で
願うのは毎日自分だけ、
自分だけの幸せとそれに触れる誰かの幸せ
自分のことばかりなのにそれがいいと思っている
それがいいと思っているのだ

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