影響力の武器



影響の武器要約

人は何かしらの決断をするときに、考えているよう考えていない。受けとったある信号をもと無思考で自分の行動を選択している。本書ではそれをカセットテープに例えて「カチッ(ある信号を受け取る事)、サー(決まったある行動をする事)」(固定的動作パターン)と呼ぶ。この「カチッ」には返報性、コミットと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性の6種類が存在しており、人間はこれらの信号を受信した場合、決まった行動をとってしまう。

これらを活用することにより、相手の行動をこちらの意図したとおりにすることが出来、相手に影響を与えることが出来るため、ビジネスなどにも用いられている。特に現代社会では、情報量が多いため、人々は情報の一つ一つを適切に処理をすることが困難になっている。そのため、ますます固定的動作パターンで動く人が増えている。

第一章カッチ・サー(固定的行動パターン)について

人間にも動物にも固定的動作パターンというものが存在している。固定的動作パターンとは、ある信号を受け取ったときに、決まった行動をする事である。これらをするメリットは効率的に時間を活用することが出来る事、精神的に負担が少なくなる事である。

ある信号を受け取ったときに、決まった動作を決めておけば、思考する時間を取らなくてすむ。また、精神的にも決断を悩むことがなくなるため、楽になるからである。

これらのメリットがある中で、人々が固定的行動パターンが表出しやすいタイミングとして、「高いものは良い物だろう」と考えてしまう事である。

本書の例では、宝石を例に出しており、安く宝石を発売していた時は顧客は「安いから質が良くない宝石」だと考えてしまい購入をしなかった。しかし、同じ宝石の価格を高くしたことにより、顧客は「高いから良い宝石」だと考えて、購入する顧客が現れた例が上げられている。

私の体験

私自身も旅行で宿の比較をするときに、宿ごとの詳細な情報などはあまり吟味せずに値段が高いから良いサービスだろうと決めつけて、宿を選んでいる。その方が、悩む時間は少なくて済むし、何より一緒にいく仲間に対しても「値段が高いからまあ大丈夫だろう」と思ってもらうことが出来るため、宿を決めた理由を説明する手間が省ける。

第二章(返報性の法則)について

「返報性の法則」とは「相手から受けた行為を返したくなること」である。

返報性の法則には3つの特徴が存在している。一つ目は返報性の法則自体が強く機能することである。二つ目は、受けた厚意の種類に関係なく、恩を返したくなることである。三つ目は不公平な交換を助長することである。

一つ目に関しては、人は何かしらの厚意を受け取ると返さずにいられなくなってしまう。その結果、本来であれば自分で自由に決断をすることが出来たものを、厚意を受けた相手に恩を返すことを気にしてしまい、自由な選択をすることが出来なくなる。

二つ目は、受けた厚意の種類に関係なく、厚意を返したくなることである。行為には本当に助けになる行為をはじめ、ありがた迷惑なども存在する。しかし、どんな厚意も受けてしまうとお返しをしようとしてします。本書の例だと、試供品サンプルなどが上がられている。試供品をもらったのだから、返さなければ何かしらの物を購入しようと考えてしまう。

三つ目は、不公平な交換を助長することである。人は厚意を受けてしまうと返さずにはいられなくなってしまう。その厚意を返すための機会が先になればなるほど、厚意に対する申し訳なさなどの不快な感情が蓄積されてしまうため、相手の厚意以上の恩を返してしまう。

また、返報性には譲歩的要請法という応用の技術が存在する。これは一度相手の意見を断ってしまうと、相手に対しても申し訳ないという責任を感じさせてしまう。その結果、次に相手から譲歩した意見を出されたときに、「相手が譲歩してくれたから、自分も譲歩して承諾しよう」という心理が働き、相手の意見を承諾してしまう。これが譲歩的申請法である。この譲歩的申請法の特徴は譲歩された要求をのんだ人にも満足感を与えてしまう事や、将来的にも同じような交渉をする成功率が上がるため、この技術はビジネス等でも活用されている。

対処法

これらの返報性の法則の対処法として、相手の厚意を受け取った後、その厚意が何のためのものであるかを思考することである。厚意事態を断るのではなく、厚意を受け取った後に、「この行為は何のための行為なのか」と考えることである。

実践してみて

返報性の法則を厚意をもらった後に断ろうとしたときは、相手によって断れるかどうかが変わった。例えば、家族から「洗濯たたんだから、風呂洗っといて」であれば簡単に断ることが出来た。しかし、アルバイトなどで「食器洗っといたから、ごみ捨てに行って」といわれると断ることはできなかった。本書を読んでいたため、どちらも再定義をしようとすることはできたが、今後の関係性などを考えたときに結局アルバイトでは断ることが出来なかったので、再定義をするのみならずに、別の解決方法を考える必要がある。


第三章 コミットメントと一貫性について

人は自分の考えや信念、行為などを一貫させたい、あるいは他者から一貫していると思われたいと考えている。その理由として三点あり、一つ目は社会的に高評価を得られる、二つ目は、一貫性を持たせることにより、日常生活がスムーズにいく、三つめは、情報処理を簡潔にすることができ、日常生活をスムーズにすることができる。

一貫性を持たせることの例として、ビーチでの置き引き事件の例が上がられる。あるビーチでラジオが盗まれたとき、ただその場にいた人々は盗まれたラジオに関して何もアクションを起こさなかった。しかし、ラジオを見ておいてほしい、と頼まれると、そのラジオが盗まれた瞬間に行動をする人が多くいた。

一貫した行動をとることにより、世間から合理性、安定性、論理性などの評価を受けるため人々は一貫した行動をとろうとする。

対処法

一貫性を保つことは重要なことであるが、不必要に一貫性にこだわってしまう場面が存在することに気が付くことが大切である。一つ目は物理的に無理に一貫性を保とうとすると、胃が反応して痛くなる。それに気が付くことである。二つ目は、もう一度同じ問いが現れた時に、同じ選択をするのかを思考することである。そうすることにより、冷静に思考をする機会をとることができる。

実践してみて

自分の中で一貫性を保とうとすることはよくも悪くも発生している。野球や勉強で、一度始めたから努力をし続けようとしてしまうことなどがあげられる。一方で、一つのやり方にこだわってしまい、俗にいう頑固などという言葉に当てはまると思うが、ほかやり方を見つける行動をとらないため、最短で目的を達成することができていない。


第四章 社会的証明について

人は他の人たちの正しいという基準を自分の基準として物事を判断することを社会的証明の原理という。年齢は関係なく人は他者の正解をもとにして行動をしてしまうという事である。この原理が強く働く二つの条件が存在する。一つ目は、「不確かさ」がある時。二つ目は、「類似性」である。

人はその物事の状況を判断することが出来ないときに、他者の意見を正解としてしまう。

また、類似性が強いと自分の決定ではなく他者に依存をさせてしまう。同じ境遇や同じ所属団体などをはじめ、自分と似ていると判断をしてしまうと価値観などが同じだと判断をしてしまい、行動パターンを合わせてしまう。

具体的な例として、募金活動をするときに、学生に対して募金をしてほしいのであれば、「私も学生です」という一言があるのとないのでは大きく違う。また、近年のCMでは一般人に商品を売るために、CMに起用する人を一般的な人が演じている。

対処法

これらの対処法として、類似した他者の行動を観察し、その者の行動をとらない方が良い根拠を探す事である。また、類似した人の行動だけを見るのではなく、自分とはかけ離れた人の行動も見て物事を行動を決定することが大切である。

実践してみて

関西から中部地方に久しぶりに引っ越しをしたときに、話題や話し方などが大きく異なったので、自分が違う立場になることが多かった。そのため、周りと同じ行動をすることに対してところどころ違和感を持つようになった。社会的証明の原理という暗黙の了解を探すために行動をすることは精神的にもつかれることが多かったが、慣れてしまえば非常に楽であった。しかし、慣れてしまうと今まであった違和感が消えてしまい、クリティカルシンキングをする機会が減っていると感じた。

第五章 好意に関して

人は自分が好意を抱いているい相手に対して[yes]を行く傾向にある。好意を抱く要素は4つ存在している。一つ目は身体的魅力、二つ目は類似性、三つめは、単純接触・共同、四つ目は条件付けと連合である。

一つ目の身体的魅力は、身体的魅力を相手が感じ取ることにより、ハロー効果を相手に与え、知性や性格などの評価を高く評価をしてしまう。そのため、身体的魅力を備えている人はそうでない人に比べて、自分の影響を与えやすくなる。

二つ目の類似性は、人は自分と似たい人に対して好意を抱きやすくなる。性格や経歴やライフスタイルが似ていることで好意を抱く。特に服装の例がわかりやすく、例として、電話をするからお金を貸してくれと見知らぬ人からお願いをされたときに、服装が似ている人のほうがお金を貸してくれる割合が髙かった。

三つめは、接触機会の増加である。お互いにとって心地が良い環境であり、協同をする関係にある時に接触機会が増えれば増えるほど、相手が自分に対して好意を抱きやすくなる。本書の例として、友人の写真を二枚用意し、一枚目は手を加えないもの、二枚目は鏡像にした写真。これらの写真でどちらが良いのか実験をしたところ、見慣れている写真のほうが評価が高かった。

四つ目は連合である。政治家や大学などの一つのチームを作る事により、同じチームの仲間だというように相手を認知するようになる。自分の所属している団体の物をお互いに好きなどの共通点も見つけることが出来るため、好意が促進されやすい。

対処法

これらの好意からくる自分の決断に対しての対処法として、自分が相手に対して特別な好意を抱いていないかどうかに気が付くかどうかが大切である。そこに気が付くことにより、自分を冷静に考えることが出来るため、好意からくる決断を狭められることはなくなる。

実践してみて

自分に対して好意を抱いているかどうかで、相手の振るまいが変わることを実感している。何かしらの物事を頼むにしても、初対面の人に頼むことよりも、何度か話している人に頼む方が自分も頼みやすく、相手も自分の事を好意ではないにしても理解をしてくれているので、意見が通りやすい。

以前アルバイトをしているときに、入社間もない時は初めての人よりも、何度かシフトが重なる人のほうがお願いがしやすかった。また、相手の承諾してくれてた時の声色も他人行儀ではなく、明るかった。

第六章 権威について

人は権威に従って自動的に服従をしてしまう。その場合はたいていは肩書や服装や持ち物などによって判断をする。しかし、権力者の多くは優れた能力を持っている場合が多いので、従う事は間違いではない事がある。

本書の事例としてミルグラムの実験があげられる。教師役と学習者と教師役に支持を出す研究者が存在する。教師役は研究者に、学習者がミスをする毎とに強い電流を流していくように指示されている。その結果、研究者の指示のもと教師役は学習者が亡くなり以上の電流を流してしまった。そのため、人は見た目や肩書などのものによって物事を判断してしまう。

対処法

権威者の影響を受けないための対処法は、相手は本当に専門家だろうか。と、この専門家はどれくらい誠実なのだろうか。と疑問に持つことである。そうすることにより、自分で考える機会が創出され物事の善悪をつけることができる。

実践してみて

働いているときに、上司がミスをしても相手の方が権威があるからとミスを伝えることが出来なかった。そのミスは後ほど判明がしたが、自分自身相手の権威を気にしてしまい、自分の意見を選択することが出来なかった。また、逆もあり、地元に戻った時に学生証を見せるだけで他の人から信用を得ることができ、物事をスムーズに進めることができた。

今後は相手を疑う事もそうだが、疑問を持った場合も権威に左右されないように自分に自信を持つことが大切だと学んだ。

第七章 希少性について

人は機会を失いそうになると、そこに価値を感じるようになる。それを希少性の原理という。希少性の原理の効果は二つある。一つは希少性のものはそのもの自体が価値がある可能性が高いため、自動的に価値があるものだと考えてしまう。二つ目は、希少性のものは希少性の時点で選択肢を強制的に狭めているため、自分が自由に選択をする意思に対しての圧力をかけている。

また、希少性の原理を最大限に発揮をするためには、既存の希少性の物よりも、新たに希少性となったものの方が価値が高くなる。また、競争者がいれば、より一層希少性に対して興味を示すようになる。

希少性の事例とともに、「少ないものがベスト、失うものがワーストという言葉が出てくる。大学のカフェテリアの料理の質に不満を持っていた学生が、大学のカフェテリアの使用ができないと分かった時には、カフェテリアの評価が上がったことがあげられる。それが、手に入りにくくなると、その機会が貴重なものになる原理である。

対処法

希少性の圧力がかかると心理的に興奮をしてしまい、冷静さを欠いてしまう。まずは、そこに認識をすること。また、人は希少性のものの機能そのものに対しての評価をするのではなく、所有をすることが目的となってしまう。そのため、機能として効果が本当にあるのかを考えることが非常に重要である。

実践してみて

オークションで数が限られている時計を購入しようとしたときに、10万円ほどであれば出そうと考えていた。しかし、落札の時間が迫るにつれて競争者が現れ値段が17万円まで行った。この時まで私は参加をしていた。しかし、予算をはるかにオーバーしていることに気が付き、冷静に考えると他の時計を新品で購入した方が良いと考えたため、オークションを降りることが出来た。希少性に踊らされそうになった。

また、結果的に27万円の時計を購入をしたが、活用をしているため所有(字飾ること)することに焦点を当てただけではないことだと信じたい。

第八章 手っ取り早い影響力

現代社会は情報社会であり多くの情報をもとに人は決断をする必要がある。しかし、社会の進展は早く一つ一つの情報を丁寧に処理する時間が無いため、固定的行動パターンに基づいて行動をしてしまっている。

実践してみて

固定的行動パターンとはある意味「習慣付け」だと考えた。固定的行動パターンをどれだけ質を高くするのかが大切である。そのため、ただ単に根拠のない必要以上に影響をされ反射をするのではなく、自分の中で理屈を立て、持論をもとに固定的行動がどれるようにすることが大切だと考えた。


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