リユース市場分析

■はじめに

近年リユース市場が盛り上がりを見せている。かつては、高価なブランド物や中古車の取引がメインであった。しかし、現在はITを活用して低価格の服やコスメなどをはじめ消費者間の取引が加速をしている。世界的に見てもSDGsの取り組みがあり、リユース品は環境保全につながるため、リユース市場の動向は今後の社会に大きく影響を与える。そのため、リユースの実情について分析をしていく。

■社会情勢とリユース市場

リユース市場に影響を与えそうな現在のトレンドとしてSDGs、技術革命、人口構造、文化があげられる。まず、SDGsでは、世界全体で持続可能な社会を目指す取り組みをしている。例えば、日本ではコンビニで、今まではレジ袋をもらえていたが、環境保全の観点からレジ袋が有料になったこと。そうすることにより、消費者にエコバッグを持ち歩く習慣をつけてもらい環境保全に散り組んでいる。また、政府はSDGsに積極的に取り組んでいる企業に対して表彰をしている、近年だと、「みんな電力株式会社」が脱炭素に関係する省エネと省エネを通じて地域間のコミュニティをつなぐ活動をして、表彰されている。また、政府としてもSDGsに取り組んでいる企業を表彰するだけではなく、SDGs未来都市計画などを構想しているため、SDGsに関係するリユース市場にも良い影響を与えるだろう。

次に、技術革命により既存の仕組みが変化しつつある。近年、技術革命によって起こった大きな変化で言うと、スマートフォンの普及により、いつでもネットワークにアクセスできる事である。その結果、今までは店舗で買い物をしていたが、いつでも、どこでも商品を売買することが出来るようになった。リユース市場もこの影響は大きく、フリマアプリが誕生をしたとこにより、普段は消費者である人が手軽に出品者となり、物を売ることが出来るようになった。また、ITを駆使して、中古品を管理し、インターネットで販売をする企業も誕生している。このように、技術革新はリユース市場に大きな影響を与える。今後sosety5.0などがあり、世の中がますます便利になるため、リユース市場にとっても重要である。

日本の人口構成についてである。現在日本は高齢化社会に突入している。2025年には4人に一人が高齢者という人口構成になる。この結果、起こる変化として、労働市場が変化をすることや高齢者に向けた財・サービスの市場が伸びることが考えられる。まず、労働市場の変化では、働き手が不足が発生するため、労働者の賃金の変動が起き、その結果、製品の価格帯が変わる。また、財・サービスの面では、高齢者に向けた財・サービスの需要が伸びる。リユース市場はリユース品を誰から(どこから)買取、誰に売るのかが大切になるため、人口構成の変化も考慮することは大切だろう。


最後に現在の文化的側面である。近年サブスクリプションサービスをはじめ、シェアリングサービスなど物を貸し借りしたり、一緒に使うサービスが拡大をしている。カーシェアリングなどがこれに該当をする。中古品とは直接的に関係はないのかもしれないが、既製品を人から人へ受け渡すという点では似たものであり、リユース業界にも関係していると言える。

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内閣高齢化白書令和3年 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/gaiyou/pdf/1s1s.pdf

■リユース市場のトレンド

ミクロに目を向けると、環境省のリユース市場規模調査によると、リユース市場は年々規模が向上をしている。例えば2016年の消費財の販売額からみるリユース市場の規模は1挑7743億円で2009年の1挑1274億円よりも増加している。また2020年は1挑9500億円、2025年には2挑500億円まで拡大する見込みがある。

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平成30年度リユース市場規模調査報告書http://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_all.pdf

これらの内訳をみていくと、2016年のリユース市場では1挑7743億円の内BtoCの店舗販売型が9315億円、CtoCのネット型販売が5093億円、BtoCのその他の形態が437億円である。特にネット販売型が近年拡大をしており、2014年の2158億から2016年は9315億円と拡大をしている一方で、店舗型の販売は2014年の9763億円から9315億円と低下している。

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平成30年度リユース市場規模調査報告書http://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_all.pdf

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平成30年度リユース市場規模調査報告書http://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_all.pdf

商品別の規模感を考えると、ブランド品が全体の2041億円(全体の13.5%)で一番多く、次いで衣類・装飾品が1869億円(10.5%)、家具・家電が1587億円(8.9%)となっている。

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平成30年度リユース市場規模調査報告書 http://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_all.pdf

また、近年拡大をしている市場としてフリマアプリの市場規模が拡大している。2016年の3052億円と比較をして2017年は4835億円と58.4%拡大をしており、急成長している。

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平成30年度リユース市場規模調査報告書リユース市場規模販路別内訳 http://www.env.go.jp/recycle/H30_reuse_research_report_all.pdf

■リユース企業の取り組みと企業紹介

〇販売方法について

主に店舗型とインターネット型、フリマアプリ型に分かれている。

店舗型の特徴として、自分が行きたいタイミングで店に行けば手軽に出品をすることが出来る事。インターネットでの購入と違い、実際に店舗で商品自分の目で見て購入をすることが出来る事ため、安心をして買い物をすることが出来る。近年では、セカンドストリートやブックオフなどをはじめ店舗が多く出店されているため、比較的どの地域でも通うことが出来る。店舗型の懸念点として、店舗には大きさの限りがあるため、ほしい商品がない事や買取の時に場所に限りがあるため、場所に制限がないインターネット出品と違い低く値段をつけられてしまう可能性がある。

IT型の店舗は、いつでも、どこでも消費品を売買することが出来る。商品を購入するときは、インターネット上なので多くの製品から探すことが出来るため、ほしい商品を見つけることが出来る。また、商品を売るときも、買取をしてほしい商品の写真を撮って企業に郵送をすることにより、手軽に査定をすることができる事や、出張買取のサービスもあるため、実際に直接来てもらう事もできる。デメリットとして、商品を買うときは自分の目で直接確かめて商品を購入することが出来ない点などが上がられるため、思ったよりも商品の質が悪かったなどの事がある。買い取りに関してもある程度ITリテラシーが高くないと活用をすることが出来ないなどがあげられる。

フリマアプリ型について、近年CtoCで拡大をしている形態である。消費者が自ら売りたい商品に価格をつけて売ることが出来る。そのため、好きな価格で売ることができる事や買取サービスでは買い取ってもらえない製品を売ることが出来る。出品をするデメリットとして、ある程度のITリテラシーが必要なことや商品にどれくらいの値をつけるのかや、どのように製品を説明をしたら売れるのか等、マーケティングの知識や宣伝の知識が若干であるが必要である。また、購入するときのメリットはIT型と同じだが、IT型や店舗型と違い出品をしている製品が本物かどうかの判断をするときが出来ないため、特にブランド物を購入するときに偽物や傷んだ製品が届く可能性がある。

〇リユース企業の業界的特性(難しさ)

・リユース品を確保する必要性がある

リユース品である以上、自社で製品を作るのではなく既製品を買い取り、売ることで利益を得るので、出品をしたい人と接触をする必要がある。そのため、出品者の数を企業側がコントロールすることはできないため、他社よりもいかに早く出品者と接点をとることが出来るかがビジネス構造上非常に重要となる。特に、近年は個人間での取引ができるフリマアプリが流行しているので消費者から直接買い取りをする企業は製品を獲得することが難しい可能性がある。

・盗品の買取

出品者に出会えたとしても、その商品が盗難品であることがある。そうした場合、盗難品を買い取りした場合、製品を本来の持ち主に返さないといけないのに、売ってもらった時に渡したお金は戻ってこない可能性があるので、会社としても損失が出てしまう可能性がある。

・偽物に対しての対応

買い取りをした商品が偽物の場合、店側が買い取ったときのお金の方が、売るときのお金よりも安くなってしまう(そもそも売ることが出来ない)ので、損失を出してしまう。

〇企業一覧

・マーケットエンタープライズ

・メルカリ

・ブックオフHD

・ゲオHD

・メルカリ

など

〇その他の考察するべき情報

リユース品に対する偏見がなくなりつつある事。昔はリユース品に抵抗があったが現在は無くなっている人が64%いる。

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マーケットエンタープライズHPhttps://www.marketenterprise.co.jp/business/market_enviroment.php

リユース市場に参入を考えている企業が増えていること。リユース市場が拡大をしているので、ユニクロ等がリユース業界ではなかった企業も参入をしようとしている。

【企業分析・使用してみた感想】

〇ME

東証一部上場企業であり、ECサイトで商品を売る事や価格比較サイトがあることが特徴である。

使ってみた感想として、対象顧客はITリテラシーが高い人が20,30代がメインである(農業機器は除外)。ReReなどのサービスの認知度があまり高くない事やITリテラシーが低い高齢者が活用をすることは難しい。

ReRe全体の製品の価格は5000円~20万円ほどであり、パソコン製品が一番多く販売をしていた。

一方で、商品の品数を見たところ、各品種30未満の商品だったため、品数はあまり多くないため、インターネットで購入することが出来るが多くの商品を見ることはできなかった。

マーケットエンタープライズ https://www.marketenterprise.co.jp/

〇メルカリ

フリマアプリを活用した個人間取引ができるプラットフォームを提供する企業である。

使用した感想として

ITリテラシーが高い20~30代向けがメインの顧客だと感じた。メルカリの使用者が多いため、種類も品数もとても多いため購入をしやすい。また、出品をするときは自分で自由な価格を設定することが出来るため、こちらの希望価格で売れることが良い点だと思った。一方で、転売で価格が必要以上に高くなっている商品もあることや、ブランド品が本物かどうかが分からないなどの問題もある。認知度の面では、CMやテレビに出ていることもあり高い。出品方法のやり方を教える機会も提供しているので、出品をするハードルも下がりつつあると感じた。

メルカリ https://about.mercari.com/about/company/


〇ブックオフHD

書籍をメインとして店舗での販売をしている。昔からある企業であり、高齢者の方にも認知がある。

使用した感想として

店舗には高齢者の方が多くおり、主に本を売買をしていた。本などの種類が多い事や昔ながらの専門書などもありジャンルが幅広い。どの年代の人でも気軽に立ち寄ることが出来るため、顧客層の幅がひろいことが強みであると感じた。また、店舗数も多いため地理的な良いんでブックオフに行くことが出来ないという事は少ないと考えた。オンラインでも書籍などを売買することが出来る。

ブックオフ https://www.bookoff.co.jp/

〇ゲオHD

店舗型でブックオフと異なり、幅広い製品を売買しているのが特徴。オフプライスでは、中古品のみならずアウトレットの様に型落ちの商品を購入することが出来るので、新品も購入することが出来る。

使用した感想として

商品の数が多く店舗がロフトやドン・キホーテみたいなだと感じた。多くの品物が見れて、買取を依頼しているときも待ち時間が苦にならなかった。30~40代の男性客が多く、ギターやキャンプ用品などの趣味で活用をするものを集めやすいと感じた。

ゲオHD https://www.geonet.co.jp/

〇コメ兵

店舗型がメインであり、唯一デパートに進出をしており、高級感がある。

使用した感想

ECサイトをはじめ、デパートに進出をするなど高級感があり、中古品に対するマイナスな印象を抱くことは一切なかった。ただ、製品が男性は高級時計、女性は衣類やブランドものジュエリーがメインとなっているため、客層の幅が小さいため、私自身もあまり利用をすることはできないと感じた。

コメ兵 https://www.komehyo.jp/

〇特長まとめ

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〇製品別の企業比較した立ち位置

緑の円が描かれた部分のサービスが存在しない。高齢者に対してサービスを提供することが出来ているのはブックオフの古本のみであり、競合他社がいないため、ブルーオーシャンである。また、日生基礎研究所の前田展弘さんの調査によると、高齢者の市場は2030年には111兆円に拡大をすると言われているので、チャンスがある可能性がある。

日生基礎研究所前田展弘高齢者市場と求められるサービスhttps://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/keiei_advice_20191120.pdf

しかし、高齢者が増えたからと言ってリユース品の流通が増えるのか?、どれくらいの高齢者の方から商品の買い取りや販売をすることが出来るのか?などのデータを実際に調査して、利益を上げることが出来るかどうかを確認する必要がある。また価格帯が1万~5万円で高齢者が活用する製品があまり多くないのでこの辺りも企業が進出をしていない理由だと考えた。

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マーケットエンタープライズhttps://www.bing.com/images/search?view=detailV2&ccid=MbWbosXq&id=FAA6FE70CD9917C6D89C39923FCDA24956F4CE48&thid=OIP.MbWbosXqoI7R3DDT6BneBQAAAA&mediaurl=https%3a%2f%2fcheercareer.jp%2fcms-image%2fpersonal%2f18_54362_message.png&exph=240&expw=320&q=%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%b1%e3%83%83%e3%83%88%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%ba%e3%80%80%e3%83%ad%e3%82%b4&simid=608031742763289129&FORM=IRPRST&ck=6A9A6A1706D5A735A03F94F3988534E2&selectedIndex=1&ajaxhist=0&ajaxserp=0
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ゲオHDhttps://www.bing.com/images/search?view=detailV2&ccid=orsqYMp1&id=1F7391DA7A8D791B0551DC79B260CD26FD14E394&thid=OIP.orsqYMp1vCSz8e5MJLs4kwHaC2&mediaurl=https%3a%2f%2fres.fashionsnap.com%2fimage%2fupload%2fq_auto%2cw_640%2fmedia%2f2019%2f04%2fgeo-logo_003.jpg&exph=246&expw=640&q=%e3%82%b2%e3%82%aa%e3%80%80%e3%83%ad%e3%82%b4&simid=608035586760133123&FORM=IRPRST&ck=59D22A245D92A652434654C4EDE4FBAA&selectedIndex=0&ajaxhist=0&ajaxserp=0
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〇まとめ

リユース市場は現在拡大をしており、それは単に市場が伸びているだけではなく、SDGsをはじめ世界的にもトレンドとなっており、リユース市場を後押ししている。事業形態として店舗型、IT型、フリマアプリ型等企業によっても形態が異なっており、それぞれの特徴があるがリユース市場独自の課題などを乗り越えるかがに重要となる。また、顧客と製品の分析から高齢者の方へのサービスの進出をしている企業は存在していないが、高齢者のリユース市場が拡大するのかの視点からの考察をする必要がある。



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