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3月8日:新年に向けて、とにかくみんなでお清め。水に流すことは「今」を見ること<バリ島が教えてくれた365個の幸せ>

今日はどこも道がとても混んでいた。というのも、今日は『メラスティ』と呼ばれる、バリヒンドゥー教にとって大事な儀式の日だからだ。

バリ島の新年にあたる『ニュピ』の3日前に『メラスティ』はくる。新年を迎える前に、水の力の恩恵に祈りを捧げよう、という日だ。

この日、村総出で、村の寺院に鎮座しているご神体やバロン、ランダといった神様の獅子舞を海で清める。

エネルギーが満ちた時、人は器を超えた存在になる。つまり、トランス状態だ。トランス状態になったということは、うまく浄化された、ということなのだ。

浄化のために、村の人たちはみんなでみこしを担いで、大行列でビーチに移動する。そして、儀式がおわったら海から村へ帰っていく。

ご神体は、かなり大きい。なので、道を封鎖したり、片側通行にする。それが、朝から夜まで続く。

ご神体の乗った神輿をゆらしながら、音楽を鳴らしながら、彼らは何キロも歩く。ある人は、先祖を象徴する「ブラリンガ」と呼ばれる人形を握り締めながら。

さらに今日は、夕方土砂降りの雨と雷になった。そんな中、4つのムラスティに出くわした。みなさん、びしょ濡れになりながら大声で叫んだり、歌を歌ったり。ちょっとトランス状態にはいっているみたいだ。なんだか楽しそうだ。気持ちが良さそうにも見える。きっとみんな今日はよく寝れるだろうなって顔だ。


バリ島では、定期的に身を清めるために、海に入ったり滝に打たれたりする。満月と新月のたびにお寺で沐浴するし、いやなことが続いたら沐浴にいくのが、バリの人の日常だ。

つまり、嫌なことは、ぜ〜んぶ水に流せばいい。自分のせい、神様のせい、他人のせい。嫌なことは色々あるけど、水が、身も心もすっかり綺麗にしてくれる。そして、気持ち新たに明日からもがんばれるのだ。

これって、お風呂やシャワーで感じる「リセット」感と似ている気がする。毎日のお風呂で、意識的に「浄化儀式」をしてみてもよいかもしれない。アロマをたく、キャンドルを灯す、音楽をかける。子どもと一緒にはいるときも「今日は嫌なことバイバイするよ〜!」と言って、安く買ってきたお花をお風呂に浮かべてもいい。

そうすることで、過去や未来ではなく「今」に目がいく。悩まなくていい悩みが減る気がする。

今日みたいに、学校からおうちまで大渋滞で2時間以上かかったとしても。さぁ、今日のイライラは今日、シャワーで水に流そうじゃないか。

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バリ島に住んで5年の月日が経ちました。コロナ禍で観光経済が壊滅したり、過剰開発で環境が破壊されたりひどい渋滞が起こったり。そんな現状を目の当たりにしながらも、バリ島に暮らす人々は、いつも明るく笑顔で、とにかく幸せそう。

-嫌なことが起こったのは悪霊のせい
-人と神様と自然の調和が大切
-貯金はしない

なんでだろう?と探っているうちに、バリ島に根付く「トゥリ・ヒタ・カラナ」という哲学に辿り着きました。「神と人」「人と人」「人と自然」の調和を重視することで、人々は幸せに過ごし喜びを感じることができるという考え方です。

その哲学がしっかり根付いているバリ島の日常にこそ、幸せのヒントたちが落ちています。ここに住まわせてもらっている議事録もかねて、バリ島が教えてくれた365個の幸せを綴っていこうと思います。

メイン画像:UnsplashRuben Hutabaratが撮影した写真