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シロナガス島への帰還 プレイレポート

※この記事には「シロナガス島への帰還」のネタバレが含まれています。

はじめに

Nintendo Switch版「シロナガス島への帰還」をクリアしたので、色々書いてみます。

今回の記事は、以下のような構成となっています。

  1. 「シロナガス島への帰還」はこんなゲーム

  2. 「シロナガス島への帰還」の面白さについて

  3. ネタバレ有りの感想

番号が進むにつれ、ネタバレとなる情報が増えていきますのでご注意ください。

「シロナガス島への帰還」はこんなゲーム

シンプルなスタイルのアドベンチャー

ジャンルはミステリーアドベンチャー。孤島シロナガス島からの脱出と、島に隠された秘密を解き明かすことを目的としたゲームです。

ゲームは古き良きアドベンチャーのスタイルで進行します。登場人物との会話、発生する選択肢の選択、ポイントアンドクリック方式の調査…と求められる操作はシンプルなものばかりです。

息もつかせぬストーリー展開

この作品の一番の魅力は、スリリングなストーリー展開にあると思います。

絶海の孤島で不可解な事件が立て続けに起こる…というふうに書くとありきたりなシチュエーションのように思えるかもしれません。
が、実際プレイしてみると、息をつく暇も無い怒涛のストーリー展開が待ち受けています。

筆者がプレイしたアドベンチャーゲームの中でもボリュームは比較的控えめで、そのぶんサスペンス、スリル要素が凝縮されているような印象があります。

Nintendo Switch版のリリースにあわせフルボイス化されており、登場人物との会話がより楽しめるようになっていることも魅力のひとつです。

お手頃な価格•プレイ時間

Nintendo Switchダウンロード版の価格は税込750円です(2023年10月15日時点)。
筆者の総プレイ時間は10時間程です。ゲームを遊びたいけど予算が無い、時間が足りない、という方でも手を伸ばしやすいタイトルだと思います。

「シロナガス島への帰還」の面白さについて

これより先は、本編の内容に踏み込んだ記事となりますのでご注意ください。本項では核心的なネタバレは避けておりますが、先入観を持たずにプレイしたい、という方にとってはノイズとなる情報が含まれます。

登場人物全員が「秘密」を抱えている

身分を偽る、善良な人間のふりをする、特殊な能力を持っている…
登場するキャラクターは曲者揃いで、誰もが簡単には他人に明かすことの出来ない秘密を抱えてシロナガス島に集います。

事件を起こした犯人は誰?嘘をついているのは?誰が本当の味方なのか?

信用出来るのはプレイヤーの分身である主人公、「池田戦」だけ…。
しかしゲームを開始してすぐに、主人公はとある「警告」を目の当たりにします。

"This World is not Real"

あるいは、主人公の見ている光景でさえ、疑ってかかるべきなのかもしれません。

ミステリーとスリラーの二重構造

ストーリーの魅力を語る上で、途切れることの無い緊張感というポイントは欠かせません。

シロナガス島で発生した殺人事件、その犯人は誰なのか?

登場人物の素性やアリバイを調査する中で、主人公はもう一つの脅威にさらされることとなります。

それはシロナガス島に潜む「秘密」です。
主人公の命を狙うのは何者なのか?殺人事件との関係は?シロナガス島の正体とは?

「犯人探し」と「脅威からの逃亡」。
二重のアドベンチャー要素が、プレイ体験に尋常ならざる緊張感を与えます。

ネタバレ有りの感想

ここから先はクリア済の方向けの内容になります。

クリアした人なら丁寧に書かなくてもわかるだろう!ということで文体が急に雑になります。

重なる悪意

ストーリーで印象的な箇所は数あれど、トマス殺害の手口が実は…というくだりが特に心に残りました。

過去に行われた、命を弄ぶゲーム。それを模した殺害方法。
物語が進むほどシロナガス島で起きた過去が明らかになり、今回の事件が悪意に重なる悪意からなるものだと分かります。

事件に対する池田のスタンスも好印象でした。主人公の性格によっては、ジゼルに対して「復讐なんて虚しいだけだぞ」とか言いがちな気がします。
まあ、最終局面はそんなことを言っている暇もないくらい追い詰められていた、ということもあるかもしれませんが…。
それでも、ジゼルとのやり取りをみる限り、池田のスタンスとしては「ジゼルのやったことは否定しない」というものだと思います。

もうひとりの主人公

池田視点で物語が進行し、同行者の出雲崎ねね子は主人公の相棒というポジションのキャラクター…
かと思いきや、ねね子視点で進行するパートもあるのが印象的でした。

視点が移ることで、モノローグもねね子のものに。彼女がどんな思考のもと行動しているかを垣間見ることが出来て面白かったです。

ねね子パートで特筆すべきシーンは、ジゼルの精神にダイブし、島のおぞましい過去を体験した後、彼女の思念と協力して現実世界に帰還する場面です。
ふたりで息を合わせるシーンはミステリーアドベンチャーらしからぬ熱さを感じました。

美しく切ないタイトル回収

ジゼルは復讐の為、シロナガス島への帰還を果たしました。それと同時に、アウロラの心臓を移植されたアレックスも、導かれるようにシロナガス島へ。

終盤、ジゼルがアレックス(に移植されたアウロラ)の心臓の鼓動を聞くシーンで、完全なタイトル回収がなされます。

ドラマティックだけど、あまりにもビターというか…。ジゼルとアウロラ、ふたりがそれぞれ"帰還した"という表現が用いられる箇所に、若干の時間差があるのも美しいと思いました。
「タイトルはジゼルのことを表していたのか!」
→「アウロラのことでもあったのか…」というような感じ。

アウロラの体の一部や心が各キャラクターの中に残ったように、ジゼルやリール、今回の事件で犠牲となった者の意志も、遺されたキャラクターに受け継がれる…という作りも印象的でした。

物語を彩ったキャラクターたちにひとこと

最後に、主要人物に抱いた感想を。

池田…
程よくハードボイルド、程よくコメディリリーフといったキャラクターで感情移入しやすかったです。もっと活躍がみたい。

ねね子…
健気。ラストの丘を駆け上がるシーンは名画でした。もっと活躍がみたい。

アキラ…
お灸を据えるような感覚で蛇に噛まれ、それ以降自然にパーティインしてて面白かったです。犯人じゃない確信があったので割と癒やしでした。

ジゼル…
3人目の主人公…と言えなくもない。彼女の視点で今回の事件を振り返ってみたい。

リール…
正体が明らかになる前も、なった後も魅力的なキャラクターでした。騙されたい。

アウロラ…
どうしてそんなに優しいの。

ジェイコブ…
描写されてる範囲ではそこまで…なキャラクターでしたがまあクズ野郎なんだろうな。2周目を遊んだらきっと抱く心情が一番変わるキャラクター。

アレックス…
個人的には男性でもよかったかなと思いました。アレックス視点で事件を追うのも面白そう。

ヴィンセント…
第一声でなんか笑ってしまった。事件に噛んでないわけないよね。

ノーマン…
平田広明さんをキャスティングしたのは誰ですか…!?キャラクターの魅力を最大限に押し上げた名演だったと思います。

今回の記事は以上です。プレイした方が共感してくれたら嬉しいな。読んでいただき、ありがとうございました。

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