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からすみくじのキューちゃん

大國魂神社のからすみくじ。
この間ついに三羽目を買った(おみくじを買うというのが正しいのかはわからないが)

最後の子はちょっと目がひしゃげていて、いくつも並んでいたおみくじの中でずっこけているように置かれていた。
もしかしたら誰かが手に取り戻したのかもしれない。
心の中で(あんた、おもしろい顔してるね)と話しかけていた。
この子にしようか…
いや、こっちの子の方がかわいい。どうせならかわいい子がいいでしょう?
一つのおみくじを選ぶのにとても悩んで、そして心の中で話していたので唇は少し動いていたかもしれない。もちろん声は出していない(はず)
変人みたいだ(いや変人なんだけど)

「ワタシを選んでください。きっと何かイイコトがありますよ」
からすみくじの"キューちゃん"がそう訴えてきた(ように思えた)のだ。
キューちゃん?アンタキューちゃんというんだ。
名前、合ってるね。
……
「あの、これを」
キューちゃんは我が家の子になった。

家に帰り、キューちゃんの顔をマジマジと見る。
「アンタ、目の大きさも違うんだ」
「えへへ。ワタシの顔を描いた人がまだ目を描くのに慣れてなくて、時間がかかっちゃったんです。そうしたら大きさが違っちゃったの」
「そうなんだ。まあ、いいじゃない、別に。よく見ればかわいいよ」
「うふふ。そう言ってもらえると思ってました。ところでワタシのお姉ちゃんたちはどこですか?ご挨拶しないと」
「ここにいるよ。ほら、ここ。仲良くね」

そうして今、三羽は仲良くテレビのそばに鎮座している。

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