見出し画像

月のうさぎ

最後の10人が死んだ。
最後は殺し合っていた。

「なんでそうなるかな」
「仲良かったのにね。あ。ちょっと計算より早かったね」

ここは月。
月から見てる。

名前はミーツ。

相手はラナ。

目を凝らすミーツ

「クジラが跳ねた」
「うそ、クジラは1000年前に絶滅したじゃない」
「生きた化石ってやつか?人間はよくそう比喩してたな」

「人間頭は良いけど悪かったな」
「‥矛盾してるよ」

「私人間すきだったのよ、ほらあの、日本にいた頭の毛に毛を乗っけてた‥」
「スモウ?」
「それかな!みてて楽しかったの」
「ハッケヨイハッケヨイ!」

「ハッ‥」

ドオオオオオオオオオン!!!

俺等の真横を目を追いつかぬ速さで宇宙を散り月にぶつかった

「ひええええええええびびったああ」
「寿命ねあっちにも飛んでってる」

飛んできたのは小さな小さな惑星
弾け飛んできた

「ヴヴヴーーーーーー」


と、思っていた。


「何?あの声」
「ミーツ見てきてよ」
「俺等地球以外で生物見たことないよ、やだやだ怖い怖い」

「ヴヴヴーーーーーー」

ヒッ

「ガハッグッゴポォ」

ミーツは涙目でラナに訴える。

手を繋いで近くまで行くとはるか昔にみた
まあるいヘルメットとモコモコの服を着た人間だった

「生きた化石だ」

血を吐きまあるいヘルメットは血だらけの惨劇

「‥ミーツみて。あれ石じゃないわ」
「本当だ人が乗ってたのか。じゃあアレは惑星じゃなくて人間の乗り物?だったのか」

人間が白い所にうつしだしてる【映画】を
思い出す

ヒッ
 

「‥ミーツ。ここは酸素がないもの人間は住めないわ」

「あんたも人間が大好きだったのね」
「あんな短気な生き物嫌いだよ」

「フーフーフー」

二人は血まみれのまあるいヘルメットを見下ろしてずっと眺める。

「助けられない?」
「無理ね」

「ガボッ」

「‥‥‥‥!グッ」

俺等に気づいたまあるいヘルメットは怯えたような喜んだような顔をした。

「うさぎだ‥」

そう言い残し喋らなくなった

「無理ね」

月には砕けた機体と血まみれのまあるいヘルメットだけがふわりふわり宙を舞っていた。


キミクん