見出し画像

大嫌いだった故郷の風景

私は
昭和14年
和歌山県で生まれ、
高校生までそこで暮らしました。

自宅は山を背負うようにすぐ山が裏にあって
畑をはさんで、これまたすぐに
川が流れているような
まさに「日本の故郷」を絵に描いたような
そのままの田舎です。

今、写真でみても
こんなに美しい場所なのに
私はこの風景が大嫌いでした。


目の前に広がる
畑も、山も、川も、田んぼも・・・
綺麗だなんて
一度も思ったことがなかったのです。

畑は、母が這いつくばって草を刈ってる姿

山は、3つ下の弟と丸太を運ばされた辛い思い出

川は、体が弱くて(百日咳だったのです)
滅多に入れずに友達を羨ましく見ていたこと

田んぼも父と母が喧嘩しながら
ひたすら働いていたこと
そして
学校から帰ると
「田の草、引いとけよ(田んぼの草を刈っておけ)」と母に言われて、

いつも私だけ遊べなかったこと

きっと、
本当はそこには
美しい田園風景が広がっていたのだと思うのですが、

子供心には
辛かった苦しかった、
両親が貧しさの中で
苦労ばかりしていた姿だけが
心に残ってしまったのだと思います。

今、思い返しても
その頃のことは
白黒の映画をみているような 
寂しく、薄暗い風景に思えてしまうのです。

でも、写真を見ると本当に綺麗な故郷ですよね。

でも、私の大嫌いだった風景なのです。

本当にもったいないですよね。

早くこの村を出ていきたい・・・そればかりを考えていた私です。

  キミちゃんより


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?