Tinder放浪記 R君その1

R君はその類まれなルックスで、イケメンが多いTinderの中でも特に異彩を放っていた。その頃人気会員は印がついていたのだが、当たり前にその印がつき、他とは違う輝きがあった。色気があるのだ。

昔、「愛とセックスとセレブリティ」という映画があった。過去にデミ・ムーアと交際していた、アシュトン・カッチャーが主演の映画だが、あらすじはバリキャリにヒモみたいに張り付いて過ごすイケメンの話である。昔の映画でいえば「アメリカン・ジゴロ」というタイトルのものが近い。

https://filmarks.com/movies/53409

https://filmarks.com/movies/36034

私は、すぐに右スワイプして、結果マッチすることに成功した。R君側は多分全部右スワイプしてから選別しているような気がした。

後々、色々と話すようになって教えてくれたのだけれど、7年付き合った彼女と別れたばかりで自暴自棄になっていたらしい。

なぜこんなイケメンがTinderにいるのかわからないくらいとにかく容姿、特に顔が整っていた。その頃、彼は25歳で、身長は当たり前に185で、顔は、若かりし頃の松本潤と、三浦翔平を足して割ったような顔をしていた。

また、育ちがとても良くて、ひとつひとつの言葉遣いが綺麗だった。
どうすれば女性が喜ぶか、等、周囲の人がどうしたら喜ぶか、を基準に物事を考えるタイプだったと思う。

よく「Tinderだと全然女性とマッチしない」というボヤキを男子側から聴くこともあるが、松潤R君にとってはそれは無縁のようだった。

会話をやりとりする中で教えてくれたのだが、Tinderの女性とはほぼマッチするし「30日全部、Tinderで知り合った違う女性と致したことさえあったよ」と笑いながら話したりしていた。
自分がかっこいいことをよく理解していて、彼が何かしている動画や写真をよく送ってくれた。

寂しいけれど飢えてもいなかった私は、直近でどうしても会いたいという気持ちが実はなくて、ただの文通みたいな関係が続いていた。

本当に、TinderでマッチしてからすぐにLINE交換してから、ただのLINE友達だった。

たまにやりとりして暇をつぶすために適当に話す、彼と私は1年位、どうでもいい、ただの年の離れたLINE友達だったと思う。お互いにお風呂に入っている時にだらだらとLINE通話で話していたこともあった。
今日あったこととか、好きな食べ物とか、好きな女優さんや芸能人とか、そんなことばかりダラダラと話していた。

そんな彼と会うことになったのは、彼がTinderで知り合った別の子に強烈に片想いして振られて、自暴自棄に更に自暴自棄が重なったようなときである。

これは数年前の話で、もう彼とは連絡を取っていないけれど、あんまり頭がよくないところも、憎めない大型犬みたいで可愛かった。
そのエピソードは次に書きたい。

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