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離れる。脱皮のじきが 来たようだ


とある、写真を見ていた。
森の中の、落ち葉に まぎれた

  セミ の ぬけがら


葉の色は、赤だった だろうか。
いつ 撮ったもの なんだろう。


  わからないけれど


よく、これ 気づいたよな。

そんな その人の 目線を 感じる

  その 一枚


踏みしめて、歩いていたんだろうか
山の中を、いっぽ いっぽ


やがて、セミの ぬけがらは

踏まれて 崩れて
土にかえる。


長きにわたり、土の中

地表に 出てきて、

つばさ を 広げ、

飛んでいくんだ。


 羽ばたいて 行って しまったものの
  ぬけがら。


 さようなら。

 もう、もどらない。


 さようなら。
 
 もう、思い返すこともない。


  殻は 期間限定で
  ひつようだったもの


  羽が生えた あと

  それは、もう


  いらなくなったんだ。




そこから、飛び立た なければ
破って 外へ 出なければ、

幼虫は、セミになれない。

いつまでも、地面の 近くに
いなくては ならない。


木に つかまって、
大声で 歌うことも

人生を、謳歌することも
できなくなって しまうんだ。


見える世界を 変えるため
ボクタチ ハ、 カラヲ ヤブル


大空に とんで行って
広い 世界をみて

多くの セミに 出会って

いつか、やがて
また、土に 還る


そしてまた いつか。

もう一度、殻をやぶるんだ。




『 あるセミの詩 』
作:ひーちゃんの 気ままな日記