着地点

彼の誕生日に、
『最後のプレゼント』と思って、
例年よりも少し高価なものを贈った。
区切りをつけるために、少し無理をして、自分への決意表明のつもりだった。

久しぶりに「ありがとう」の連絡がきた。
去年なら、お礼の言葉はあっても、
気に入った?と、聞くまでは何も反応がなかったのに、電話でお礼を言われたあと、
余裕がある時間に、LINEで喜んでいることを伝えてくれた。

お礼を言われたいわけではない。
ただ、“好きな人が喜んでくれた”という事実が私には嬉しいのだ。

これで、もう最後。
忘れよう。

そう決めたのに…

その頃から、少しづつ関係が元通りになってきて
LINEの回数も増えて来たし、
突然の訪問も拒否しなくなった。

覚悟を決めたら急に優しくなって、
戸惑いながらも離れられなくなっていく。

また、裏切られることもあるかもしれないけど
私の許に帰ってくるなら
私は待ってしまうかもしれない。

でも、戻って来ない不安は常に付きまとうようになった。
ちょうどいい距離感を保てれば…
その不安も、覚悟と共に持っていれば…

これが私の望んでいた着地点かもしれない。


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