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VIX指数とは

最近の米国株に不安定な印象を持つ人もいるようですが、マーケットの不透明感が大きく高まっているかというと、そうでもありません。その理由はVIXが大きく上昇していないから。

ただこの指数、勘違いされ易い指標でもあるので、長くなりますが解説してみます。

ひとつ確かなのは、VIXの意味が理解できれば、市場の心理状態を予想することができます。強気なのか、弱気なのか。アクティブ投資において市場心理を把握できるのはとても大きいメリットです。

まず、VIXとはVolatility Index(ボラティリティインデックス)の略称。

そして結論から言うと、VIXとは「S&P500指数の"将来"の変動の市場"予想"」を意味します。ポイントは"将来"と"予想"という言葉。

ちなみにボラティリティは「変動」のことです。よくボラが高いとか、ボラが低いなんて言います。

ここで説明が必須なのが、ボラティリティには実は2種類あるということ。

ヒストリカルボラティリティ(HV)とインプライドボラティリティ(IV)。名前の通り、HVはヒストリカル、つまり「過去の」変動を意味します。過去の変動を数値化したのがHVです。

そしてVIXはHVではありません。IVなのです。なので、「過去の変動の大きさはVIXには1mmも関係ない」んです。

仮に昨日までS&P500がジェットコースターのような上下動を見せていたとしても、VIXは逆に低下するということは起こり得ます。

VIXに関係するのはインプライド、"暗に意味された"ボラティリティなんです。

暗に意味するとはどういうことか?ここから難易度がグッと上がりますけど分かりやすく解説するので頑張ってください🙇‍♂️

ここで登場するのが「オプション取引」です。投資の本で最後の方にちょこんと出てくるデリバティブって奴です。殆どの投資家にデリバティブは不要ですが、実はVIXはデリバティブです。

具体的には、S&P500を買う権利(Call、コール)、売る権利(Put、プット)の価格、理論値を決めるいくつかある。

構成要素のひとつが、インプライド・ボラティリティ(IV)です。

これらのオプションを取引するのは個人ではなく、金融機関や機関投資家などの所謂『プロ』たちです。彼らは株式に投資したり、リスクヘッジとしてコールやプットを売り買いしてます。

ここで、仮に株価がなんらかの大きな材料で長期的に上昇する可能性が出てきたら、投資家はどうするでしょう?普通は直接、株を買いますよね。

プロも基本はそうですが、一定割合、保険的にコールオプションを買います。例えば上昇に確信は持てないけど、万が一上昇したときのために保険は売っておきたい、こういう時に買う権利であるコールを買います。

当然、オプションは商品なので、人気があれば値段は上がります。

ここで思い出して欲しいのが、コールやプットの理論値を決めるひとつの構成要素がインプライド・ボラティリティだということ。

つまり、オプションの人気が高まってコールが買われれば買われるほど、インプライドボラティリティ(IV)は上がるんです。

そしてそのIVを指標化したものがVIXなんです。逆に、S&P500が今後も下がるとの予想が増えれば増えるほどプットが買われてVIXは上昇します。

ポイントは、オプションが売られるとVIXは下がるということです。今後、横ばいで推移するとの予想が広がれば、プロたちはオプションを売ることで対価を得て利益を得ます。

なので、VIXの数値が大きいということは、IVが高いことを意味し、IVが高いということは、投資家は今後コール側(上昇方向)かプット側(下落方向)のどちらかに大きく変動していくと予想していることを意味することになるんです。VIXの変動が小さいときは逆になります。

つまり、実はVIXは投資家がS&P500の将来の変動を予想して上下するもの、だということになります。

実際の値動きとして多いのは、株価が急落して「どこまで下がるか分からない」ときに、保険的にプット(売る権利)が大量に買われます。相場下落時にVIXが上がることが多いのは、プットが買われるからです。

逆に、株価が高値をとっていくときは投資家の予想としてそもそも株式に対して強気なので、

保険的なオプションではなく株が直接買われます。オプションの買いの量が減るから、オプション価格が下落し、結果的にIVが下がってVIXが下がります。

では今はどうかと言うと、低くもないけど特別高くもない、そんな水準です。感覚的には、30が近付いてきたら「ちょっと警戒し始めようかな」という感じですかね。正直、1日でどれだけ上がった下がったと追うことにあまり意味はありません。ヒストリカルで見れば、今ぐらいの水準は珍しくないですし。うまく相場のノイズを乗り除きながら投資していきましょう。

めちゃ長くなりましたが以上です。
※表紙はwikiより参照

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