力について
膂力、知力、財力、これらをなぜ力と呼ぶのか。力とはなにか。私は力を「選択肢の数と質」と定義する。
たとえば膂力があればできるスポーツが多く、そのほとんどでよいプレーができるだろう。財力があれば行ける大学は多いし、財力がありすぎれば裏口入学すらできるかもしれない。
これが選択肢の数と質ということである。
逆に、弱者について考えてみてもわかる。たとえば重度障害者や貧乏人に…………どれくらいの選択肢があるだろうか。
ただ、問題が一つある。選択肢はたくさんあるようで、実は一つしかないということだ。
たとえば、食事をするという選択肢は、箸を取るとかフォークを取るとか腕を伸ばすとか小指をこう動かすとかさまざまな小さい選択肢を含んでいる。その上にあるのが食事という大きな選択肢である。そして究極の選択肢が人生である。
私は私の人生を歩むという選択肢を最初から選んでいて、最後までするだろう。そしてそれ以外の選択肢はない。だから本当は選択肢は一つしかなくて、我々は我々の人生を歩むしかない無力な人間である。
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