映画ウォッチメンについての記事のメモ

ウォッチメンってロールシャッハ・ナイトオウルの義務論とオジマンディアス・Dr.マンハッタンの功利主義の対決の映画だよなって思う。
だからロールシャッハは悪事は白日の元に晒されなければならないと動こうとしてDr.マンハッタンに殺された。
オジマンディアスは各国家の主要都市を爆破したけどそれで冷戦は防げた。
だから哲学好きな俺が惹かれたんだろうなあ。
とってもいい群像劇だった。
ロールシャッハはDr.マンハッタンに殺されたけど、Dr.マンハッタンもロールシャッハに殺された。Dr.マンハッタンは肉体的に人外だったのに、シンプルなところに行くって言って社会的にも人外になった。社会的な人という概念があるからクローンとアンドロイドの人権の問題があるの。だから、肉体が人外でもまだ人だったのに、Dr.マンハッタンは社会的にも人外になった。
そんで、シンプルなところとは、この世界=人類のいる俗世とは対比されてるから、あの世。死んだらそこまででシンプル。Dr.マンハッタンはいいやつだしロールシャッハは仲間で、ロールシャッハのことも好きだったから、それを殺すことになって嫌になっちゃって、人外=幽霊としてシンプルな世界=あの世に1人で飛び立ったんだな。
Dr.マンハッタンが元は常人で、苦行を重ねて次第に幽霊になることを考えると、まるで俗世は地獄で天国に行くのが目標みたいだけど、そう言うほど絶望的でもない。ナイトオウルはヒーローとして戦い抜いたけど生き延びたし、仲間で恋人のシルクスペクターがいる。オジマンディアスは計画を完遂し、これからの世界の新たな平和を監視・保護しないといけない。
その、絶妙な薄暗さ。真っ暗ではないしもちろん明るくはない全体的な薄暗さが好きだ。あと、コンクリートとの隙間の雑草が好きだからね。そういう地を這うようなしぶとさがいいよ。
あーーーロールシャッハが好きだ。俺はオジマンディアスに好感を持てる共感できる合理主義者なのにどうしてもロールシャッハが好きだ。見た目と言動はアレだけど思想に生涯を捧げたのだからイケメン天才大社長のオジマンディアスと互角だよ。オジマンディアスとの殴り合いにはナイトオウルとの2人がかりでも負けたけどこの世で最も神に近いDr.マンハッタンを殺してるからな。哲学的には「神は死んだ」という言葉が有名だけど、それをロールシャッハが成したのなら、ロールシャッハはニーチェの言うところの超人、そして超人とは直訳すればスーパーマン、スーパーマンといえばアメコミの代表的なヒーローだ。ロールシャッハはスーパーマンほどかっこよくないし特殊能力なんて持ってないだけでスーパーマンだよ。そんなロールシャッハみたいにみんながなれば平和だろうけど、ロールシャッハがそんな精神的な超人になったのは不幸があったからだから、不可能だし、ロールシャッハが稀有ってのは逆に希望なのかもな。

ギャップなんだよな。イケメン天才大社長がヒーローやっててもそれはただのバットマンやアイアンマンだけど極右の陰謀論者?の独身の友達が少ないチビの無職?のきったないおじさんがヒーローだから痺れる。あと、世の中が暗いほどロールシャッハみたいな人が出てくるし、明るいほどロールシャッハみたいな人が減るから、どう転んでもいいことはあるんだよな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?