スプリガンズ・レコード

2020年10月31日、遊戯王OCG11期第3弾、BLAZING VORTEX 発売________

アームド・ドラゴンやWWなどの風属性テーマが強化、更には現在進行形で様々なデッキで活躍している新たな壺、『金満で謙虚な壺』が収録された。そしてそれと同時に登場したテーマが、今回紹介する、「スプリガンズ」だ。それでは、めくるめく財宝が眠る大砂海へと出向しようじゃないか。

・スプリガンズ・イントロダクション!

「スプリガンズ」はBLAZING VOLTEX(以下BLVO)より登場した、炎属性・機械族で構成されたテーマで、『大砂海ゴールド・ゴルゴンダ』より浮上する『スプリガンズ・シップ エクスブロウラー』により奇襲戦を仕掛けトリッキーに戦っていこう……というのがコンセプトだ。

背景ストーリーとしてはRISE OF DUELIST、FANTOM RAGEから繋がる「ドラグマ」関連のストーリーの第3幕に現れた。『ゴールド・ゴルゴンダ』に眠るお宝を探している探検隊で、機械の外装を纏った黒いススのような生命体だ。鉄獣戦線の手引きにより教導国家ドラグマを抜け出し、砂海の大穴目指し旅を続けていたアルバスとエクレシアを同じ宝探しだと勘違いし拘束したが、逆に爆撃機を強奪され逃げられてしまう。

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こういうちっこくてかわいいロボット好きなんよね


・スプリガンズ・ベース

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メインデッキの「スプリガンズ」モンスターは共通効果として、「スプリガンズ」Xモンスターの素材になることができる。彼ら自身が搭乗艦である『エクスブロウラー』の弾丸やミサイルに変形、発射され、攻撃や『ゴールド・ゴルゴンダ』の探索を行う……というデザインだな。

当然だが彼らにも個性があり、それ以外は別々の効果を持っている……が、少し個性がありすぎるもんで……これは、また後で書くことにしよう。


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『エクスブロウラー』は彼らを射出し、『ゴールド・ゴルゴンダ』を突き進む砂上の戦艦だ。非常に珍しい「ゾーン」を参照する除去効果を持っており、対象に取ったゾーンを含め十字のゾーンにマップ攻撃のような爆撃を行い、そこにいるモンスターを破壊する。モンスターそのものを対象にとらないため、耐性をもったモンスターの除去も容易だ。質量により全てを焼き尽くす絨毯爆撃……ロマンだな。

相手ターンにエスケープする効果は『ゴールド・ゴルゴンダ』に潜み、攻撃をやり過ごしているのだろう。設定上、「スプリガンズ」は一枚岩ではなく、複数の派閥に分かれ行動しているらしいので、『エクスブロウラー』もまた、複数あるのではないだろうか。

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カテゴリーには属さないが、重要な展開札である『大砂海ゴールド・ゴルゴンダ』は「スプリガンズ」が追い求めるお宝が眠るフィールド魔法だ。突如として砂の中より現れ爆撃を行う『エクスブロウラー』を、「スプリガンズ」Xモンスターを特殊召喚する効果で、砂の中に潜み、相手をかく乱する様子をモンスターの攻撃を防ぐ効果によって表現している。

実際のゲームでも、『エクスブロウラー』がいなくなってしまえばプレイヤーである我々に直接攻撃されてしまうため、後者の効果は「スプリガンズ」の戦略と非常にかみ合っている。

イラストは別派閥でお宝を巡って争っている様子が描かれているな。


・スプリガンズ・バース!

このように、フレーバーが効果にしっかり反映されており、スプリガンズのデザインや設定も大好物だったため、こりゃデッキ作るしかないぞ!と意気込んで、発売当日に『エクスブロウラー』のプリシクを3枚揃えた……ところまでは、よかったのだが……。次からは構築編だ。


・スプリガンズ・ビルディング

BLVOにおいて、「スプリガンズ」カテゴリに属するカードはメインモンスターが4、EXモンスターが1、魔法が1、罠が2の計8種類登場した。

ちなみにこのうちモンスターを展開することができるカードは下記の1種類しか存在しない。

スプリガンズ・ピード 星4 0/2000

このカードをリリースし、「スプリガンズ・ピード」以外の自分の墓地の「スプリガンズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

……お分かりいただけただろうか?「スプリガンズ」はランク8Xモンスターがエースのテーマだが、決してランク8を立てるためのテーマではないのだ。

一応、『スプリガンズ・バンガー』がLV8、攻撃力500と『機械複製術』に対応したモンスターではあるのだが……肝心の『バンガー』は最上級モンスターであるため、フィールドに出すことが難しい。『バンガー』を墓地に落として『ピード』で蘇生して……なんてことしている暇は遊戯王には存在しない。これはデュエマじゃねえんだ。


もう1体の下級モンスターである『スプリガンズ・ロッキー』は墓地から「スプリガンズ」モンスターか『ゴルゴンダ』を回収する効果を持つが、「スプリガンズ」モンスターは墓地からでもX素材になれるため、回収する意義が薄い。

あくまでテキストに書いてあること以上のことができないカードでしかなく、『ゴルゴンダ』自体がリソースを大量消費するカードかつ、「スプリガンズ」Xモンスターを複数展開できないカードであるため、1-1交換そのものがアドバンテージに繋がりにくいのだ。


「スプリガンズ」の首魁である『スプリガンズ・キャプテン サルガス』は「スプリガンズ」モンスターの中で唯一相手ターンに妨害を行うことができるモンスターだが、素材を持った『エクスブロウラー』がいなければただの最上級バニラになってしまう。そして先ほども書いたが、そもそも出ない。 重くないか?その称号……


「スプリガンズ」は遊戯王最強種族の一角、機械族ではあるが、機械族としてのサポートを受け辛いカテゴリーとなっている。それもそのはず、機械族サポートは地、光、闇属性が主流で、そもそも炎属性・機械族をサポートするカードは存在しないからだ。

何より、展開の要である『ゴルゴンダ』は「スプリガンズ」カテゴリに属さないため、『バンガー』のサーチに対応しておらず、カテゴリ内では『ウォッチ』しかサーチ手段がない。更には展開に「スプリガンズ」カードを必要とするため、他のテーマと混ぜ物にしなければデッキそのもののパワーが足りないが、混ぜ物をすると初動としての安定性に欠ける……というジレンマに陥ってしまう。

すなわち、他テーマと混ぜ物してもその恩恵を受けにくく、ただ添え物として『ゴルゴンダ』からエクスブロウラーを出すだけ……のテーマに過ぎなかった。


BLVOにおいての「スプリガンズ」に足らないものは、展開力、及び相手ターンでの妨害ゲームを決めきれる打点であり、その両方を兼ね備えているのが『スプリガンズ・コール!』のサポートを受けられる『アルバスの落胤』と、それをサポートできる「教導」テーマになる。

召喚権を行使しない「スプリガンズ」は自分のターンに『アルバス』を出すことが容易で、融合体はすべてLV8のため、『教導の騎士フルルドリス』などと合わせてランク8Xを立てることが可能だ。

しかし、先述した通り「スプリガンズ」はリソース消費が激しく、『アルバス』の効果を使うとあっという間に手札がなくなってしまう。自発的に『アルバス』を捨てるカードがない以上、『コール』も一度アルバスを融合素材に使ってからのカードになってしまい、いまいちかみ合いが悪い。『アルバス』を使うのであれば、『ドラグマ・エンカウンター』を採用できる「教導」と一緒に採用する……という形になる。


これらのことから、「スプリガンズ」最大の問題点は『ゴルゴンダ』を引けない場合全てのカードの役割が消えることリソースの回復手段がないため息切れが早いことの二つになる。


その他にも相手ターンに動くことができないことや打点の低さなどはあるが、掃射特攻などのサポートカードや混ぜ物でなんとかできる部分なので、目を背けることにする。


実際、私はデザイナーズコンボである『アルバス』「教導」との混合デッキを使っていたが、サポートがかみ合わないため手札のカードはちぐはぐ、リソース消費の激しさからすぐに息切れしてしまうなど、デッキそのものが成り立っていなかった。(ここに関しては私のデッキ構築力やプレイングの問題でもある)


総じて、私が遊戯王を楽しむうえで重視している「先行をとって構え、相手との駆け引きを楽しむ」「混ぜ物でテーマのシナジーを探す」というポイントが成立しないため、勝てる勝てないは二の次として、単純に使っていて楽しくないテーマだなあ、というのが「スプリガンズ」に対する評価だった。

「教導」「鉄獣戦線」はテーマとして単体でも混ぜ物でも活躍できるいいテーマだったのにどうしてこうなっちまったんだ……BLVOだけ新テーマ弱くないか。(SFも使ってる人)

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しかし、2021年1月26日、運命の日は来た。


・スプリガンズ・レボリューション!

2021年1月26日、11期第4弾LIGHTNING OVERDRIVE発売_____ここに三種類の新規「スプリガンズ」が現れた……それはまさしく『大革命』

スプリガンズ・メリーメイカー

①:このカードがEXデッキからの特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「スプリガンズ」モンスター1体を墓地へ送る。②:相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。このカードをエンドフェイズまで除外する。X素材を2つ以上持っているこのカードを除外した場合、さらにEXデッキから「アルバスの落胤」を融合素材とする融合モンスター1体を墓地へ送る事ができる。

スプリガンズ・ブラザーズ

このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合、「スプリガンズ・ブラザーズ」以外の自分の墓地の「スプリガンズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

スプリガンズ・ブーティー

①:自分フィールドの表側表示のXモンスターが効果でフィールドから離れた場合、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。このターン、その効果モンスターはフィールドで発動する効果を発動できない。②:魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードを墓地へ送って発動できる。自分のデッキ・墓地から「大砂海ゴールド・ゴルゴンダ」1枚を選んで発動する。


『ゴルゴンダ』サーチカード増量による初動の圧倒的安定化、『鉄騎竜スプリンド』を直接墓地に送るリソース回復手段を手に入れ、BLVO時の最大の問題点を解決した。更には蘇生手段も増加したことにより、ランク8を立てる難易度も軽くなった。(簡単になったわけではない)


しかし、おそらく最も大きく変化した部分は、召喚権を使わずに機械族モンスター2体を立てることができるようになった点だ。

これにより、『プラチナ・ガジェット』『幻獣機アウローラドン』などの、汎用的な機械族サポートに簡単にアクセスできるようになった。つまるところようやく、他テーマと混ぜることに意味が発生するようになったのだ。


「機械族」デッキとして動ける基盤が整ったことで、シンクロやエクシーズを戦略に組み込めるようになり、相手ターンの妨害や打点確保に手を伸ばすことが容易になったのだ。相変わらずランク8は出ないが。

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これで≪無限≫になれるな……。ようこそ、現代遊戯王へ。

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俺は?

機械族ではない。

枠がないしサポート受けないだけで、ランク8にアクセスしやすくできるし、ゴルゴンダを死守できるのもいい。なんでこの効果ターン1ついてるのかはよくわからないが……

ゴルゴンダの効果もそうなんだけど、『スプリガンズ』のカード、あんまり横に並べる能力ないんですよね。逃げる効果にもターン1ついてるので並べるメリットもあんまりなくて……意図的に弱くしてるのはわかるんだけど、並べても弱いのは気づかんもんかなあって思う。全部メガトンゲイルと未来龍皇ってやつのせいなんだ。


うるせえええええ俺はスプリガンズが好きなんだデッキ組むぞこの野郎


次は実際に私が使っているデッキ紹介をしていくぞ。

・スプリガンズ・リバース!

まず初めに、私がデッキを組むうえでのポリシーや、好きなカードの種類を説明していこう。興味がない人は飛ばしてくれ。


・一枚で初動になれるカードが最低6枚欲しい

 私はこの組み合わせでは何もできないから終わり、という手札が嫌いだ。なので、少なくともこれさえあれば……というカードが6枠はないとデッキが組めない。今回の「スプリガンズ」の場合、『ゴルゴンダ』と、『マシンナーズ・ギアフレーム』の2種だ。そしてそれをサーチするカードもあるとなお安心できるので、『ウォッチ』『ブーティー』『機甲部隊の再編制』は当然3積みしている。

逆に採用したくないカードは何かっていうと、相性は確かにいいけどサーチのできないカード、みたいなのが嫌。サーチできないから3積みになって、それがダブる……みたいなのが死ぬほど嫌い。一番最初の話にも繋がるけど。「スプリガンズ」だと『掃射特攻』とかがそれに当たるかな。仮にそういうカードを積む(そういうコンボデッキの場合)だと、それを探すためのギミックとかも積まないと嫌で、積めるほどの自由枠を取れない場合は採用しないことにしている。

・妨害を構えたい

 これは先述したが、遊戯王の楽しみはやはりカードの駆け引きだと思っている。どこに無効を当てるか、誰を除去するか、逆にどこを通すために何を使うか……その思考と実際にカードをプレイする時のヒリつきこそ、私が望むカードのやりとりで、言っちゃえばまあ、「プロレス」だ。

とはいえ、一回耐えたらあとはフルパワーで殴り殺していいよな……って思考はある。「超必」って概念が好きで、どのデッキにもそういうギミックとか一撃必殺を狙えるカードを積んでしまう。

弱いカードを弱いまま使いたくない

 言葉のままの意味。『メリーメイカー』初動の展開の話を例に出して説明すると、私は『メリーメイカー』を出して終わり、ということをしたくなくて、そこから先にもっと強力な盤面を展開できるならそうしないと納得できない。召喚権使って『アウローラドン』からシンクロするなり、『ギアフレーム』を出して『ギアギガントX』を出すとか……仮にテーマとしてそのカードが残らなかったとしても、そのカードができることを潰してしまいたくないな、というのが持論だ。特に「スプリガンズ」はデザイナーズが極端に弱いので……


実際に使用している「スプリガンズ」

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マシンナーズとの混ぜ物で、「マシンガンズ」だ。プロレスのタッグ名みたいでかっこいいだろ?

あんまり難しいギミックがあるわけでもないので、解説については省かせていただく。あと疲れちゃったので。


・スプリガンズ・レポート

ここまで読んでくれてありがとう。こういった記事は初めてで、不慣れなまま勢いで書いてしまったので、読みにくいとこや参考にしにくいところがたくさんあったと思う。それでもここまで読んでくれた君に、大砂海の加護を。

ここに書いてあることは遊戯王初心者の私が私なりに調べ、考えたものなので、あんまり鵜呑みにしないで、君なりの「スプリガンズ」感を持ってほしい。そして願わくば新たな「スプリガンズ」の誕生を願っているよ。ではまたどこかでお会いしよう。

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