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気胸ジェンヌ誕生秘話①ーー手術から2カ月経過

 ある日突然、下った診断。それが「気胸」だった。

 これまでさんざん健康本をつくっていながら、気胸の知識は皆無だったから、世の中的にもかなりマイナーな病気だと思われる。

 気胸をひとことで言うと「肺に穴が開いて、パンクしてしまう病気」だ。肺は胸膜という膜で覆われており、肺から漏れた空気がこの胸膜にたまると、肺が縮んでしまう。最悪の場合、命にかかわるということで、肺にたまった空気を抜く治療をし、それでもよくならない場合は手術で肺に開いている穴をふさぐということになる。

涙のクリスマス入院

 私の場合、「まず入院治療で空気を抜いてみよう!」→「10日後抜糸に行ったら再発してた(泣)」→「だったら手術して肺の穴をふさぐぞー」という展開に。去年の12月は2回入院するという怒涛の日々を送ってきた。

 クリスマスに入院、翌日手術、年末に這うようにして退院ーーそうして今日、ようやく術後2カ月経った。

 開腹ではなく胸腔鏡手術ではあったが、

・利き腕(右)側を切っているので、腕を使った動作が大変(最初のうちは歯を磨く、髪を結ぶといった動きもしづらかった)

・麻酔や抗生物質など、いろいろな薬を使った副作用か、体のいろいろな場所に湿疹が出る(治るのに1カ月くらいかかった)

・寒い日には手術の跡がうずく

・脇の神経に近いところを切っているので、肋間神経痛で胸の前側が痛む

・低気圧の日は息苦しさを覚える

・術後、体の芯が冷えている感覚が抜けない

 などなど、「数センチとはいえ、体にメスを入れるのは一大事なんだ」ということを感じる日々だった。

女性特有の気胸があった!

 気胸は、適切な対応をすれば死に至るような病気ではない。とはいえやっかいなのが「再発が高い」ということ。一般的には、空気を抜く治療(ドレナージ)では50%程度、胸腔鏡手術後の再発率は7~8%程度と言われているようだ。

 20歳前後の背が高くやせている男性に起こることが多いので、別名「イケメン病」と言われているとか(嵐の相場くんも2度気胸になったらしいから、誇大表現ではないのかもしれない…)。ちなみに周囲の人からは、「学生時代に男子がなっていた」という話をよく聞くが、女性が気胸になったという話はめったにない。

 いろいろと調べていくうちに、女性の場合、生理周期に伴って起こる「月経随伴性気胸」というタイプの気胸があることを知った。実はこれには、子宮内膜症が関係している。何らかの原因で子宮内膜組織が肺に飛び火してしまい、生理のたびに出血・炎症が起こることで、穴が開くと考えられているのだ。そのため、「異所性子宮内膜症」とも呼ばれている。

 このタイプの気胸は、術後再発率も高いと言われている。もし肺に飛び火した子宮内膜組織が残っていれば、それが生理に伴って剥がれ落ちる可能性があるからだ。

 不思議なことに、月経随伴性気胸は右肺に多いことがわかっている。そして、子宮内膜症とも因果関係がある。

 私の気胸は右肺で起きており、3年前には卵巣嚢腫(子宮内膜症の一種)の手術も経験している。

 というわけで、その後、私に下った診断は「月経随伴性気胸」なのだった。

「ノーモア再発!」のために立ち上がる

「気胸が再発しても、手術すれば大丈夫!」。直近でしんどい思いをしている身としては、とてもそんなふうに思えない。

 手術前に胸腔鏡手術のいろいろな情報を調べたけど、「デスクワークなら翌日から働ける」とか「3日程度で退院できる」とか、いいことしか書いていない。でも、体にメスを入れる以上、何もかも手術前と同じというわけにはいかない。やはり手術しないに越したことはないのだ。

では、再発しないために、どうすればいいのか?

 残念なことに、気胸の原因自体がよくわかっていないため、今のところ確実な予防手段はないようだ。なかには「ストレス、過労、睡眠不足が関係している」という医師もいる。

 そこで私なりに、これまで得た健康知識を総動員して、「ノーモア再発!」を目標に、体にいいことをやりまくろうと決意した。

「気胸ジェンヌ」と名乗っているのは、自分が女性特有の気胸であること、そして気胸という病気の認知度をもっと高めたいという思いからだ。

 昔にくらべて、子宮内膜症は増えているといわれている。ということは、月経随伴性気胸になる人も増えている可能性がある。脅すわけではないけれど、気づかないうちに気胸になっている、なんてこともあるかもしれない。私の体験が何かのお役に立てれば、と思っている。

「なんで病気になったんだろう」と嘆いている時間は、過去を生きている。手術から2カ月経ち、体調も安定してきて、ようやく前を向くことができそうだ。これから先、未来に何が起こるかをワクワクしながら、毎日を生きていく。






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