家族の終わり

もう、終わりだ、と思うとき
それは、子供に手を上げたとき
発達障害の我が子に対し
叱らない、急かさない、焦らせない
と見守ってきてもついに
怒ってしまうとき

お前のせいでこんな風になったんや
生まなきゃよかったのに
死ね、殺すぞ、との暴言があり
首を絞められることもあり
親が怖いからそんなことを言うんだろう
わたしが怖いんだろう

どんどんからだが大きくなると
きっと、ほんとに殺されるだろうと
恐怖に思うし、緊張する

我が子に緊張し、恐怖するという思い
とても悲しくて辛い

カラオケ屋に行きたいというから
仕事が終わってカラオケ屋にいった
お金もかかるけれどしかたない
入って一時間もせずに
些細なことでキレて
マイクやパッドを壊すぞ
店員を殴ってやるぞと脅す
警察を呼べとわめく
ジュースのジョッキを割ろうとする

止める時揉み合って
それでもわめくから手のひらで頭を
なんどもはたいた
噛みつこうとしてくるから取り押さえた
頭を椅子に押し付けた
その私の行為は、暴力そのもの

もう、ダメだ、手に負えない
入院だ、と思った

やってはいけないことを
ママはやったと
これは暴行という、犯罪だと、
子供に伝えた

とたんに激昂していたのを
ころりと表情をかえ
おれを捨てるのかと泣く

もう、何年も前に
親が暴力をふるうと
子供は児童相談所にあずけられ
親は警察に連れてかれると
話したことがあった

薬のせいのせん妄なのか
コントロールの問題なのか
普通の暴走じゃない
どんどんと、私の息子が
別の人格になる時間が増え
壊れていくように感じている

幼い頃、そしていまも
調子のいいときはとても優しい
機転もきき、ユーモアもある
記憶力もいい、話題も豊富
だけれど

鬼のような形相で
殺すぞと言ってる息子も
息子に違いない

正気の息子をこの先もずっと
みることができるんだろうか
いつか消えてしまうんだろうか

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