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JW115 遅すぎる立后

【孝昭天皇編】エピソード6 遅すぎる立后


前回は、石津太神社(いわつのおおじんじゃ)について紹介させてもらった。

そして、あれから二十二年もの歳月が流れたのであった。

すなわち、紀元前447年、皇紀214年(孝昭天皇29)1月3日、立后(りっこう)がおこなわれたのである。

第五代天皇、孝昭天皇(こうしょうてんのう)こと、観松彦香殖稲尊(みまつひこかえしね・のみこと)(以下、松彦)が上機嫌で語り始めた。

松彦「ついに大后(おおきさき)を立てたぞ!」

するとそこに、大王(おおきみ)の弟、武石彦奇友背命(たけしひこくしともせ・のみこと)(以下、たけし)がやって来た。

たけし「異議あり!」

松彦「何じゃ!? 今回は、何がおかしいと言うのじゃ?!」

たけし「よ~く考えてください。二代目は即位一年目、三代目は即位三年目、そして、四代目こと父上は即位二年目。どう考えても、おかしいでしょ?」

松彦「ど・・・どこがおかしいのじゃ?」

たけし「即位二十九年目って、遅すぎません?」

松彦「そう書かれておるのじゃ。仕方なかろう。妙な詮索は、やめよ。」

たけし「でも、何か有るんじゃないですかねぇ。」

松彦「何か有ったとしても『記紀』には何も書かれておらぬのじゃ。所詮は、妄言よ。」

たけし「それじゃあ、妄言ついでに、おいらの妄想を聞いてくださいよ。」

松彦「汝(なれ)の妄想というか、作者の・・・であろう?」

たけし「兄上は、二十九年目にして、ようやく大王と認められたんじゃないですかね?」

松彦「それまで、ずっと争っていたと?」

たけし「もしかすると・・・ですよ?」

松彦「即位した時、まだ幼かったということも考えられるぞ。」

たけし「それはないですね。」

松彦「なにゆえじゃ?」

たけし「立后の時の年齢なんだけど、兄上は紀元前506年、皇紀155年(懿徳天皇5)生まれなんで、そこから計算すると、六十歳になるんだよなぁ。」

松彦「で・・・では、即位した時点で、三十二歳ということか?」

たけし「やっぱ、おかしいよなぁ。」

松彦「も・・・もしかすると・・・。」

そこに、津守天忍男(つもり・の・あまおしお)(以下、アマオ)と息子の瀛津世襲(おきつよそ)(以下、オキツ)がやって来た。

アマオ「そないなことより、早よう、后の紹介をしておくんなはれ!」

オキツ「待ちきれないんだぜ!」

松彦「す・・・すまぬ。では、紹介しようぞ! 大后となった、世襲足媛(よそたらしひめ)じゃ! ヨッシーと呼んでくれ!」

ヨッシー「は~い! 私がヨッシーだぞっ! よろしくね!」

松彦「お・・・おう。」

たけし「母上たちに負けないくらい、変なキャラ設定だな。」

アマオ「キャラ設定はともかく、わてと、賀奈良知姫(かならちひめ)の娘でんがな。」

松彦「賀奈良知姫? 葛城氏(かずらき・し)の祖、剣根(つるぎね)の娘の?」

オキツ「その通りだぜ!」

そこに、当然ながら賀奈良知姫(以下、カナ)がやって来た。

カナ「エピソード102以来の登場となります。カナにございます。」

ヨッシー

松彦「お・・・お久しゅうござる。」

ヨッシー「母上! 私、ついに大后になったぞっ! 中つ国と高千穂が、ついに一つになったんだぞっ!」

カナ「そういうことになりますね。」

松彦「ん? 中つ国と高千穂?」

オキツ「大王は、ヨッシーを后に迎えたことで、饒速日命(にぎはやひ・のみこと)の一族と血縁関係を結んだ、最初の大王になったんだぜ。」

松彦「な・・・なるほど、中つ国を元々治めていたのは、饒速日殿であったな・・・。さ・・・されど、なにゆえ、父上や、おじいさまは、こんな重要な一族と血縁関係を結んでいなかったのであろうか・・・。」

アマオ「磯城(しき)の一族が、強大だったからやないか?」

松彦「で・・・では、わしの時代に、磯城一族の力が弱まったと?」

カナ「どうなんでしょうねぇ。」

たけし「物部(もののべ)を筆頭とする饒速日の一族と葛城氏の同盟勢力が、磯城を上回ったのかもしれねえな。」

松彦「同盟?」

カナ「私の実家は葛城ですから、そう考えることもできますね。」

ヨッシー「どっちにしても、大后として頑張るぞっ! 応援、よろしくね!」

オキツ「応援するぜ!」

アマオ「せやけど、やっぱり今回も諸説あり・・・なんやろ?」

松彦「じ・・・実は、その通りで・・・。」

そこに、磯城葉江(しき・の・はえ)(以下、葉江)がやって来た。

葉江「磯城一族は弱まってませんよ。ちゃんと、私の娘も大后になってるんですから!」

松彦「そうなのじゃ。『日本書紀(にほんしょき)』の別書では、葉江の娘、渟名城津媛(ぬなきつひめ)と書かれておるのじゃ。ヌーナと呼んでくれ。」

ヌーナ

そこに、当然のことながら、渟名城津媛(以下、ヌーナ)がやって来た。

ヌーナ「お初にお目にかかります。大后候補のヌーナです。」

葉江「不束な娘ですが、よろしくお願い致します。」

大后紹介は、まだまだ続くのであった。

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