見出し画像

JW116 御長寿たち

【孝昭天皇編】エピソード7 御長寿たち


紀元前447年、皇紀214年(孝昭天皇29)1月3日、第五代天皇、孝昭天皇(こうしょうてんのう)こと、観松彦香殖稲尊(みまつひこかえしね・のみこと)(以下、松彦)の立后(りっこう)がおこなわれた。

そして、大后(おおきさき)の一人、世襲足媛(よそたらしひめ)(以下、ヨッシー)が高らかに宣言するのであった。

ヨッシー「大王(おおきみ)が活躍してないおかげで、今回も諸説有りだぞっ!」

松彦「悪かったな!」

ここで、ヨッシーの両親、津守天忍男(つもり・の・あまおしお)(以下、アマオ)と賀奈良知姫(かならちひめ)(以下、カナ)が語り始めた。

アマオ「せやけど、不思議な話やなぁ。」

カナ「本当に、不思議ですねぇ。」

松彦「義父上、義母上。如何なされたかな?」

アマオ「わての曾祖父の饒速日命(にぎはやひ・のみこと)が、中つ国を譲ってから、かなりの年月が経つっちゅうのに、今頃になって、ようやく血縁関係を結んでるところや。」

ニーギ

カナ「もっと早くても良いと思うんですが・・・。」

松彦「そ・・・そんなことを仰られても・・・。」

ここで、磯城葉江(しき・の・はえ)(以下、葉江)と、その娘で、大后の一人、渟名城津媛(ぬなきつひめ)(以下、ヌーナ)が返答してきた。

葉江「そうですねぇ。私たち、磯城氏の勢力が強かったからといって、別に妃を迎えてはいけない・・・ということではないですからねぇ。」

ヌーナ「迎え入れることができない理由でも、有ったんでしょうか?」

そのとき、大王の弟、武石彦奇友背命(たけしひこくしともせ・のみこと)(以下、たけし)が持論を述べ始めた。

たけし「饒速日殿の一族と、磯城の一族は、御初代様が東征(とうせい)する前から、仲が悪かったんじゃねえか?」

葉江「どうして、そんなことが言えるんです?」

たけし「御初代様が中つ国に入られた時、磯城一族と饒速日一族が連携してる形跡が無いんだよなぁ。各個撃破されたって感じでしょ?」

葉江「たしかに、我(わ)が伯父、兄磯城(えしき)と長髄彦(ながすねひこ)殿が、連携して戦っていれば、話は変わっていたかもしれませんねぇ。」

松彦「エピソード43からエピソード53の頃の話ですな。」

ヌーナ「ち・・・父上。大伯父と饒速日様は仲が悪かったのですか?」

葉江「そうかもしれませんねぇ。そして、建国後は、功績のあった、我々、磯城一族が幅を利かせていたのかもしれませんねぇ。」

アマオ「ちょっと待っておくんなはれ。よう考えたら、葉江殿は、東征の頃から生きてはるんやないですか?」

葉江「そうなんですよ。作者の陰謀で、エピソード52にゲスト出演してるんですよ。」

松彦「で・・・では、葉江は、御初代様に会ったことがあるのか?!」

たけし「長生き過ぎるんじゃねえか。」

葉江「そんなことを言われましても・・・。」

アマオ「わても会ったことあるで! カナちゃんと結婚する時に、お会いしたんや。」

カナ「懐かしいですねぇ。」

松彦「ちょっと待てい! わしは、御初代様の玄孫(やしゃご)なのじゃぞ。皆、長生きし過ぎではないか?!」

葉江「大王が短命だったのかも・・・。」

松彦「それは無いぞ。わしは、こう見えて六十歳じゃ!」

ヨッシー「じじいは、いやなんだぞっ」

松彦「悪かったな!」

葉江「まあ、その辺は、九代目の時に、お話しましょう。」

松彦「九代目?」

たけし「欠史八代ってヤツか?」

葉江「そうとも言いますねぇ。」

ここで、アマオの息子、瀛津世襲(おきつよそ)(以下、オキツ)が吼えた。

オキツ「それよりも、もう一人の大后候補が、しびれを切らして待ってるぜ!」

松彦「そうであったな。もう一人の大后、大井媛(おおいひめ)じゃ。大井と呼んでくれ。」

大井「私が大井だし・・・。しびれて無いし・・・。」

松彦「す・・・すまぬ。忘れていたわけではないぞ。」

たけし「それで、大井は、どこの一族なんだ?」

大井「私の母は、倭国豊秋狭太媛(やまとのとよあきさだひめ)だけど・・・。」

ヨッシー「どこの一族か、分からないんだぞっ!」

大井「だって、それしか書かれてないし・・・。」

松彦「やまとの・・・大倭氏(やまと・し)の一族であろうか?」

アマオ「せやけど、大井媛だけ、父親の名前ではなく、母親の名前っちゅうのは、変な話やな。」

そこに、大井の母、倭国豊秋狭太媛(以下、さだ)がやって来た。

さだ「アタイが、大井の母だよ。どこの一族かって? 分からないから、ロマンなんじゃないか。」

大井

松彦「わ・・・分からぬのか?」

さだ「白馬に乗った王子様とか、イケメンの旅人との一夜で、身籠ったのかもしれないよ。」

たけし「も・・・もしかして、父親を記せない理由が有ったとか!?」

松彦「なにゆえじゃ?」

たけし「父親は、兄上だったとか?」

松彦「阿呆か! それでは、大井は、わしの娘になってしまい、近親相姦になるではないかっ!」

たけし「だから、書けねえんじゃねえか?」

松彦「本当に『たけし』は、いつも、いつも、疑惑を生み出すのう。疑惑の神と呼んでやる!」

たけし「ちょっ! これは、作者の陰謀なんだからさぁ。大目に見てくれよぉ。」

こうして、何はともあれ、大后が定まったのであった。 

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?