【お話21 てんさい】
はーちゃんは気づいてしまった。
これはすごい。
もう一回やりたい。
いや、やらなくちゃいけない。
まずはこっちのはーちゃんの手。
力を入れて、「ぱっ」とする。
「ぱっ」のやり方はこう。ママが教えてくれた。
「ぱっ」をしたまま、この箱をおさえる。
ここまでは、さっきと同じようにできてる。
箱をおさえる手は、さっきよりもしっかりしている。
ぐらぐらしない。
そしてつぎはこっちのはーちゃんの手。
箱からとびだした、「しろ」をつかむ。
ふにゃふにゃしている。
はーちゃんがいつもつかんでいるものよりも、ずっとふにゃふにゃだ。
そしてこの「しろ」を、上へ!
「しろ」がスルリと箱からとれる。
もう一回。もう一回。もう一回。
すごい。これはとてもすごい!
こんなにもスルスルとできるとは。
はーちゃん、たぶん「てんさい」だ。
「ぱっ」のやり方。つかんで、上へ!のやり方。
いろんなことができる。
できる!はーちゃんはできる!
できるから、うれしい!!
「きゃっ!!はーちゃん!!ティッシュが!!」
ママのおおきな声。
「はーちゃん、てんさい」って言うときと、おなじ声の大きさ。
ママ、どうですか?もう一回やります。はーちゃん、「てんさい」ですよ?
「はーーちゃーーん!!!!やめなさい!!!」
お前はもっとできると、教えてください。