きくらげ

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手紙

「僕の瞳は宝石でできているんだ」 「多分君も同じだよ」 1. 「君の瞳は宝石みたいに綺麗だね」 彼女は僕にそう言った。 「そっか」 嘘だって分かっていたけど、僕は笑うことも呆れることも出来なかった。 宝石ってどんなだっけ。たしかキラキラしてて凄く綺麗だったよな。覚えているけど思い出せない。だって僕は目が見えないんだから。 僕の目が見えなくなったのは、高校2年生の春。それまでは何処にでもいるような普通の高校生だった。友達は多い方じゃなかったけど、一人でいる時間が好きだったから