ヒトラーの空耳で遊ばれているドイツ語をちゃんと調べてみた!笑
今のところで自分が一番大好きなドイツ映画は「Er ist wieder da(邦題:帰ってきたヒトラー)」です。
この映画の中で「ヒトラー~最後の12日間~」で有名なヒトラーの怒りをパロったシーンが登場するのですが、それが最高に面白いのです☟
で、ヒトラーの怒りのシーンは、ご存じの方が多いかもしれませんが、「空耳」の宝庫としても有名なのです☟
今回はその空耳は、本当は何と言っているのかを調べてみました(ドイツ語参考☞https://www.youtube.com/watch?v=hpIn7d5K0vI)
*調べていて気づいたのは、役者の発音の仕方にかなり癖があるということ。ヒトラーを演じる役者さんの発音がかなり独特で、その独自性故に、日本語に聞こえてしまうという部分がだいぶあるなと感じました。
・パン食う?(0:09)
☞Pankow(パンコウ)
「パン食う」は地名の「Pankow」に該当していた。これは結構分かりやすいし、「パンコウ」だったら「パン食う」と聞こえるのも無理はないと思う。
演者の人がパンコウの「コウ」を上げて発音していたので、「パン食う?」と疑問形に聞こえてしまうのだろう。
・アンポンタン(0:54)
☞und Burgdorf(ウント ブルクドルフ)
これは文字通りに発音したら「あんぽんたん」とは聞こえない。ヒトラーが名前を連呼している場面であるが、ブルクドルフは最後に言われるので、名前の前に「und(英語で言うところのand)」が付いている。
で、undのun(うん)が「あん」に該当している。Burgdorfという名前が下がり口調で発音されているので、「Burg」は「ブルク」と一字一句を強く言う発音ではなくて、流す感じで「ブク」のように言っている。この「ブク」が「ポン」に該当している。
最後の「dorf」はBurgと同様に軽い感じで発音されているので、「ドルフ」とはならなずに、「ドフ」みたいに言われている。
以上のことを組み合わせると、「und Burgdorf」は「ウンブクドフ」となり、文字の並びや母音の印象から「アンポンタン」と聞こえないことも無いのかなと思う。
ヒトラーの役者さんの口調も、「アンポンタン」と聞こえてしまうことに一役買っていると思う。
・鯛が食べたい!(1:11)
☞Steiners war ein Befehl!(シュタイナース ヴァール アイン ベフェール)
この場面の完全な文は「Der Angriff Steiners war ein Befehl」となり、意味としては「シュタイナーの攻撃は命令だった」となる。
空耳として「鯛」が含まれていることから、シュタイナーの「タイ」が該当している。
個人的には、この場面で「鯛が食べたい!」とは聞こえないのだが、言葉のリズム的には一致していると思う。
鯛=teiners
が=war
食べ=ein
たい!=Befehl
「タイ」がはっきりと発音されていることによって、「鯛」が誘発され、「鯛/が/食べ/たい!」のリズムに役者が合わせて発音しているので、結果として「鯛が食べたい!」と日本人に聞こえてしまうのかなと思った。
・ボルシチ!(1:14)
☞Wer sind sie(ウェア ズィンド ズィー)
このボルシチは、役者の発音が強いことに起因すると思う。
言い方としては、「Wer sind sie」を一息で駆け抜けるような感じ。最後になるにつれて上がって行ってる。ボルシチは「ボルシッチー!」という感じで発音されている。
sindの「d」は発音していなくて、「ズィン」となっている。
対応しているのは、
ボル=Wer(ヴェア)
シッ=sind(ズィン)
チー!=sie(ズィー)
と思う。
・あいったいたい(1:31)
☞Generalität ist nichts (ゲネラリテート イスト ニヒツ)
これも役者の癖が凄いなと思う。
Generalitätを普通だったら「ゲネラリテート」と発音すると思うのだが、この場面では、「Generali(ゲネラリ)」と「tät(テート)」に分けて言われている。
なので、「あいった」の部分が、Generalitätの後半部分の「tät(テート)」から該当している。
更に、Generalitätが後ろにあるistとリンキングをしている為、tätの最後のtとistの最初にあるiがくっ付くことによって、「ティ」の発音になっている。
istは最後のtの発音が無くなって、「イス」と発音されている。
そこにnichts(ニヒツ)が加わって、最終的には、「テティスニヒツ」みたいな感じで発音されている。この発音が非常にガタガタというか、ボコボコでありながらもリズミカルに発音されているので、そのリズムの気持ちよさによって「あいったいたい」みたいに聞こえてしまうのではないかと思った。
・あいたた はんふ(1:31)
☞weiter als ein Haufen(ヴァイター アルス アイン ハウフェン)
まず、「あいた」の大元はweiter(ヴァイター)から来ているし、「はんふ」はHaufen(ハウフェン)に由来していることが分かる。
で、alsとeinが「アルスアイン」ではなくて、かなり弱体化して抜け落ちてる感じで発音されている。あまり必要ではない単語なので、ほとんど省略されて発音されているという感じ。空耳の部分だと「あいたた」の最後の「た」ぐらいになってしまうくらい省略されてるって感じ。
結果として、weiterとHauenが中核をなすことで、この空耳が誕生したように思える。
・大っ嫌いだ!(1:33)
☞treuloser(トロイローザー)
この「大っ嫌いだ!」は、「トロイローザー!」に該当する。
これは結構分かりやすいと思う。
「トロイローザー!」と何回も叫んでいれば、自然と「大っ嫌いだ!」に近づいていくのでは…?笑
・西鉄? 大っ嫌いだ!ああいたた バーカ!(1:37)
☞Sie sind(ズィ ズィンド)
☞Feiglinge(ファイグリンゲ)
☞Verräter(フェアレーター)
☞Versager(フェアザーガー)
この場面は4つのパートに分かれている。
まず、「西鉄」に該当するのは「Sie sind」である。文字通りに読めば「西鉄」になることは無いと思うのだが、何故かそう聞こえてしまうのは、不思議である。
次の「大っ嫌いだ!」に該当するのは「Feiglinge(ファイグリンゲ)」である。これは1つ前の「treuloser(トロイローザー)」ほどではないが、発音の仕方によっては、何回も繰り返してたら「大っ嫌いだ!」と聞こえてもおかしくはないかなと思う。
3番目の「ああいたた」は「Verräter(フェアレーター)」が該当する。正直、これが「ああいたた」に聞こえるのは本当にただの空耳だと思う…笑
最後の「バーカ!」は「Versager(フェアザーガー)」である。これは分かりやすい。単語の終わりの部分にあるsager(ザーガー)が「バーカー!」に聞こえたのである。この単語は後ろにアクセントが置かれているので、前半部分のver(フェア)が弱く発音されることも、「バーカー」と聞こえる要因の一つを担っている。
・畜生めぇー!(1:47)
☞Sie ist ohne Ehre(ズィー イスト オーネ エーレ)
実際には「畜生めぇ―!」ではなくて、「畜生めぇーれ!」というように、最後の方でEhre(エーレ)の「レ」の部分がちゃんとある感じになっている。
このドイツ語の文章では、istのtとohneのoがくっ付いて、「イストーネ」とリンキングする形になっている。
該当する部分としては、
ち=Sie(ズィー)
くしょう=ist ohne(イスト オーネ)
めーれ=Ehre(エーレ)
という感じである。
「くしょう=ist ohne(イスト オーネ)」の部分は、リンキングによって「イストーネ」となっているし、ohneの次に来る単語がEhreであり、頭文字がEで始まっていることにより、ohneの最後のeが弱く発音されている。故に、「イストー(ネ)」みたいな感じになって、「くしょう」と聞こえるのであろう。「イストー」と「くしょう」なら聞き間違えてもおかしくはない。
・スマブラか!(1:54)
☞zugebracht(ツーゲブラハト)
これは結構分かりやすい。「ツーゲブラ」がスマブラに聞こえたのだろう。
・うぉ!(1:54)
☞nur(ヌア)
nurは英語で言うところのonly。ここでのヒトラーは、自分の兵士たちを「戦闘能力の低い無能な奴らだ!」と言いながら怒っている。ヒトラーは、兵士たちが訓練学校で学んだのは「ナイフとフォークの扱い方”だけ”だ!」という皮肉をこの場面で言うのだが、その「だけ」というのがこの「nur」である。
皮肉を言いたいので、このnurに力を込めて役者は発音している。その為、尻上がり的な発音になり、そのせいで「うぉ!」と聞こえてしまうのであろう。
・It's 判断力 足らんかった!(2:07)
☞Ich hätte gut daran getan(イヒ ヘッテ グウト ダラン ゲタン)
It's=Ich(イヒ)
判断力=hätte gut(ヘッテ グウト)
足らん=dran(ダラン)
かった!=getan(ゲタン)
・目に刺さるニャン!(2:36)
☞bin ich nur verraten(ビン イヒ ヌア フェアラーテン)
多分、上記の部分が該当していると思うのだが、これは解説不可能です。お手上げです。
2:35からが該当箇所です☟
ドイツ語しか載ってないけど、もう「目に刺さるニャン!」としか聞こえなくて困る…笑
・おっぱいぷる~んぷるん!(2:36)
☞und betrogen worden(ウン ベトローゲン ボルデン)
これはもう『奇跡』としか言いようがないです。該当するドイツ語は上記の文章だと思うのですが、これを一体どう読んだら、「おっぱいぷる~んぷるん!」になるのか…笑
是非とも2:38からご覧ください☟
・柴田さん!(2:51)
☞Sie werden ersaufen(ズィ ヴェアデン エアザウフェン)
該当するのは、
し=Sie
ばた=werden er
さん=saufen
という感じだと思う。ポイントとしては、ersaufenという単語が発音の際に分かれている点だと思う。ersaufenのerがwerdenとくっ付くことによって、「ヴェアデナ」みたいな発音になっている。
で、この役者がsaufen(ザウフェン)のsauをめちゃくちゃ強く発音しているので、「ヴェアデナ」のデナと「ザウフェン」のフェンが弱くなっていると思われる。
よって、強く発音される個所が、「ヴェア」と「ザウ」となり、空耳として「ばたさん」と聞こえてしまうのではないかと思った。
以下のシーンは、切り抜きにはあったけど、ヒトラーの怒りのシーンには無かった場面☟
・*+#%&$ってば!
・ダサいし!
・あいやいや やーやーやーやーやー!
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