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<実習日誌>素敵な場所だったぜ、Abenteuerspielplatz!!


暴風警報が出た場合は、森ではなく、別の場所で保育をするようになっている(まぁ、警報が出たからといって、メチャクチャ風ヤバいな~って思った日はこれまで一回も無いのだが…笑)。

この場合は短縮保育になる。時間的には8時から12時30分の4時間30分。

いつもはある施設の一部屋を借りて、レゴとかボードゲームとかをして遊んでいるのだが、今日はその施設の隣にある「Abenteuerspielplatz」という場所で保育を行った。

「Abenteuer=冒険、Spiel=遊び、Platz=場所」という名にふさわしく、入り口を抜けるとそこには大きな空間が広がっていた。

5対5ぐらいができるサッカーコート、キャンプ場、巨大ブランコ、池、野菜を植えている庭、大きな砂場などなど、たくさんの魅力的なスポットがあちこちにあった。

もちろん、室内遊び用の部屋があって、そこにはビリヤード、たくさんのボードゲーム、キッカーなどが置いてあった。

キッカー


この場所は、今は森の幼稚園で働いているユリア先生が、昔働いていた場所である。

登園時間が終わったら、最初にこの場所全体を見て回った。ユリアが各場所ごとに色々と説明してくれた。




押して駄目なら引いてみろ


階段を登って上に登れる木でできた家があって、子ども達は全員上がったのだが、降りる時にちょっとした問題が発生。

最後の子どもが降りる時に、既に降りた子がもう一度登ってしまったのである。ユリアが「登るな」と注意しても、それを無視して登ったカタチになってしまった。

で、最後の子どもが降り終わっても、その子は降りようとしなかった。ユリアが何度言っても頑なにとどまろうとしていた。埒が明かないので、ユリアが降りて、その子を上に残して次の場所へ行くことに。

だけど移動を開始した途端に、梃子でも動かなかったその子が自発的に階段を下りてきたのである。

なんか、「降りろ」って言うのがいわゆる『押した』状態だなと感じて、『押して駄目なら引いてみろ』という言葉通り、その子にかまわずに先に進むという『引く』行為が功を奏した場面だなと思った。

「降りろ」って言うことで”圧”がその子にかかって、その子が拒否したくなるような気持ちになったのかなと思う。指示に反発してしまった手前、引っ込みがつかなくなって、その子は意固地になってしまったのかなと推測。

他の子ども達が移動をし始めたらすぐにその子は降りてきたので、その子自身は降りた方が良いというのは理解していたのだろう。「降りろ」と何度も言われることで、逆に降りないことに固執してしまうという心理だなと思った。

「降りろ」と言って素直に降りてくれる子どもはそれで良いが、そうはいかない子どもに対しては、「降りろ」という圧を強める(=押す)ことで降ろさせようとするのではなくて、別の方法(=引く)を試みるのが大事だなと思った瞬間だった。

別の方法を試す際に、ユーモアを使うと良いのかなって思う。ユーモアの引き出しを増やしていきたいなと思う。


子ども達自身で問題を解決したシーソー


場所全体を見回った後は、朝の会をキャンプ場で行った。その後は朝食まで、大きな砂場で遊ぶことに。そこには巨大ジャングルジムと巨大滑り台があった。あと、たくさんのブロックが置いてあって、自由に組み立てることが可能だった。

自分とフローリアンが事前にブロックを使って、家を作った。でも、完璧な家を作るんじゃなくて、家の土台をブロック2個分くらいの高さで作っておいて、後は子ども達が勝手に遊べるようにしていた。案の定、ブロックに興味を示した数人の子ども達は、作りかけの家を自分たちの手で自分たちなりの家を作っていった。

個人的に印象に残ったのがシーソーでの出来事である。砂場にはシーソーがあって、何人かの子ども達が遊びたがっていた。

外から撮った写真


シーソーにいた子ども達から「キーくん!」と呼ばれたので行ってみると、ある一人の子どもが端に座ると、もう片方の端は上に上がって、子どもが登れないという状況になっていた。

ここで大人が子どもを抱えて端に乗せたら一発で解決するんだろうけど、個人的には自分の力で解決して欲しいなと思っていたので、どうすれば子どもが乗れるかを説明。「既に座っている子が立つことによって、片方は下がるから、そのタイミングで乗ればいいよ」と説明している時に、ユリアがやってきて、ひょいっとその子を抱えて乗せてしまったのである…

まぁ、個人的には実習生の立場なので先生の行動に対してとやかく言うことはあんまししたくないし、それぞれの考え方があるので、それはそれで良いかなと思って流した。

で、ここからである。また別の子ども達がシーソーをやりたがっていた。遠目から見ていると、また上記と同じ状況になって、シーソーで遊ぶことが出来ない様子。

ある子どもが「キーくん呼ぼうよ」と他の子に言ってるのが聞こえた。このタイミングでシーソーに近づいて行っても良かったのだが、子ども達だけで解決できないかなと思って、あえてその声は無視して、どうなるかを横目で見ていた。

そしたら、座りたがっている子は、シーソーの真ん中付近に足をかけて、またがることが出来た。で、座っている子に「少しずつ立って」と指示を出した。少しずつその子が立つと、片方の端は下がってくるので、真ん中にいる子どもはゆっくりと端に向かって行った。そして、互いにバランスを取りながらついに、子どもは端に到着したのである。到着したら姿勢を入れ替えて互いに向き合うようにしたら完成である。その後はその子達でシーソーを楽しんでいた。

そうやって子ども達が自分達でシーソーで遊べる過程を横目で見ながら、「マジで手伝わなくて良かった」と心の中で思った。


ビリヤードの楽しさ


10時になったので外遊びを終えて、施設の部屋で朝食を食べることに。食べ終わったら、室内遊びを開始。

フローリアンがキッカーを見つけて「やろうぜ」と声をかけてくれたので一緒にやることに。フローリアンがめちゃくちゃ強くて、手も足も出なかった。なんか強いシュートを打つやり方を駆使してたし、何より経験値の差がデカすぎる。向こうは子どもの頃からキッカーで遊んでたらしい。

ドイツではよくキッカーを見つける。前に行われたセミナーでもキッカーがあったし。自分は日本でキッカーをしたことが無い。

で、2人で楽しんでいると、その様子を見ていた数名の子ども達が「やりたい~!」と寄ってくる。最初は「キーくんvsフローリアン」でやって、その後は「キーくん&子どもvsフローリアン&子ども」でやった。フローリアンが強すぎてその2試合は全部負けた。笑

2試合目が終わった後に、男2、女2で子ども達が集まっていたので、「少年vs少女でやろうか!?」とフローリアンが提案。自分は結構疲れていたので良い機会だと思って、「じゃあ、自分はちょっと休憩してくる」と言ってその場を退散。フローリアンが審判みたいにな役回りをしてゲームが続くことに。

他の2人の先生はそれぞれ子ども達とボードゲームを楽しんでいた。

水を飲みながら休憩していると、ある女の子が「ビリヤード一緒にやろう」と声をかけてきた。その子は今日一番乗りに来た子どもで、部屋に荷物を置いて一緒に部屋を探索したのである。その時にビリヤード台を見つけて、「俺ビリヤード上手いんよ」って言ったら、「私もやりたい」と言ったんだけど、他の先生に呼ばれて外に出る形になってしまったのである。

なのでその子から誘われた時は「朝の続きか」と思って、一緒にビリヤードをやることにした。その子はビリヤードをやるのが初めてらしく、ルールを知らないとのこと。なので、一通り説明してからゲーム開始。

最初その子は棒でボールを突いてたけど、やはり難しいようで上手くいかない。そこでその子が「手で白ボールを突いて良いか?」と提案。個人的にはこの発想が凄いなと思ったし、その子にとって初めてのビリヤードだったから、楽しさ重視でやりたいと思ったので、その子はそれ以降手でやることに。

なんか他のボールを落としたくてたまらないらしいので、「白ボールを好きな所に置いて良い」という例外ルールを追加。落とすことに夢中で楽しんでくれたので良かったなと思う。

途中で他の子ども達が「私もやりたい~!」って寄ってきたけど、時間的にもう少しでお迎えの時間になる頃だったし、そこで他の子ども達を入れたら遊びが長引く可能性があったので、その子と2人で遊ぶように仕向けた。

全部の玉を落とし終わって、残り5分だったが、その子が「もう1回やりたい!」と言ってきた。ここでもう1回やったら時間オーバーになるのは確実だし、かといって「ダメ」と断ると、「やりたい!」と反対してただの押し問答になるのは目に見えていた。

その子は球を落とすことに楽しさを感じていたので、「じゃぁ、1球だけでやろうか」とこちらから提案して、その子にその玉を落とさせて遊びを終わらせた。その子はもう一回できたという満足感と玉を落とせたという充実感があって、次の行動に素早く移ってくれたので良かったと思う。

フローリアンのいるキッカーに目をやると、ビリヤードを終えた頃でもまだ白熱して遊んでいた…笑
1時間くらいは「少年vs少女」で遊んでたと思う…笑

青び終えたら、リュックなどの荷物を自分で外に出して、保護者が迎えに来るまで砂場のところで再び遊んだ。

明日も暴風警報が出ているので、森ではないところで活動する。明日は、いつも使わせてもらっている場所で過ごす予定。


今日育(きょういく)


自分は、「押して駄目なら引いてみろ」という発見があったし、シーソーの件で子ども達を信じて待って、それが成功するという気づきを得たし、

子ども達は、「それまで自分達で遊べなかったシーソーを自力で遊べるようにした」ということや「ビリヤードで初めて遊んで、その楽しさを知れた」みたいな感じで、

自分にとっても、子ども達にとっても、『出来ることが増えた』し、『何かしらの発見や気付きを得た』1日だったので、しっかりと【今日育】できたなと思った。


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