語る前に、書きたくなる。それは死者たちのつぶやきへの弔い。ブローティガン「西瓜糖の日々」。
聴いて演りたくなった音楽。
食べて作りたくなった料理。
読んで書きたくなった文章。
そして、そのように生きてみたくなった人。
そう行動したくなるもの。
目的、などという不純をもたらすものがない出会い。
それが自分にとっての本もの。
■「西瓜糖の日々」リチャード・ブローティガン/河出文庫
すべてがつまるところ他意に埋まり手段に堕ちる「目的意識」なるものから離れたいとき、手にしたくなる本。
批評や分析を加えようとした途端、野暮な行いは柔らかく拒否され、自ら意気阻喪に陥る。
死者たちのそんなつぶやきが降る。
語るより前に、書きたくなる。
それは裸の言葉たちへの弔いだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?