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テンポとリズムとハーモニーの美術鑑賞『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』感想

パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館の3館の美術館による展覧会。テーマに沿った作品を各館1点ずつ並べて展示するようになっている。この展示方法は結構楽しかったので感想を書いておく。

モダンアートの多様さを感じる

1900年前後から現代まで、しかも「まどろむ頭部」「空想の庭」のようにかなりピンポイントなテーマの中で選ばれた作品なので、似たような作品が並ぶように思ってしまうが、構図や対象に近しいものがあっても得られる印象は全く違うテーマも多く、テーマからのイメージの広がりを感じられる展示だった。

リズムよく見られる

よくある美術展は、一つのテーマに10点とか20点の作品が並び、どこを見たらいいんだとなることも多い。そういう意味で3点ごとというさらに細かい単位で区切られていることによって、テンポよく鑑賞できたように思う。そういう意味では、先日行ったワタリウム美術館の「エキシビションメーカー」はゆるいテーマで繋がれた多くの作品がある、対照的な展示と言えるかもしれない。テンポよくとはいったものの、鑑賞に1時間以上はかかるくらい、ボリュームと見応えのある作品が並んでいた。

東京、大阪、パリの違いと接近

日本とパリはもちろん違うんだけど、風景画や写真を見ると、東京と大阪の違いも見えてくる。一方で、工業化が進む街の様子や侘び寂びを感じるような街路など、共通するところにも気づくことができる。
絵の内容についても交流ができた時期であり、表現方法の接近のようなものも感じられた。

テーマの選び方の絶妙さ

松本俊介、佐伯祐三、ユトリロが並ぶ「都市のグラフィティ」、マティス、萬鉄五郎、モディリアーニが並ぶ「モデルたちのパワー」など、この3点を並べたくて企画したんじゃないかと思えるくらいテーマの設定が上手かった。

豪華な作品も並ぶこの展示はまだ始まったばかりなのでぜひどうぞ。それでは。

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