マガジンのカバー画像

Food5.0 (食の未来像)

8
Food5.0はキクチの造語。これから訪れる、食べ物や食べることの「未来」を描き出しながら、日々の気付きを書き留めていきます。動植物の進化、人類の歴史・文化、文明・テクノロジーな… もっと読む
運営しているクリエイター

#農業

中抜きか、必要経費か。農業と流通を巡る感情論について。

東京のスーパーで150円のものが、生産者の手取りになると100円。中抜きされている!これが農業を苦しめている問題だ!という人が、いる。結構な頻度で、お会いする。 何でもかんでも、産地価格が安過ぎる(流通が搾取する、アコギだ)、と言いたいようなのだ。 しかし、「都心スーパーの店頭価格が150円で、関西の生産者の手取りが100円なら、悪くない(むしろかなり良い)条件」、というのが僕の感触。 話していると、気付いてきた。 「安い、中抜きされている」という人には、共通して、ある

「生野菜のサラダ」という幻想が生み出す、社会のムダについて。

生野菜を食べるなんていう、たかだかこの数十年の流行り(ブーム)さえなくなれば、農業や流通のあらゆる課題が解決するのよね、という話。 生野菜のサラダが健康に良い? まずコレね。極めて効率が悪い。野菜の栄養やエネルギーなどが一番吸収されない食べ方なのは明らかだ。 ではナゼ、生野菜のサラダがこんなにも広がったのか?それは逆説的だけど、肉食や魚食が広まったから、だ。 炭水化物はもとより、脂質や蛋白質が過多な食生活が広がってきたことを背景に、(あえて人にとっては消化の悪い)植物繊

日本の「食」が失ったもの。

今、モロッコのメディナ(旧市街)にいる。 各地を歩きながら思うのだけど、食べ物について、「土用の丑の日」とか、「○○の日(例:さんま祭り)」とかを定めない方が良い。 貯蔵がきくもの(穀類、保存食、冷蔵冷凍品)や、年中あるもの(畜産物)ならまだ良いのだけど。 天候や環境によってかなり変動がある海産物や野菜は、向かない。その日に合わせて未熟なものを流通させることになったり、足りないからってコストかけて輸入したりする羽目になる。 採れた時、市場にある時が「食べ時」。 まだ出荷