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門倉太久斗「スピードレクイエム 」Gallery10
2023.12.30
Gallery10で開催されている門倉太久斗さんの「スピードレクイエム 」がとても良かったです。
門倉さんは「技術の進歩などによって機能的に意味が失われたものをいかに肯定することができるか」という主題に取り組んでいるのかなと理解しました。端的に、機能的に意味が失われたとしてもそこに美を見出すことはできるわけで、そうしたかたちでものごとを肯定していく態度が好きだなと思いました。
先に「ものごと」と書いた部分は、より具体的には今回の展示では「男性の身体」だったわけですが、自分も「男は〜」みたいな言葉に傷つけられてきたタイプの人間だったので、そうした「男は〜」みたいな規範にノれない自分を肯定してくれている感じもして、そこも好きでした。
思えば、絵画ももともとは、教義の布教や王侯貴族の顕揚のために使用される「機能的なもの」だったわけで、それが近代に至って機能から解放されて、自律的なものとなり、新しい美が生まれたんだ部分よな、みたいなことを思いながら展示を拝見しました。
それと同じように、男性の身体も現代においては機能から解放されたものとなりつつあるわけで、そこに門倉さんのような感性が美を見出していけば、自分のように古いジェンダー規範にノれない人も自分を肯定できるのかなと思ったりしました。
展示を拝見したのがついさっきなので、こうしたコンセプト的な側面が造形的にどう実現されているのかというような分析はまだできていないのですが、それはこれから門倉さんのお仕事を引き続き拝見していくなかで考えていきたいなと思いました。
とはいえ、さっき拝見して理解できた範囲で作品についても触れておくと、作品内にちりばめられた象徴の使い方がぜんぜんいやらしくないのが特徴的だなと感じました。恣意的すぎないし、当たり前すぎもしない、絶妙な塩梅でモチーフが選ばれていて、興味深かったです。
そうしたモチーフが、独特の平面性をたたえた描写で表現されていて、なにかこの平面性もコンセプトと関連づけて解釈できそうだな、みたいな予感を感じさせられました。このことについては引き続き考えてみたいです。
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