「Project Sprint雇われ経営者」と「Project SENSEI」の誕生
この記事の最後に、「ブツブツ交換については定金さんがそのうち書いてくれるんじゃないですかー」と期待を書いたものの、一向にその気配がなく。定金さんが忙しすぎるため、私のところにブーメランが戻ってくることになってしまいました。
現在、私は「Project Sprint 雇われ経営者」としてコパイロツト社のために活動し、定金さんは「Project SENSEI」としてユニバ社のために活動してくれています。そしてこの肩書きにはれっきとした?サイン済みの書面に基づくもので、2021年3月までの契約期間がある公式な役割なのです。この役割交換を「ブツブツ交換」と呼び、そしてその形式はブツブツ交換契約書とでもいうべきひと組の書類によって定義されている、ということになるわけですが、そのお話について書いてみます。
ブツブツ交換記念式典
2020年7月、コパイロツト、ユニバ両社のメンバーに広く知ってもらうため、「ブツブツ交換記念式典」を行うことになりました。これは私が言い出したものです。
なぜそんな式典が必要かというと、それまでに「雇われ経営者」という菊地の自称であったり、定金さんによるプロジェクトマネジメント寺子屋を「ブツブツ交換会」と呼ぶ俗称は存在していたのですが、このままでは飽きたころ?に自然消滅していく運命だな。個人的な活動ならそれでも良いけれど、今やっていることはあまりに影響範囲が大きい。であれば、ここで期待される役割に名前をつけ、それを担うことについて宣言をすることで、「存在するもの」に仕立て、いらなくなったら整理したり、内容を見直したりできるようにしなれければと思ったのです。
定金さんは記念式典の開催を苦笑しながらも快諾?してくれ、2020年7月8日のユニバ株式会社の全メンバーが集まるイベントと、2020年7月30日のコパイロツトの全社ミーティングで、両方の会社のメンバー全員に見守られながら実現することができました。
式典の内容は、3つです。自己紹介、役割についての所信表明、契約書へのサインです。7月1日にサインされた、コパイロツト社と私の契約書はこちら。
なぜ「Project Sprint 雇われ経営者」をやりたいのか
「Project Sprint 雇われ経営者」は、コパイロツトの新しい事業であるProject Sprintが成功するように、外注費の使い方やコパ社のメンバーの動きを方向づける役です。名前に込めた意味というのは、外からやってきて経営する者、という部分です。その役割についてコパイロツト社の皆さんに何を語ろうかと思ったときに、私がどんなやつなのか、そしてなぜProject Sprintプロジェクトの経営を任せてほしいのか、という背景を言うべきと考え、そのことについてお話をさせてもらいました。
「Project Sprint」は、コパイロツト社が初めて開発する言語化された方法論であり、自社プロダクトであり、自らオーナーとなる事業です。この実現にのために、ユニバ社に対して、非常に長い期間、大きな金額でそれを託していただきました。コパイロツト社は、ここには書ききれませんが、設立経緯も普段の取り組みも、所属するメンバーの醸し出す雰囲気も、個人的に非常に共感する部分の多い会社です。その会社が自社の資金で製品開発にトライしようとしている。そして、技術的なチャレンジを含む、これまで見たことのないものを作ることで成功しようとする人たちを助けるのが、ユニバ社の役目です。これは成功してもらわなくてはやばい。
しかしご一緒して程なくして、プロジェクト推進のプロであるコパイロツトの皆さんには失礼だと思いつつ、このままではいいプロダクトにならない、と感じるようになりました。プロダクトをうまく作るということは、今やらなくてはいけないことのごく一部でしかない、と感じたからです。そしてこれを解決するには、プロジェクトを取り巻く環境そのものを変えなければいけないと思いました。ここでいう環境とは、受発注の関係それ自体を含むので、契約の範囲をはるかに超えることになってしまうのですが。
そうして、プロジェクトを能動的に環境に適合させていく、場合によっては環境自体を作っていく役割としての「経営者」と、その活動領域の設定を提案していくことになりました。
「Project SENSEI」
一方、定金さんは自身が「ユニバファン」であると宣言しつつ、ユニバ社がプロダクションチームとして成長するための課題にアドバイスをすることを、続けてくれていました。その内容は定金さんがユニバ社のために考えて提案してくれたものです。「Project Sprint 雇われ経営者」をやってもらっているし、ユニバさんに成功してもらいたいから、ということで続けてくれていたものですが、その役割にも名前が必要だと考え、私から「Project SENSEI」という名前を提案しました。
Project SENSEIについてユニバメンバーに向けて説明していただいている様子がこちら。
しかし説明はこれくらいにしておきます。そのうち定金さんが記事にしてくれるんじゃないかなー。
ユニバ社と定金さんのあいだの契約書はこちらです。
合同プロジェクトチームと「発注」の大変さ
社内プロジェクト、という言い方があると思います。いろんな組織やグループ、異なるコンテキストから人が集まって新しいことにトライするときには、「社内」という響きは、そのプロジェクトはじめる発端となった会社の責任や負担が増えるばかりで、あまり良いことのように思えません。オーナーシップのあるところにはすでに金銭的な負担があることがほとんどで、責任の負担と金銭の負担の二重苦になってしまうわけです。
コパイロツト社とユニバの共同チーム(SuperGoodMeetingsを開発するために始まったプロジェクトチーム)も、コパイロツト社の中に、発注について全面的な責任があり、そこで依頼内容を明確にしてユニバ社へ伝える、というよくある「社内プロジェクト構造」から始まりました。こういった社外への依頼をするヘビーな仕事を助けるのが、他ならぬコパイロツト社がいつもやっているオーナーサイドへの支援であるわけですが、そのコパイロツト社でさえ、自らオーナーになったときにはその重みを感じているように私からは見えました。
新しい試みの主役になることは誰にとっても難しいことであり、そこに居合わせた者が一緒にやりましょうとなったときに、いかにプロジェクトの主体を助けるかは重要なテーマだと思います。
会社の枠組みを超えて活動するときに、オーナーの負担を軽減するために、プロジェクトベースでしかもブツブツ交換された役割を使う、というアプローチは少し変わったやり方のように思います。役員として入るとかもできますし、会社を作っても良いでしょうし。
私が経営者として実務面でどれくらい役に立つかは、正直なところ、あまり保証できないというか、それほど大きなことではないように感じます。会社を超えた合同プロジェクト(ありふれた話だと思います)には、表面上はコラボレーションだったとしても、発注の主体は避けがたく存在し、それに伴ってオーナーシップに対する期待も発注者に集まりがちです。全てのプロジェクトが、金銭的にも最終責任を追うような形にできるわけではありませんが、「事業のように」扱わなければいけないことも一方で、多いように思います。このときに、発注者への過剰な負担が生じる。
その負担を分け合うことの必要性を訴えたり、その姿勢をチームに見せていくことは、私にもできるんじゃないかと思っています。役割を名付けることは、我々はプロジェクトの全てを分け合い、助け合うぞ、という意思表示なのだと思っています。
今度こそ?ブツブツ交換の欠くことのできないもう片方、「Project SENSEI」について書いてもらえるよう、定金さんにお願いしてみます。おわり。
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