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会派はどのようにして組まれるか?

現在、維新界隈で会派というものが話題ですが、そういやこれまで政党については日々考えていたものの、会派を深く考えたことはありませんでした。せっかくの機会なので一緒に考えてみましょう。

まず、会派とは何かをググって出てきたいくつかの説明を掲載します。

参議院HP「会派とは議院内で活動を共にしようとする議員のグループ」

選挙ドットコム「会派とは議院内での活動単位」

千葉県議・水野氏のHP「会派とは議会内で活動を共にしようとする議員のグループです。同じ思想や政策を持つ議員がグループを結成」

長浜市HP「政策を中心として同じ考え方や意見を持つ議員が集まって作るグループ」

兵庫県HP「政治上の主義や政策を同じくする議員が集まり、議会活動を共に行うことを目的として、議長に会派届を提出している団体のことです。」

港区HP「会派とは、同じような考え方や意見を持つ議員で組織したグループのこと」


見てお分かりの通り、自治体や地方議員にとっては、主義・政策思想が一致する議員によるグループ。
しかし参議院や選挙ドットコムにとっては、ただのグループ・議員が集合した単位であるとのことです。そこに主義や政策思想の一致は求められていません。

では、主義・政策思想が近いからといって会派を組めば万事スムーズにいくかというとそうでもありません。
同政党内でも主張や首長選へのスタンスが分かれていれば会派が分裂することもありますし、逆に、質問権の確保などを目的とし、思想も政策も一致しないのに会派を組むこともあります。豊中市議会にまさにそのような会派が存在します。ここでは割愛しますが(笑)

では会派を組んだ場合、住民からどう見られるのか。

会派を組むには議長に結成届を提出する必要があるわけですが、そこでポイントとなるのが会派名。
これは何でもよくて、「A党〇〇市議団」や「A党・B党」のように党名を入れるのが一般的です。なぜか民主系は「ソレイユ堺」や「ひょうご県民連合」のように党名を隠したがりますが。

「A党〇〇市議団」であれば、A党所属の議員のみで構成されている会派と普通は見られます。
ここに数名、無所属議員が入っている場合は「A党・無所属の会」のように、分かりやすい名前にするのがほとんど。

住民へ誤解を生むような会派名は常識として避けます。
そらそうです、「A党〇〇市議団」となっているのにA党以外の議員がいたら混乱を招きますから。控室も会派ごとに割り振られますし、住民から見たら『いやA党所属ではない議員がいるんかい』という話です。

党外の議員と会派を組む際、もっとも気を遣うのが、政治思想や政策の一致。次いで人間関係です。いや、この2つは並列で必要な要素かもしれません。
ただしこれは私の感覚であり、豊中市議会に存在する会派のように、政策の一致は要らないよという意見があれば、それはそうなんでしょう。

党外の議員を含む会派の結成は一朝一夕で成り立つものではありません。
政策がどの段階まで共通しているのか、普段から人間関係はできているのか、同じ会派に属すメリットはお互いにあるのか、デメリットはあるのか、首長選への態度は・・・などの要素を総合的に勘案されます。

人間関係はそんなすぐにできるものはありませんから、これまでのお互いの言動や行動などから計るもの。
京都市議会で維新と国民と京都党が統一会派を組むとのことですが、これは、維新と国民の昨年の参院選前からの関係があったからこその流れ。
維新と京都党とはもともと政治思想がかなり一致していましたし、この3党が一緒にやると聞いて反対する議員や支持者はいないのではないでしょうか。
時間をかけて出来てきた素地のうえに統一会派があるのです。

また、都議会で柳ヶ瀬さんと音喜多さんが会派を組んだ時も、それまで音喜多さんと維新の間ではなんだかんだありつつ、最後は2人の人間関係でまとまりました。私はこの2人の会派が大好きで毎日会派中継を観ていました。



「政策実現のためにはいきなり統一会派を組んでもいい!」
「議会の開会まで時間がないからとりあえず組むんだ!」

という意見も目にします。
しかしそれは松井一郎氏の言葉を借りると、野合にしかなりません。

交渉会派となるためには、また、議会での発言力を高めるためには、数は多いに越したことはないものの、政治思想や信念が異なる議員が集まってもすぐ瓦解します。
そして政治思想が近くても、人間関係が構築されていなければ瓦解します。

その失敗の歴史を何度も見てきているのに、未だに学ばない議員がいることが不思議でなりません。
党外の議員を会派に招くのであれば理由の説明は避けて通れません。それは政策面、人間関係面の両面で党や住民がある程度納得できる理由である必要があります。
会派を組んだ先には首長選での統一行動や無所属議員の入党や党の合併がある場合が多く、そこまで見越して住民は見ています。なので説明できないような統一会派を組むのは得策ではありません。

最後にもう一度書きますが、政策思想が離れていたり、人間関係が築かれていないけど組むんだ!というのであれば、私としてはあり得ませんが、あくまで当人たちと所属政党が決めることです。
ただしその感覚が住民や政党とかけ離れている場合は、政党は待ったをかけてもいいですし、住民や支持者はどんどん声を届けてもいいと思います。

皆さんもお住いの自治体で違和感を持つような会派がないか、一度チェックしてみると見えてくるものがあるかもしれません。


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