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爪の垢をください

ご本人の同意を得ているわけではないが、
私の心の中で「素直になれない女同盟」と思っている友達がいる。
友情や愛情といった 親愛の情 を示すのが不得手なのだ。

照れなのか、自己肯定感が低いからなのか。
「不器用ですから」ってやつだ。

しかし 我々は健さんじゃないので、不器用なことは全く益がない。
いかんなぁと思ってはいるのだが、
ついつい素っ気なくなってしまったり、ぐるぐる考えすぎて自爆したり。
自分でも めんどくさいと思う。

さて、それはさておき、先日実家に泊まりまして。

甥10歳が、翌日、釣り好きのおじいちゃんと一緒に、初めての船釣りに行くという。
ここは岩手の内陸部なので、海沿いまで一時間以上かかるドライブも兼ねる。

早朝3時起きとのことで、いつもの 彼の両親や弟妹と同じ部屋ではなくて、おじいちゃんと一緒に座敷で寝る支度をしている。
彼が自分の寝支度を終えて、おじいちゃんが風呂から上がるのを待っているとき、言った。

「…ひとりでねるの、こころぼそい…」

なにそれ。 ちょうかわいい。

おばさん、10歳のときにそんなこと言った記憶ないし、
37歳になった今も言えないわよ。言う相手いないけど。
お…おばさんに、君の爪の垢をくれないか…。煎じて飲むよ…。

いやほんと、いったん血反吐を吐く思いをしても、素直になったほうがいいなと最近思っている。
まぁ血ヘドは吐かないまでも、せめて爪の垢を煎じて飲むぐらいはしたい。

さてさて、甥はおじいちゃんと一緒にカレイやアイナメを15匹も釣ってきて、みんなでおいしくいただきましたよ。めでたし。

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