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年末調整は所得税の金額を確定させる手続き|控除の種類を知ろう

会社で年末調整の時期が近づいてくると、「毎年年末調整の書類を渡されるけど、何のために記入しているんだろう?」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

会社員の方は自分で税金を納める機会がほとんどないので、なかなか知るチャンスがないですよね。

この記事では、年末調整で何が行われているかを解説します。年に1回記入している書類がどのような目的で使われているかを知り、節税に役立てられるようになりましょう。

年末調整は所得税の金額を確定させるために行う手続き

年末調整は、所得税の金額を確定させるために行う手続きです。会社員の場合、所得税は概算されたものが毎月給料から天引きされています。

金額は概算なので、実際の年収が確定した際に所得税を計算し直すことが必要です。

所得税は、年収からさまざまな控除を差し引いた金額(所得)に対してかかります。扶養している家族がいたり民間の保険に入っていたりすると、状況に応じて控除が受けられます。

扶養や保険の情報を会社に伝えるために、年末調整の書類を記入しなければなりません。

年末調整の書類に基づいて計算した所得税が天引きされている所得税の金額よりも少なかった場合は、過払い分が還付されます。

反対に、天引きされている所得税では金額が足りなかった場合は、追加徴収が行われます。

年末調整で提出する6つの書類と受けられる控除の種類

年末調整のために提出する書類は6種類あり、それぞれ受けられる控除が異なります。

  • 扶養控除等申告書

  • 配偶者控除等申告書

  • 保険料控除等申告書

  • 所得金額調整控除申告書

  • 基礎控除申告書

  • 住宅借入金等特別控除申告書

各申告書を提出することで受けられる控除の種類を解説します。

扶養控除等申告書

扶養控除等申告書は、扶養している親族がいる場合に記入する書類です。具体的な控除の種類は以下の通りです。

  • 扶養控除:16歳以上の親族で、合計所得が48万円以下の人を扶養している場合に受けられる控除

  • 障害者控除:納税者自身または扶養している親族が障害者の場合に受けられる控除

  • 勤労学生控除:納税者が勤労学生の場合に受けられる控除

  • 寡婦控除:夫と離婚または死別した後婚姻や事実婚をしていない人で、扶養親族を有し、合計所得が500万円以下である場合に受けられる控除

  • ひとり親控除:婚姻や事実婚をしていないまたは配偶者の生死が明らかでない人で、生計を一にする子(合計所得が48万円以下)がおり、合計所得金額が500万円以下である場合に受けられる控除

被扶養者の状況や納税者の収入により、受けられる控除の金額が異なります。

配偶者控除等申請書

配偶者控除等申請書は、一定所得以下の配偶者がいる場合に記入する書類です。配偶者の所得により、2種類の控除にわかれています。

  • 配偶者控除:合計所得が1,000万円以下で、生計を一にする配偶者(合計所得が48万円以下)がいる場合に受けられる控除

  • 配偶者特別控除:合計所得が1,000万円以下で、生計を一にする配偶者(合計所得が48万円超133万円以下)がいる場合に受けられる控除

控除される金額は、納税者の収入により変動します。

保険料控除等申請書

保険料控除等申請書は、国や民間の保険に加入している場合に記入する書類です。控除の対象となる保険は以下の通りです。

  • 社会保険料控除:健康保険料や厚生年金を支払った場合に受けられる控除

  • 生命保険料控除:民間の生命保険料や個人年金、介護医療保険料などを支払った場合に受けられる控除

  • 地震保険料控除:住宅の地震保険料を支払った場合に受けられる控除

民間の保険に加入している場合、年末調整の時期になると保険料控除証明書が送付されます。年末調整の書類とともに提出するものになるので、きちんと保管しておきましょう。

所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除申告書は、年末調整の対象となる給与の収入金額が850万円を超える場合に記入する書類です。ただし全員に適用となるものではなく、以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 納税者が特別障害者である

  • 年齢が23歳未満の扶養親族がいる

  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

控除金額は以下の計算式で算出されます。
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)-850万円}×10%
※1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げ

基礎控除申告書

基礎控除申告書は、合計所得金額が2,500万円以下の場合に記入する書類です。控除額は所得金額により異なり、以下のように定められています。

会社員の場合、ほとんどのケースで48万円の基礎控除が受けられます。

住宅借入金等特別控除申告書

住宅借入金等特別控除申告書は、住宅借入金等がある場合に記入する書類です。住宅ローンなどを利用して家を購入した場合や、リフォームした場合などに適用されます。

適切な控除を受けて節税につなげよう

年末調整の書類は、正しい所得税の金額を確定させるために記入しなければならない書類です。

年末調整で記入する書類は6つあり、それぞれ受けられる控除の種類が異なります。該当する控除をしっかりと把握し、書類を正しく記入して節税につなげていきましょう。

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