可能主義者

読みたいときに読みたいものを買うし、本のまとめ買いはしないので、積読というものが滅多にない。そんなわたしの数少ない積読本が、これだ。

ファクトフルネスとは──データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。

ようやく読みはじめたのだが、積読本にしていたことをものすごく後悔した。学びや発見が多すぎて、すべてを網羅してnoteに書くのはきっと難しい。だから今回はとりあえず、気になった箇所だけ(意味:今日読んだところまで)考えてみることにする。

ネガティブ本能

第2章で解説されているのは「ネガティブ本能」というものだ。

ネガティブなニュースに気づくこと。そして、ネガティブなニュースのほうが、圧倒的に耳に入りやすいということ。物事が良くなったとしても、そのことについて知る機会は少ない。すると世界について、実際より悪いイメージを抱くようになり、暗い気持ちになってしまう。ネガティブ本能を抑えるには、「悪いニュースのほうが広まりやすい」ことに気づくこと。

筆者の調査によると「世界はどのように変化していると思いますか?」という問いに対し「どんどん悪くなっている」と答えた人が大半だったそうだ。わたしも最近見た悪いニュースなどを思い浮かべて「良くなってるとは思えないなぁ」と感じたのだが、実はこれは間違い。乳幼児の死亡率や紛争の犠牲者、飢餓や災害による死者数は減りつづけている。そして識字率や小児がんの生存率、安全な飲料水を利用できる人の割合は増えているのだ。

「世界は悪くなっている」と思い込んでしまうのは、報道の自由や技術の進歩によって、悪いニュースが以前よりもすぐに広まるようになったことが一因だという。逆にゆっくりと改善・進歩する良いニュースは、あまり報道されることがない。

正しく把握するということ

わたしがnoteを書きたいと思ったのは、以下の記述を読んだからだ。

わたしは日頃から、人類のすばらしい進歩について誰かに語るたびに、「ハンスさんは楽観主義者なんだね」とレッテルを貼られる。(中略)楽観主義者というと世間知らずのイメージがあるが、わたしはいつだって真面目な「可能主義者」だ。「可能主義者」とは、根拠のない希望を持たず、根拠のない不安を持たず、いかなる時も「ドラマチックすぎる世界の見方」を持たない人のことを言う。

「世界は何もかもが順調なわけじゃなくて問題もたくさんあるけれど、だからと言って今までの進歩から目を背けることはばかばかしいよね」

そんな筆者の主張を読んで「正しく現状を把握すること」について考えてみた。

成長において「他責思考は良くない」とよく聞く。もちろんなんでもかんでも他人のせい・環境のせいにしていたら、いつまでも成長できないだろう。ただわたしは、他責思考が良くないのではなく「他責と自責を正しく把握できないこと」が問題だと思う。

正直、他責思考が正しいこともある。

「ぜんぶ自分が悪かった、自分が違う行動を取っていればこの問題は回避できた」ある意味これは、思考停止だと思うのだ。もちろん本当に自分の責任ならそれでいいが「そもそも仕組みが悪かった」「他の人に非があって自分にはどうしようもなかった」など、いろいろな可能性をきちんと考慮しなければ本質的な解決にはならない。無思考の自責は、優しさではなく逃げなのではないか。

「他責思考」と聞くとマイナスな響きが感じられるけれど、有効に使うこともできるのだと思う。大切なのは「他責はダメ」と決めつけることではなく、現状を正しく把握することだ。

少し違う話になるけれど、誰かの相談に乗るときのことを考えてみた。

「話を聞くときは共感が大事」なんて、耳にタコができるほど聞いたことのあるセリフだと思う。だけど、共感ってなんだろう?

わたしは昔から、相談に乗るときむやみやたらに励ましたり安心させたりすることに違和感を覚えていた。もちろんそういうリアクションを望んでいる場合もあるかもしれないけれど、不安を抱えている人にポジティブを強要することになっていないだろうか、そんなことをしたら相手は居心地悪く感じてしまうのではないか、そう考えてしまうのだ。

最近たどりついたやり方は、何をどれくらい不安に感じているのか聞くことだ。その不安の程度によって、わたしがしたいことは変わってくる。笑い飛ばすのか、不安要素を一緒に挙げてみるのか、ただ黙って話を聞くのか。つまり、まずは「現状を正しく把握する(この場合、相手が現状をどう捉えているのかを確認する)」ことが大切なのだと思う。

「可能主義者」とは、根拠のない希望を持たず、根拠のない不安を持たず、いかなる時も「ドラマチックすぎる世界の見方」を持たない人のことを言う。

根拠のない希望も、根拠のない不安も、どちらも完全に消すのは無理がある。そしてきっと人によって、どちらを持ちやすいのかは異なると思う。

わたしのようにネガティブ気味の人は、根拠のない不安にすがるのをやめてみよう。なんでもかんでも自責とせず、勇気を持って現状と向き合ってみよう。『ファクトフルネス』には、世界を正しく見るためのヒントが書いてある。さて、今週は何かと移動が多いので、第3章以降をちまちま読み進めていきます。


おわり

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