バイエルン歌劇場

バイエルン州立歌劇場 パルジファル

2018/7/8木 17:00- バイエルン州立歌劇場

Musical direction Kirill Petrenko
production Pierre Audi
stage Georg Baselitz
Cooperation stage design Christof Hetzer
Costumes Florence by Gerkan
Cooperation costume Tristan Sczesny
light Urs Schönebaum
dramaturgy Benedikt Stampfli , Klaus Bertisch
choirs Sören Eckhoff
children's choir Stellario Fagons
Amfortas Christian Gerhaher
Titurel Bálint Szabó
Gurnemanz René Pape
Parsifal Jonas Kaufmann
Klingsor Wolfgang Koch
Kundry Nina Stemme
First Grail Knight Kevin Conner
Second Grail Knight Callum Thorpe
Voice from above Rachael Wilson
First squire Paula Iancic
Second squire Tara Erraught
Third squire Manuel Günther
Fourth squire Matthew Grills
Klingsor's magic girl Golda Schultz
Klingsor's magic girl Selene Zanetti
Klingsor's magic girl Tara Erraught
Klingsor's magic girl Noluvuyiso Mpofu
Klingsor's magic girl Paula Iancic
Klingsor's magic girl Rachael Wilson
children's choir Children's choir of the Bavarian State Opera

Bavarian State Orchestra
Choir of the Bavarian State Opera

ハンブルクバレエ週間の合間を縫って、この夏の欧州で一番人気の、ゴールデンキャストのパルジファルに行って参りました!

歌手とオケに関してはもう本当に素晴らしいの一言だったこの公演。その中にあって、私に特に衝撃的な印象を残したのは生で聴くのは初めてのゲルハーヘルでした。

深みある声で正確な音程とリズム、そして役が憑依したような演技。演出にアンフォルタスをフィーチャーする意図があるように見えたのは、彼の演技のせいだけなのでしょうか。キリストの受難とアンスォルタスの苦悩の重なりが強調されているように見えて、特に三幕は民衆の生贄にされる彼の苦しみが痛々しい。あのシーン、オケも素晴らしくて鳥肌が立ちました。

前日にミュンヘンでアラベラも観たんですが、このときのオケはイマイチ。ところがペトレンコ指揮となると別人のように引き締まる。ワーグナーが楽劇という名を付けた通り、歌手だけじゃなくてオケも台詞なんだなというのが難しい予備知識なくても実感できる素晴らしいパフォーマンスでした。歌手とオケが本当に一体化していた。

ペトレンコの頭の中では、全てのフレーズに意味が明確にあるんだろうな、と思います。そしてその考えを徹底的にリハで形にしているのだろうな、とも。彼の天才性は勿論称賛すべきですが、それと同時にリハーサルでの妥協ない姿勢があるからこその完成度の高さも感じます。

念願かなって初めてオペラで観られたヨナスさん!無垢な愚か者のチャーミングさ、王となったときの英雄感、やっぱりこの人役者だわーと嬉しく見てました。勿論、歌声も素敵✨こんなのを聴いてしまうと、英雄もいいけど、愛に溺れて破滅する色っぽい役でも観たいよーと更に欲が出てしまいます・・・去年オテロを逃したのは痛かったなあ。

グルネマンツのパペさん、やっぱこの人の声好きだなーとしみじみ思うなど。演技が若干淡白に感じるのはゲル様と比較しちゃったからかも。

更にこちらも念願かなって初めて生で聴けたシュテンメ、素晴らしかった!彼女もリズム感がはっきりしてるの気持ちいい。そしてあの演技力!パルジファルを落とそうとするクンドリは、色仕掛というより母性で迫る感じだったけど、歌も演技も物凄い説得力で、あれで落ちないパルジファルの選ばれた者感が凄い!

と、オケと歌手にはひたすら感激しきりでした。一方、演出について。

著名な画家Georg Baselitzを起用したということで彼の美術を最大限に活かそうということだったのでしょうか、演出は極めて静的で、背景の前でひたすら歌手が立ちんぼで歌っているという風情に感じました。私がBaselitzの美術に関して正しい評価をできないせいかもしれませんが、あの素晴らしい歌手陣やオケをさらに持ち上げるような効果はなかったように思います。北の大地に立つ木々のようなモチーフが終盤で逆さになるのには意味があったのでしょうが・・・理解できず申し訳ない。ただ、演出が音を邪魔するようなことはなく、エログロもなかったので、ブーイングするというほどでもなかったように思いました(実際、劇場でのブーイングは少数派)。

この公演、結局Webの一斉発売のときはチケットが出なかったくらいの人気公演だったのですが、それでも1stカテゴリーのお客様が幕間にどんどん帰るという現象が。演出がつまらなかったせいでしょうか・・・歌手とオケは素晴らしいのに。日本では考えられないことです。

また、当日、開演前の劇場入口付近では、チケットを求める人と売りたい人のやりとりが盛んに行われていました。立ち見であれば、苦も無くチケットを手に入れられたことと思います。人気公演のチケット、当日に手に入れる方法もあるのねー、と、かなり興味深く状況を見ておりました。

バイエルンの夏のオペラフェスを訪れるのは初めてだったのですが、気候もいいし食べ物も美味しいし楽しいですね!病みつきになりそうです。

きれいに撮れていませんが、カーテンコール。

劇場外に掲示されていた写真から、パルジファルとアンフォルタス。

劇場内に掲示されていた写真から、ペトレンコ。


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