ウィーン国立バレエ

ウィーン国立バレエ団 ヌレエフ・ガラ

2018/5/9水 18:30- オーチャードホール

ウィーン国立バレエの来日公演、まずはヌレエフ・ガラから。このガラは現地でも年に一度シーズン終わりの必ず上演されているもので、日本公演に特別に持ってきてくれたんですね。

昨年のルグリ・ガラと違ってカンパニー総出の公演ということで、ウィーンのダンサー達は本当によくトレーニングされてるなぁと感心させられました。

以下、演目とキャストの後に印象的だったものについての感想を。音楽は一部でピアノの生演奏がありましたが、それ以外は録音でした。

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《ワルツ・ファンタジー》
振付:ジョージ・バランシン
音楽:M.グリンカ

ナターシャ・マイヤー、ヤコブ・ファイフェルリック、
エレーナ・ボッターロ、アデーレ・フィオッキ、スヴェヴァ・ガルジューロ、マディソン・ヤン

《Opus 25》
振付:エノ・ペチ
音楽:F.ショパン

マリア・ヤコヴレワ、エノ・ペチ

《ヨゼフの伝説》
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:R.シュトラウス

ヨゼフ:デニス・チェリヴィチコ
ポティファルの妻:ケテヴァン・パパヴァ

《ソロ》
振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:J.S.バッハ

木本全優、リヒャルト・サボー、ジェロ—・ウィリック

《ペール・ギュント》
振付:エドワード・クルーグ
音楽:E.グリーグ

アリ—チェ・フィレンツェ、ヤコブ・ファイフェルリック

《ランデヴー》
振付:ローラン・プティ
音楽:ジョゼフ・コズマ

イリーナ・ツィンバル、マニュエル・ルグリ

《マーマレーション》
振付:エドワード・リアン
音楽:E.ボッソ

ニーナ・ポラコワ、イオアンナ・アヴラアム、アリ—チェ・フィレンツェ、スヴェヴァ・ガルジューロ、
ガラ・ヨヴァノヴィチ、アニータ・マノロヴァ、スーザン・オパーマン、マディソン・ヤン、
ロマン・ラツィク、ヤコブ・ファイフェルリック、ミハイル・ソスノフスキ、レオナルド・バジリオ、
フランチェスコ・コスタ、ジェロー・ウィリック、イゴール・ミロシュ、トリスタン・リーデル、ジョルト・トゥルック

《シーニュ 白鳥》
振付:ダニエル・プロイエット
音楽:O.ヴォイチェホヴスカ

ケテヴァン・パパヴァ、川西凛空

《コンチェルト》
振付:ケネス・マクミラン
音楽:D.ショスタコーヴィチ

リュドミラ・コノヴァロワ、ロマン・ラツィク
エレーナ・ボッターロ、アニータ・マノロヴァ、芝本梨花子、
リヒャルト・サボー、ドゥミトゥル・タラン、アンドレイ・テテリン

《赤のジゼル》
振付:ボリス・エイフマン
音楽:P.I.チャイコフスキー

オルガ・エシナ、ウラジーミル・シショフ

《ストラヴィンスキー・ムーヴメンツ》
振付:アンドラーシュ・ルカーチ
音楽:I.ストラヴィンスキー

アリ—チェ・フィレンツェ − 木本全優、
イオアンナ・アヴラアム − ジェームズ・ステファンズ、
フィオーナ・マクギー − アレクサンドル・トカチェンコ、
スヴェヴァ・ガルジューロ − アルネ・ヴァンデルヴェルデ、
ジェロー・ウィリック

《シルヴィア》
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:レオ・ドリーブ

イリーナ・ツィンバル、マニュエル・ルグリ

“ヌレエフ・セレブレーション”
振付:ルドルフ・ヌレエフ (マリウス・プティパとレフ・イワーノフに基づく)
構成:マニュエル・ルグリ
音楽:P.I.チャイコフスキー、A.グラズノフ

《くるみ割り人形》 第2幕より“アダージオ”

橋本清香、レオナルド・バジリオ

《ライモンダ》

第3幕より
“ヘンリエットのヴァリエーション”
ナターシャ・マイヤー

“4人の騎士の踊り”
スコット・マッケンジー/トリスタン・リーデル、
ドゥミトゥル・タラン、アルネ・ヴァンデルヴェルデ、
ジェロー・ウィリック

“クレメンスのヴァリエーション”
?、アニータ・マノロヴァ、芝本梨花子

第2幕より

“アブデラーマンのヴァリエーション”
ミハイル・ソノフスキ

“サラセン人の踊り”
スヴェヴァ・ガルジーロ、フランチェスコ・コスタ

“ライモンダのヴァリエーション”
ニーナ・ポラコワ

《白鳥の湖》

第1幕より
“パ・ド・サンク”
ヤコブ・ファイフェルリック、イオアンナ・アヴラアム、アリ—チェ・フィレンツェ、
スコット・マッケンジー、リヒャルト・サボー

“王子のヴァリエーション”
デニス・チェリヴィチコ

第3幕より
“スペインの踊り”
ガラ・ヨヴァノヴィチ、アライア・ロジャーズ=ママン、
アレクサンドル・トカチェンコ、アンドレイ・テテリン

“黒鳥のパ・ド・ドゥ”
リュドミラ・コノヴァロワ、木本全優
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一番印象的だったのは、ルグリのシルヴィア。あの、二人が再会するパドドゥは、年齢を重ねたダンサーが踊ると何とも言えない味わいがあります。いまだに美しいルグリの動きと、彼の常である、内側には大きな感情を抱えながらも動きにはそれを抑え目に出す表現を観ていたら、思わず涙がこぼれてしまいました。パートナーに対する包容力も、この方ならでは。こんなに技術と人間性の両方が高いレベルにある人は、そうそういないですよね・・・。ご存知のバレエファンも多いと思いますが、ノイマイヤーのシルヴィアの初演はパリ・オペラ座で、ルグリはそのときの初演キャストです。ジョン、ルグリにこの、いまだに踊れるパドドゥを振付けてくれて、本当にありがとう、という気持ちになりました。ツィンバルも大人っぽくしっとりしていて素敵なダンサー。

ノイマイヤーつながりでは、「ヨゼフの伝説」が一部でも生で観られて嬉しかった。この作品、私はまだ未見なんです、ハンブルクでももう長いこと上演されてないし。DVDは持ってるけど。しっかし、美しい人妻が少年を襲うシーンを取り出して上演とは・・・^^; ヨゼフが衣をはぎとられてサポーター1枚になるシーンとか、もうジョンの趣味全開だわ♥とか思ってニヤニヤしながら観てましたが、どうやらクラシック好きが多かったらしいこの日の観客は呆気にとられていたようで、拍手も困惑が伝わるような感じでしたね。あ、そうそう、音楽がとても素敵だなと思ったのですが、もともとこれ、Rシュトラウスがバレエ・リュスの「ヨゼフの伝説」のために創ったものなんですね。ウィーンフィルの演奏であのシュトラウスを聴きながらバレエを観たいものです・・・!来シーズンはウィーンでの上演の予定がなくてマジ残念。ハンブルクでもそろそろ再演しないかしら。トルシュやアレシュ、ヨゼフに似合うと思うんですけどねー。

あ、そうそう、この作品に限らず、この日の観客はクラシック好きが多かったように思いました。コンテには反応薄くて、ヌレエフ・セレブレーションのみ拍手していた人もいたし。ルグリ自身はコンテも凄く上手い人だったし、私は彼とギエムにコンテの面白さを教えてもらったので、客層がいまだにクラシック至上主義なのを見ると何だか残念な気持ちになります。両方あってこその現代のバレエ界なのに。

作品として面白かったのは、ダニエル・プロイエット作の「シーニュ」。ダニエルを知ったのは、シェルカウイの「テヅカ」を観たときで、彼、着物を着て女形をやったり(日本舞踊が踊れるんですよね)、ブリーフ1枚で男パドドゥを踊ってたりして、色気があってしかもとても上手いダンサーだなと印象的でした。その彼が、踊るだけじゃなく振付もするというのは嬉しい驚き。この作品は、瀕死の白鳥と、それを見守る少年という形になっていて、白鳥の動きが動物的なところや、照明や投影されるビジュアルの使い方などが今っぽくてよかったです。パパヴァは手足が長くて体がきれいなダンサーですねー。

抜粋ですが元の作品を観たいと思ったのは、エイフマンの赤のジゼルとクルーグのペール・ギュント。

赤のジゼルは、チャンスがあれば全幕を観に遠征したいと思っている作品の一つで、今回一部だけでも見られるのを楽しみにしてました。でも、短すぎですー!白い衣装の女性が軍服っぽい男性に乱暴されるシーンで、これはジゼルとヒラリオンなの?とストーリーも分かりませんでしたが、いやはや超絶難しいリフト連発かつ、激しい感情が行き交う凄い振付でした。エシナって物凄く美しいダンサーで好きだなあ。

クルーグのペール・ギュントは今どきのネオ・クラシック系でノイマイヤー好きには親しみやすい舞踊言語でした。ファイフェルリック、古典より断然こっちの方がいい!チャーミングだし表現力もあってとても素敵。フィレンツェも奥ゆかしくて一途なソルヴェイ(ですよね、あの役)に似合う風情で、ほんとこれはダンサーのパフォーマンスも凄くよかったです。

ファン・マーネンの「ソロ」は、動ける男性ダンサー3人がソロで踊りまくる作品で、3人ともキレッキレで凄く楽しかった!ジェロー・ウィリック、ルグリ・ガラで来たときもいいなと思ったんですが、やっぱり彼のリズム感凄い好きだわー。サボーもいいですね。木本君はテクニックがあり、とても正しくクラシックに踊る人だなぁという印象でした。

ヌレエフ・セレブレーションは、変態的に難しいヌレエフの振付を、よくまあウィーンのダンサーが踊りこなしていることよ、ということに尽きます。何より一番印象的だったのは、初っ端のくるみの橋本さん!堂々としていて、華があって、テクニックも完璧。緊張していたらしいパートナーのバジリオに対して「大丈夫よ!」と励ましているともとれる包容力のある素敵な笑顔を何度も向けながら、パートナーの力を借りずに、いや、パートナーを助けながら完璧に踊り切ったあのお姿、後光がさしているような崇高で美しい姿で感激しました。海賊でも彼女を観られる予定で、楽しみです。あと、コノヴァロワのラスボス感も凄かったなあ。

もっといろんなことを感じたように思ったけど、とりあえず今覚えていることを書き散らしました。今日これから、海賊最終日に行ってきます!

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