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世界バレエフェスティバル2018 Bプログラム

東京文化会館
2018/8/8水 18:00-
2018/8/9木 18:00-
2018/8/11土 14:00-
2018/8/12日 14:00-

こちらも4回観に行ったBプロ、大充実の素晴らしい公演でした!
物語バレエが多かったせいもあり、私のハンブルク友達の間でも各演目への評価は様々。得点スポーツじゃないし、そういうものだと思います。違う意見をお互い言い合うのも面白かった。
というわけで、私の見方が正解ではありません。意見が違う方がいらしても、好みは人それぞれと思って読んでいただけると有難いです。

以下、演目ごとに感想を。

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス  
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル(「ソナチネ」「椿姫」)

― 第1部 ―

■「眠れる森の美女」
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オレシア・ノヴィコワ
デヴィッド・ホールバーグ

ホールバーグ、やはりまだ完全復帰ではないのかな、と思わされる安全運転でした。最終日は多少ジャンプを思い切りしていたように感じましたが。でも彼の足のラインや爪先は本当に美しい。いつか、全力で踊る姿を見せてくれるといいな。ノヴィコワは正しくワガノワ・メソッドで実に端正な踊り。彼女はマリインスキーのファーストソリストですが、今年年末の来日公演には来てくれるのでしょうか。

■「ムニェコス(人形)」
振付:アルベルト・メンデス
音楽:レムベルト・エグエス
ヴィエングセイ・ヴァルデス
ダニエル・カマルゴ

男女の人形が人間化して恋に落ち、また人形に戻ってしまうけれど添い遂げようとする、という切ないストーリー。水平のお人形だったカマルゴ君がめっちゃ可愛かった。彼はコンテっぽい動きをしても、はっとするほど目をひくダンサーだなーと。ヴァルデスはごめんなさい、私には衣装がちょっと痛々しく感じられてしまった。あと、彼女がもっと演技が上手かったらこの作品を面白く感じられたかもなあと。ヴァルデス、テクニック勝負の作品の方がよかったんじゃないかな。

■「ソナチネ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:モーリス・ラヴェル
レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ

ラヴェルのピアノ音楽に乗って若い二人が音楽的でピュアな踊りを見せてくれた作品。雰囲気はロビンスのアザー・ダンスなんかに似てるなあと思いました。でもこの振付、すごくテクニック的に難しい。特に男性パートは体力的にもかなりハードに感じました。涼しい顔で踊り切った二人にブラヴォー!ジェルマンの美しい長い手足が生きる作品でした。

■「オルフェウス」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー、ハインリヒ・ビーバー、ピーター・プレグヴァド、アンディ・パートリッジ
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

Bプロで一番楽しみにしていた作品。2009年に当時ハンブルクのゲストダンサーだったボッレに振付けられた全幕ものからの抜粋。オルフェウスの竪琴はヴァイオリンに置き換えられています。
幕が開くと舞台中央にヴァイオリンを持って背中向きに佇むオルフェウス。彼がゆっくり振り返るところからスタート。この始まり方、「ノイマイヤーの世界」のニジンスキーのパートに似てるな。振り返るシーンでもうサーシャではなくオルフェウスになりきっている。
大切にしていたヴァイオリンを苦し気に放棄するオルフェウスのソロの後、冥界の奥からエウリディーチェが彼のところにやってくる。「見てはいけない」をダンスの世界で表現するために使われるのは、サングラス(ノイマイヤーのアイディア素晴らしい)。サングラスをかけたオルフェウスとエウリディーチェのパドドゥ、触覚でしかエウリディーチェを感じられないオルフェウスと、慈愛さえ感じさせる優しさで彼に触れるエウリディーチェ。これはたまらくなるよね・・・と思った頃に、苦し気にうずくまるオルフェウス。そして遂に彼はサングラスをかなぐり捨て、彼女を見てしまう。お互いを目で確認し合いキスをする二人ですが、その後、エウリディーチェは苦し気に身をよじり始め、冥界の奥に連れ戻されてしまう・・・。
タキシードで苦しみを表現するコンテを踊るサーシャが好きすぎる。ほんと彼の上半身は柔らかくて雄弁で、体は大きくないけど支配する空間が広いなぁと思うんですよね。そして、見られた後のシルヴィアのあの動きが、人でないものになっていく感じでゾッとするほど凄かった。シルヴィアのコンテは強くて表現がはっきりしていて、とっても好きなんですよ、これまた。
オルフェウスの全幕は2011年のバレエ週間のときにサーシャ&エレーヌで観ているんですが、あまり記憶に残っていないのです。全編かなりコンテな振付で、当時の私には理解できなかった部分も。今観たら全然感想が変わりそうなので、またサーシャで観られたらと思いますが・・・叶わぬ夢か。

■ローラン・プティの「コッペリア」
振付:ローラン・プティ
音楽:レオ・ドリーブ
アリーナ・コジョカル
セザール・コラレス

楽しかった!私はロンドンでアクラムジゼルのヒラリオンを観てからというもの、すっかりセザールのファンで。今回のかなーり俺様なフランツと、全力の跳躍と回転、超絶爽快でした。こういう若いパワーってフェスらしいなって思う。まあプティらしいエスプリとかはないかもしれないけど、そこはもう大目に見ちゃう。そしてコジョカルのスワニルダも超可愛くてよかった。この作品は、彼女の抜群な音感のよさが活きてていいね!私は、こういう可愛い作品を踊るコジョカルが好きです。

― 第2部 ―

■「シンデレラ」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ドロテ・ジルベール
マチュー・ガニオ

キラキラに美しい二人がキラキラな衣装で、最高に美しいプロコの音楽と共に踊る作品。踊り自体は静かで地味だけど、私はこのパリオペじゃないと出せないゴージャス感がとてもいいな!と思いました。年始にパリで椿姫を観る予定なんですが、同じ時期にやっているシンデレラも観たくなってしまう・・・。
それにしてもドロテとマチューって、本当にバレエ的にお似合いだと思う。本拠地で二人で踊る機会が少ないのが勿体ないです。

■「HETのための2つの小品」
振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:エリッキ=スヴェン・トール、アルヴォ・ペルト
タマラ・ロホ
イサック・エルナンデス

2つの小品のうち、前半の速い動きのやつが面白かった。体の利く二人がビシビシ難しい小技も入れながら踊りまくる。作品にそういう意図はないのだろうけど、二人でいるとやはりタマラの方が上にいるのだな、ということが視線一つで分かります。でもイサックもいいダンサーだよな!
私は衣装に対しては特に何も感じませんでしたが、ネットで皆さん黒いシースルーの衣装(男性は下がTバック)にやたらと反応されていたようです。

■「白鳥の湖」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー
レオニード・サラファーノフ

アシュレイ・ボーダーのオディールはかなりなアメリカン仕様。演技も黒鳥というよりは黒い鷹かなんかですか、というくらい挑戦的・攻撃的でした。連続フェッテのゆるぎない軸は素晴らしく、手を上げたダブルでも全くグラつかず、往年のステパネンコ姐様を思い出しました。サラファーノフはそれより柔らかな演技だったので、なんか二人のバランスがあんまりよくないなぁという感じも。サラファーノフ、奥様と踊ってるところも観たかったなー。あ、ガラでは二人で白鳥のグランアダージオ踊るのですね!

■「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アリシア・アマトリアン
フリーデマン・フォーゲル

いわゆる白のパドドゥ。この後の黒のときもそうですが、椿姫って本当によくできた作品だなぁとしみじみ思いました。椿姫の初演はシュツットガルトバレエなので、ハンブルクバレエと並んでこちらも本家と言えるかなと思います。椿姫は大好きな作品だし過去にいろいろな名演をたくさん観てきたので、つい点数が辛くなりがちですが、このパフォーマンスは私には合格点、くらいかな・・・。二人ともとても美しいし、あの超絶ハードなリフトもスムーズにこなしていたとは思うのですが、何というか、役への入り込み方が。ここは、パトロンとも縁を切って本当の意味でお互いの真実の愛に目覚めた、最高に幸せな瞬間だと思うのですよ。もっともっとお互いだけしか見えない!って感じが欲しかったかな。(うるさくてすみません・・・)

― 第3部 ―

■「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
メリッサ・ハミルトン
ロベルト・ボッレ

予想はしていたけど、ボッレ様のロミオが素敵すぎました。彼って彫刻みたいな体でイケメンだけど、決してお高いハンサムじゃないんですよね。物凄くキュートなロミオだった。メリッサ演じるジュリエットが大好きで大好きでたまらなくて、ずーーーっと彼女の方を見ながらとろけそうな笑顔なの。いやいやあんな顔向けられたらパートナーもメロメロでしょう。登場のシーン、バルコニーでジュリエットとしばし見つめ合った後、近づいて行くときの足取りが、ちょっとおずおずしてる。激情で突っ走るロミオというより優しくて繊細な感じが好みです♥
メリッサは、マクミランよりはコンテの方がいいんだなと思いました。そつなくこなしていたとは思いますが、感情表現がやや淡泊。おかげでジュリエットにあまり目がいかず、ボッレ様だけに集中してしまうことに。まあそれはそれでいいんですけど。
しかしボッレ様、御年43才のはずですよね。何なんでしょう、テクニックといいルックスといい、この若々しさは!
そういえば、土曜日はクラスレッスン見学会に参加したのですが、ボッレは観客が入る前からバーのところにいてストレッチなどをしていました。センターもほぼ最後まで真面目に参加していた。こういうストイックな姿勢が、レベルの高さを維持できる秘訣なんだろうなと思います。

■「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン

ダイヤモンドはロパ様が一番!と思ってはいますが、ミリアムのはロパ様とは全く違うアプローチで素晴らしかった・・・!大感動!ロパ様が硬質で冷たい輝きを放つダイヤモンドだとすれば、ミリアムのそれはもっと温かい輝きを持つダイヤモンド。ちょっと黄色とかピンクが入っている感じかな。ミリアムは小柄なのですが、舞台にいるとそれを感じさせない大きな存在感。そして、彼女の元々持つキュートな雰囲気に、この作品では類稀な高貴さが合わさって・・・、王室の方のような感じというのが言葉でいうと一番近いかもしれません。彼女の髪の毛一本まで気持ちの行き届いた繊細で丁寧な踊りがまた素晴らしい。静止のポーズはあるのですが、常にどこかが美しく揺らめいているような感じもあり。ああこれが観られて幸せでした。
もちろんマチアスも美しかったです。彼は飛んだり跳ねたりしなくても、こういう役でも十分存在感があって光る存在なのだなと。
土曜日のクラスレッスンでは、マチアスは最後まで跳躍や回転を精力的に練習してました。怪我は、日本に来た当初よりだいぶよくなっているのではないかと思います。どうやらファニーガラでもポワントを披露してくれる様子、楽しみ♥

■「マノン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー

最終日に二回のカーテンコールがあったのが、私には全く理解できませんでした。皆さんあれで感動されたのか、と客席で一人びっくりしておりました。
コジョカルの、高い身体能力を使いながらも脱力して見せる演技は見事でした(走るときの手の使い方の幼さはちょっと気になったけど)。問題はコボーです。沼地は男性はほとんど踊らないのは踊らないのですが、演技はしないと。コボーは演技派だったと思っていたのですが、やはりしばらく舞台から離れていたせいでしょうか、演技がチマチマしていて、あの会場の観客ににデグリューが感じている痛みを発信する力は、全くなかった。舞台から遠ざかって長い人をパートナーだからといって出演者に加えるのは、今後は考え直してもらいたいです、NBSさん(アンケートにしっかり書きました)。バレエフェスの質を下げないでほしい。

■「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
サラ・ラム
フェデリコ・ボネッリ

実は私、これがBプロで五本の指に入るくらい面白かった。アポロは苦手演目の一つで今まで一度も楽しいと思ったことがなかったんですが、フェデリコのアポロが物凄くよくて!自分でもびっくりするくらい毎回ワクワクしながら観ていました。
この男性パートの振付って膝落として手を前に突き出したり、不思議なのが多いのですが、フェデリコの演技はそれらのすべてが「ああ、この音にこう嵌めてるからこうなのか!」というのがはっきり分かるのです。なるほどバランシンは観る音楽とは、こういうことかと。同様にサラの演技も、あ、この足はこの楽器のこの音をたどっているのね、とかがはっきりわかる。そういう目で観ると、この振付は当時とても斬新だったんだろうな、というのを感じました。Aプロの二人にはそれはなかったなあ。この違いは、ダンサーの素質の影響もあるとは思うけど、いい先生にきちっと解釈を教わっているかどうかの差のような気も。振付家の意図を理解するというのは、作品を活かすためにとても大事なのだなあ。

■「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ

ショパンのバラード一番に乗って踊る黒のパドドゥ。リアルカップルの二人の間の相手を想い合う気持ちをそのまま反映している役作りは素晴らしく、マルグリットが入ってきて二人で少し言い合いをし、正面に二人で並んで立ち、さあこれから踊るよ・・・というところまでは素晴らしい!と思いました。が、その先がなあ。アンナはとてもよかったと思うのですがエドウィンががが。彼はルックスはきれいだしリフトサポートはそつないんだけど、テクニックとリズム感がないので、どうしても、一つ一つ安定的に要素をこなしている、という感じに見えてしまい、黒特有の後半の疾走感がないままに終わってしまって消化不良。この二人なら白の方がよかったのに!!そしてシュツットガルト組は黒の方がよかったんじゃないかなー。
ところで椿姫を観るたびに、私にとってのアルマンはサーシャ・リアブコに適う人はいないなあと、そして、彼のアルマンをもう観ることはできないんだなあと、物悲しい気持ちになります。だからといって、他の人のを見たくない、というわけではないんですけどね。あの、観る方の感情をも全部持っていくような激情型アルマンが恋しいです・・・。

― 第4部 ―

■「じゃじゃ馬馴らし」
振付:ジョン・クランコ
音楽:ドメニコ・スカルラッティ
編曲:クルト・ハインツ・シュトルツェ
エリサ・バデネス
ダニエル・カマルゴ

これは文句なしに楽しかった!カマルゴめっちゃかっこいい!ペトルーチオってもともと誰がやっても美味しい役ではあるのだけど、それを差し引いてもあの美しさとワイルドさと高いテクニックが同居したカマルゴ君素敵です。あああ彼にはシュツットガルトにいてクランコ作品をバリバリ踊ってほしかったな・・・監督変わったし、戻ってこないでしょうかね。
バデネスも強い筋肉と抜群のリズム感で、正しくクランコダンサー。土曜日のクラスレッスンでは、男性ばかりになったセンターで男前にレッスンしている姿が印象的でした。
あとこのじゃじゃ馬はスカルラッティの音楽が生音だったのも更に盛り上がる要因に!

■「ヌレエフ」より パ・ド・ドゥ
振付:ユーリー・ポソホフ
音楽:イリヤ・デムツキー
マリーヤ・アレクサンドロワ
ウラディスラフ・ラントラートフ

話題の新作ヌレエフの一部が観られるということで楽しみにしてました。このシーンで二人が演じているのはヌレエフとマーゴ・フォンティーンで、どうやら劇中劇のマルグリットとアルマン、だそうです。ヌレエフという題材で、しかも作品の内容にゲイ要素が多かったから初演が急遽延期になったといういわくつきの作品なので、本当は、それらしい部分が観たかったなぁという気も・・・。
ただし、二人の息の合ったダイナミックなパドドゥは素晴らしく、ストーリーはどうあれ、バレエとしての見応えは十分!でした。マーシャは、ザ・古典よりもこういうストーリー性あるものの方が大人っぽくて素敵に見える。
カーテンコールでの、相変わらずのラブラブっぷりが微笑ましかったです。

■「アダージェット」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:グスタフ・マーラー
マリア・アイシュヴァルト
アレクサンドル・リアブコ

物凄く素敵でした。そんな言葉では言い表せないくらい。これを踊ってるときのサーシャは表情も含めて本当に本当に美しくて、あまりの神々しさに毎度涙が出てしまった。上半身の使い方が本当に繊細できれいで、手先の動きだけでうっとりするとか、音の取り方がドラマチックでストーリーがないのにあるように感じさせるとか、そういうことは勿論なのですが、何よりも、その精神性の高さに打たれてしまうのですよね・・・。達観しているというか、哲学者のよう。こういうのは、演技で表現できるものではなく、彼の内面から滲み出てくるものだよな、と毎度思います。こちらも浄化される気がしました。あの演技を思い出すにつけ、彼へのリスペクトが更に強くなります。本当に大好き。
そして、アイシュヴァルトとのケミストリーも素晴らしいです。前にも書いたけど、アイシュヴァルトだとサーシャよりもお姉さんな感じがして、対等な関係のシルヴィアとは違う味を生み出すような気が。彼女、アダージェットを初めて踊ったのは昨年の8月なんですよ。ノイマイヤーのところにいたわけでもないのに、こんなに完璧にジョンの世界を表現できるとは、彼女も凄いアーティストだなあ。
ところでマーラーの五番に振付けたノイマイヤーの作品は、All Our Yesterdaysというタイトルで、来シーズン2~3月にかけてハンブルクで再演されます。これ、私も全幕を観たことがないので、是非サーシャとシルヴィアで観てみたいと思っています。彼らがキャスティングされますように。そして私がうまく休みをとれてハンブルクに観に行けますように!
あ、そうだ。アダージェット、東フィルさんの演奏もとてもよかったです。生音マーラーでサーシャの踊りを観られるなんてこの上ない幸せ。東フィルさん、素晴らしいサポート有難うございました。

■「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アレッサンドラ・フェリ
マルセロ・ゴメス

Bプロの白眉。フェリが素晴らしかった。既にアダージェットで感情が高まっているところにこれで、もうBプロ4部は感情の整理が大変でした。
フェリのタチアナは、決してオネーギンにほだされてはいないな、というのが私の印象。心は千々に乱れているものの、行動としては常に彼を拒否する姿勢でした。いろいろな人のタチアナを全幕含めて観てきましたが、結構このシーンは彼に一旦落ちる、という解釈の人も多いように思います。が、それだとただのメロドラマだよなと思ってしまい。フェリの、終始拒否する演技をしながらも彼に身を投げ出してリフトされる、その絶妙なバランスが流石だなぁと思った。とはいえ、観ているときはこんな冷静なことは考えていられず、心の嵐がそのまま表に出ているようなフェリの顔と演技に釘付けでした。手紙を彼に差し出す手が細かく震えているところとか、もう凄かった。最後は口を大きく開けて慟哭。フェリ、復帰したてより今の方が更に、ダンサーとして体力的にも充実してきているのではないでしょうか。是非彼女のノイマイヤー椿姫を観たいんだけど、どこかで踊ってくれないかな。
ゴメスは、子犬のようにすがりつく感じの割と気弱なオネーギンでした。初老の格好をした彼はとてもダンディで素敵。

■「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン

きたきた、これぞフェスのトリ!って感じのドンキでした。シムキン君、相変わらずよく跳ぶよく回る!540×3回には会場も涌きました!彼はテクニックが卓越してますけど、力任せじゃなくて本当にノーブルなところがいいと思う。最終日だけは演技も思いっきり「ドヤ!」ってしてたけどそれはお祭りですから。コチェトコワは扇子なしのキトリでした。連続フェッテはシングルでしたが、一気にスピードを上げたオケ(おそらく彼女のオーダーと思われる)に合わせた高速回転!エネルギッシュな二人のパワーが、フェリの名演の余韻をいい意味で吹き飛ばしてフィナーレへ。ああ楽しかった。

Bプログラムの楽日は、恒例の手ぬぐい投げがありました。私も会員席で前方だったので目の前に落ちてきたのを一つゲット!この手ぬぐい投げはガラの日もありますので今回とれなかった方は次回に期待してください。

ああ、あんなにたくさんあったバレエフェスのチケットも残すところササキガラの1枚のみ。どうやらファニーガラの準備も着々と進んでいるようで期待が高まります^^

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