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中国人が見る日本は驚きと不思議に満ちていた!

こんにちは、基弘会広報の林(リン)です。
私は中国の内モンゴル出身で、2010年に日本にやってきました。来日して、日本での様々な体験がどれも新鮮で、私にとってはとても味わい深いものばかりでした。今になってようやく理解できたこともあれば、今でも不思議に思うことがたくさんあります。
今回は、私がこれまで日本での生活で体験した驚いたことや不思議に感じたことをお話させていただきます。

◉ コンビニの接客について

日本に来たばかりの頃、自宅の近所にコンビニがありました。初めて入った時に、店員さんがとても元気な声で「いらっしゃいませ」と言ってくれました。
当時はまだ日本語もよく分からない時期で、一瞬どのように返したら良いか言葉が詰まり、とてもドキドキしたことを覚えています。私の母国:内モンゴルでは、「いらっしゃいませ」と話しかける接客文化がありません。消費者として来店した私と店員との関係性は雑談を交えたとてもフランクなものです。

その様な感覚の当時の私は、コンビニの店員が私が入店した際に「いらっしゃいませ」と言ってくれた時に、日本語で雑談をしないといけないという意識が働き、とても緊張しました。

当時、店員の「いらっしゃいませ」に始まる声かけは日本の接客であるとの認識は全くありませんでした。ただ、「優しいから、声をかけてくれた」と思っていました。その「優しい気持ち」に応えたくて、その日は、必要以上に沢山の品物を買って帰りました。

また「お弁当を温めますか」、「おしぼりを入れさせていただきますね」という丁寧な対応と、最後にコンビニから出る際にも「ありがとうございました」と、お店の自動ドアのすき間からまだ聞こえていました。本当に接客がとても素晴らしく感動しました。

しかし、私は日本の接客とはお店の商品を多く購入したお客さまに対して、店員が応えてくれるといった間違った解釈をしていました。
当初そう思っていた学生の私は当然、お金には余裕が無く、自分からすればコンビニを利用する事自体がお金がかかると思い、負担に感じる時期がありました。良い接客を受けようと思うとたくさん商品を購入しないといけないのか??と。

そんな迷いの中で、ある日、コンビニで偶然に目の前でおにぎりを一つだけ買った先客を見かけました。レジ待ちの際、後ろから見ていたのですが、おにぎりを一つだけ購入しようとする先客に対する店員の接客応対も私が受けた接客と変わることなく、「いらっしゃいませ」、「袋に入れておきますね」、「ありがとうございます」と、店員が丁寧に応対していたのです。
その先客は、遠慮や悪びれる様子もなく購入したおにぎりを外で堂々と食べていました。それは私にとって、とても不思議な光景に映ったと同時に、日本の接客は買物の金額に左右されないことが分かった瞬間でもあり、本当に驚きしました。

あの時の経験があってから、それまでコンビニの接客に負担まで感じた部分が解消し、私も日本人と同じ感覚でコンビニを利用できるようになりました。

◉スーパーの少量販売について

来日して学生の頃は自炊生活をよくしていました。初めてスーパーの少量販売を見た時は本当に不思議に感じました。何でも非常に少量です。

肉はグラム単位で販売し、果物や野菜は1個ずつあるいは1束ずつで販売しています。
来日以前は母国でいつもキロ単位で買物をしてきた自分からすると、とても不思議に感じたのです。スーパーの少量販売は私にとって異文化を感じた部分でした。

私の母国の常識からすると、少量で物を買う人は、周りから嫌がられることがとても多いのです。理由は、「少量購入を望む客にまでわざわざ接客をするなんて非常に面倒臭い」といった慣習・風土があるからです。
日本のおでん屋さんに行って、様々なものが置かれてあるのに、その中から一つしか注文しない場合、何となくこちらが気を遣うことがあります。例えるなら私の母国での接客はそんな感覚と似ています。

そんな中で、日本の少量販売をとても不思議に思ったのです。最初の頃は、大量購入が普通だった母国の頃の感覚があり、スーパーへ足を運ぶ頻度・目安がつかめず、食材料が足りなくなりお腹を空かせる日も多くありました。しかし今は、多様で新鮮な食材を必要量購入する習慣が身につき、逆に満足しています。

ところで、日本の場合、食材を保存する場所は基本的に冷蔵庫ですが、大量売買がまだ主流である私の母国:内モンゴルにおいては、庭に5メートル程の深さの「菜窖:ツァイジョ」と呼ぶ穴が掘られており、様々な野菜や果物を一度でも何百キロ以上も購入して、その中で保存しています。

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◉ ラーメンを食べる際のすする音(ズルズル)について

初めて日本のラーメン屋を訪ね店内でズルズルと音を立ててすすりながらラーメンを食べる日本人を見た時に本当に驚きました。
音を立てて食べることは周囲が非常に不快感を覚えるのではないかと思っていたので、ズルズルと麺をすする音を聞いた時に、いったい何事かと思いました。

この食べ方は最初、音を立てて食べることはイタズラというか、日本人のストレス解消の一つの手段かと思っていました。
日本人は普段から礼儀正しい印象が強いです。挨拶の際のお辞儀、表情の柔らかさ、姿勢の正しさ、笑顔の時に人に見せる歯の本数まで意識する日本人が、ズルズルと音を立ててラーメンを食べる様子にとてもギャップを感じ不思議に思ったのです。
そして、その姿は私の「礼儀正しい日本人」という印象からは大きくかけ離れたように映り、美味しそうに一心不乱に麺をすする姿に新鮮さを感じました。
これらはラーメンを初めとする日本人特有の麺類の食べ方であり、匂いや風味を感じやすく美味しく食べられるためでもあると後に知ることとなります。

来日して今年で十年目を迎えますが、今でもラーメンが大好きでラーメン屋によく足を運びます。
大好きなラーメンが食べたいのはもちろんですが、すすりながら麺を食べる光景を今でも楽しんでいます。周囲を気にすることなく、個々が目の前のラーメンと会話しながら食べているようにも映り、よく見ると細かい部分で三者三様の食べ方があることに気付きます。その人らしさみたいなものもが見られるところも面白いですし、その部分だけを切り取れば、日本人の礼儀正しさなどを感じることは無く、ただ大好きなラーメンを無心ですすっている様子は、私が日本で見た珍しい光景として今でも鮮明に記憶に残っています。

Text by 林(リン)

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