間伐の作業手順メモ(林産)

伐倒

(事前準備)

・林産のときは玉切り予定地(目測で分かる)で切り易いように桟を敷いておく。
・伐倒方向に、伐倒木の桟になるように細い丸太を横にしいていた。玉切りのとき地面につかないようにと、枝払いのとき丸太を回しやすいようにするためと思われる。
・伐倒方向に丸太があったらよけておく。上に乗って滑る危険あるため。

(大径木)

・バーが届かないような太い木では、受口の水平切りを伐倒方向に立って横に切る。
・バーが届かない太い木は、伐倒方向に立って木に正対し、バー先端で受口の水平切りをし、斜め切りと追口はバーを順次回して切る。
・バーの背で追い口を回し切りしていくと、下に曲がって行きやすい。
・バーの先端を意識してチェーンソーを使う。
・伐倒で追い口はバーを受口の中心に直角になるように回して切る。切り株がすり鉢状になり、水が溜まるのがよい。元口側が膨らむように。
・傾きが大きい木は追い弦切り。弦を切り過ぎるとチェーンソーが挟まってどうにもならなくなる。木が太くてバーが届かない場合は、バチ(根張り)を追い弦に利用する。
・受口はバーが届くくらいの深さで小さめで、水平切りも地際から木の中心部に向かって下がり、斜め切りは水平切りとの為す角25~30°程度で小さい。受口側からも円弧状に芯を抜くので、切り株をみると受口が大きく見える。
・追い口は、弦を残したい方から突込み切りで弦を三角に残し、芯は伐りつつバーを回し、反対側の弦はクサビ状に薄く残し、チルで引いて傾いてきたら始めに残した弦を切り足す。
・最後の段階では、根張り(バチ)の出方によって、バチがちょうど弦となる場所に出ているときは追い弦を切るときのように斜め上から切り下げて弦を切ったり(裂け防止?)、弦の部分がへこんでいて、その手前にバチがある場合はバチを残してチルで引き、バチの部分を切りつつ伐倒方向をコントロールしていた。
・太い木を真っすぐ切るのは、バーの先端を先に切ってあとから根元側を切る感じで進むといい。
・スギ大径木の間伐は、わざと立木の枝に当てて枝払いするやり方もある。

・伐倒はここに倒すと決めたら迷わずに、念力ででもそこに倒そうとする。迷ってやると危険。

(クサビ)

・追口を受口に向かって下げて切るとクサビがよく効く。クサビに角度がつく(強く打ちこみやすい)のと、追い口の距離が伸びるため。
・クサビは3枚あれば何とかなる。1枚で倒れなかったら重ね矢。このとき下のクサビはできるだけ奥に差しこんでおいて上のクサビをたたく。それでもダメなら木でクサビ状の台をつくっておき、その上にクサビをさして起こす。
・(小径木)クサビが頭打ちにならないガターカッティングが有効な場合がある。
・クサビを重ねて打つ時は、チェーンソーで追い口の少し上に切り込みを入れてクサビを打つ(教科書では合わせ矢は禁止だが、この方法ならよい)。
・傾いた木は追口は圧縮側から切り込んでクサビを打つ。

(伐倒方向)

・街の伐採ではやや上に向けて安全を期すが、山の間伐ではドンピシャを狙った方がよい。
・木が凍ると枝がかたくなり、木の隙間に入れにくくなる。

造材

(玉切り)

・橋渡しになった材を玉切るとき、タンコロでつっかえ棒にしておくと切り易い。また、挟まれないようにクサビで鋸道を確保する。
・玉切りは脇をしめてチェーンソーがぶれないようにして切らないとずれる。上から(バーの腹で)切る時は反時計回りに、下から(バーの背で)切る時は時計回りにチェーンソーが周りやすい。(リアハンドルからバー先端をチェーンソーの軸を回転軸とする向きで)
・玉切りの切り口は末口側がきれいになるように気をつける。次の丸太の元口がきれいでも、下の丸太の末口に段差ができてはダメ。
・玉切りは上に切り込みを入れたら(印をつけたら)丸太の反対側に回って向きを確認するとズレが発見しやすい。
・玉切りは、上は少しだけ切って下から切る方がきれいにできる。上から切り込み過ぎると難しくなる。片持梁では逆に、下を少しだけ切って上から切る。
・玉切りは、上からと下から合わせた線が平行に一致するようにすると、点でなく線で最後まで支えるので裂けにくい。
・片持ち材の玉切りはツクを立てる。
・玉切りは脇をしめてぶれないようにして。大事な方の面にバーをピタッと当てて切る。
・用材の玉切りで、メジャーテープを張って当てて矢高をみた。(曲がりが丁度地面に対して横だったのでテープを横に当てて張った)

(枝払い)

・枯れて根元が残った枝も払う。長い枝は集材のとき引っ掛かるので半分にする。また、材が枝の下敷きになったら材が見えるようによけておく。
・枝払いは足を丸太にもらしかけるくらい近くに立って、バーの重みを丸太に預けるか、リアハンドルを膝や太ももで支えるようにする。両腕だけで支えると腕が疲れ、振動障害の元となる。また、枝を切る向きは縦(材の向きをチェーンソーの軸が平行になる向き)に切るとよく切れる。
・枝払いは丸太の丸みに合わせてチェーンソーを回しながらきるとよい。
・枝払いは、わざと1~2本枝を30cm位のこして切っておき、表の枝を払い終わったら切り残した枝を持って丸太を回転させ、裏の枝を払う。
・丸太が回らない時は尻を地面につけて足で押す。

(採材)

・採材は曲がりを抜いて3mか4mで採る。あまりに太いのと16以下12までは4m。
・今は値段が付かないため、大径材、天然木以外は元玉にハカマをつけない。
・余尺は3mと4mで10cm、6mで20cmなのは、6mは半分にして3m材にすることがあるため。玉切りが下手なら余尺15cmとる。
・柱材となる18~22cmは3m、それ以外の太さは4m。
・ハカマをつけると、製材所の判断で、ハカマの部分から製材したり、ハカマの部分を造作材のように使えるメリットがあるので単価が少し上がるが、材積の計算には入らないので、森林所有者へのサービスとなる。
・2mのケンタは根張りをつけて測り、根張りを落とす必要はない。
・根曲がりは落としてしまって直で取ったほうがよい。

集材

・架線集材では先柱にした木が出せないので1、2本は犠牲になる。
・架線は怖い。ひっぱりだこでも指を落とした人がある。
・丸太は集材しやすいようにトビで揃えておく。索道に対して直角(横引きしてから主策沿いに引く)
・自動で外れるフックは、荷が地面についてフックが押されると開く仕組みになっている。

林内作業車 単引き 積込み 椪積み

・丸太は運材車に対して斜めの角度で引いて積込む。
・積込む時、運材車のポール付近の隙間に入らないようにトビで誘導。
・トビの使用。丸太が転がらないようにさしておく、下敷きになった丸太を取りだす等。
・積込みは隙間がないようにトビで移動。運材車のステッキは外れることがあるので信用しない。
・斜面では、斜面上方に丸太が多く飛び出すように積む。
・丸太を椪積みする時、レールを2本直角に敷いてトビで転がして上げる。

スナビング式索張

・元柱、先柱の滑車の位置(右か左か)は先に見通せる所に立って確認しておく。
・横引きの時、元柱の方に斜めに引かれて立木に引っ掛かりそうな時は、主索から線対称に2つかけると、真横に横引きできる。
・ドラムが綺麗に巻き取れるかどうかは、運材車の位置と角度にかかっているようで、シビアに調整していた。
・線下から離れた材の横取りは、立木の上を通すか下を通すか非常に迷う場面が多々あった。
・材が引っ掛かると、すぐに止められないのでひやっとする。
・重力式タイラー(スナビング式)で、下げ荷の場合は荷が完全に浮き上がると元柱に滑り落ちてきて危険。搬器はロープ(人力)やヒッパリダコ、ポータブルインチで引きもどす。

ラジキャリ索張り

(組み立て、架設)

・切株にワイヤを巻く時、ワイヤの末端側が下になるようにしないと、ワイヤがかんで取れなくなることがある(本線)。
・滑車はピンがある方が内側(幹の方)に向くのが本来の付け方。ピンが外れても落ちないように。
・クリップは張力が掛かる側(末端でない方)にナットで締める方を合わせ、1個目はワイヤを巻く幹の直径の2倍以上離し、各クリップは1より(ストランド6本分)で締める。
・切り株の根っこをトンネル状に掘ってワイヤを通すと抜けない。切り株を突込み切りで切り抜く方法も。
・当て木は谷側が長いのが必要。
・リードロープ同士、リードロープと本線を結ぶのに、ワイヤのストランドを輪状にしたもの(そわ)を使用。本当は6重だが、滑車を通らないので3~4周。輪をつぶして使う。
・(本線を先柱側の控の株に結ぶ時)ワイヤを何周巻くというのは腹の側(手前側)から見て何重になっているか数える。U字に掛けただけでは0周。
・本線をリードロープでたぐって(動力は重機で押さえつけたラジキャリー)先柱まで来たら、3周分の余裕をみて止め、本線をロープでイワシ結びで固定してから緩め(重力で本線が引かれる)、リードロープと切り離し、リードロープはラジで回収。
・本線の固定は、切り株の根っこを掘っていない側から回すと、根っこをダイレクトに持ち上げる力が掛かりにくい。しかし、末端は下に下にと巻いて行くので、切り株でワイヤが交差する。
・テール線とは、エンドレスタイラーでの作業索。
・元柱があまりに太いので2人で向かい合って登って滑車等を設置。
・架線の架設。作業索を掛け渡して本線と作業索をチルホールで張りあげる。

(使用の段階)

・ラジキャリーの荷降ろしは荷上げ索を下げて材が地面について傾いたらラジ本体をウインチ側かエンジン側に送って向きを揃える。
・先柱側で横取りすると、ラジごと揺れてくるので、材の先端を地面につけて揺れを止めてから下ろす。
・荷掛けは材の6:4の位置がよい(宙吊り)。
・荷上げ索を巻き過ぎると降りなくなる(特に空荷の場合)ので注意。
・荷上げ索を巻いて行くと丸太がラジに激突することがある。(丸太が縦になってラジの下すれすれでもう一方が地面にあたると、ラジと丸太がぶつかり、最悪の場合ラジが本線から脱線することがある)
・荷を送ったら必ずリモコンを切る。
・リモコン操作は慣れてきたら2連動可能。
・索が緩んできたので張り直す。ラジに給油。
・荷を外して空荷でフックを上げる時、振り子になって本線の上を1回転すると戻せなくなるので、振れないようにゆっくり上げる。
・荷上げ索を上げる時、過巻きで食い込む
・応用:墓の上の広葉樹を伐倒(ラジで引き倒す)。斜面のヒノキ枝をラジで寄せる。
・(ラジキャリーで搬出するとき下げ荷で)段差は材が下りたら一旦巻き上げを止め、ブランと振れないように(材の端を地面につけて)する。搬出間伐の時振れると立木を傷める。
・朝、作業前に架線のチェック。クリップでとめた部分は動いていないか等。柱の木の根元に亀裂が入っていないか。
・集材で、台付をかけるとき、山側に回せる向きにする癖をつけておく。
・ラジで伐倒するとき、倒れて勢いでワイヤに衝撃荷重が掛からないように、斜め下に引くように滑車を通したり、倒れ始めたら一気に緩める。
・(横引きした材を土場に送る時、先柱側に向いたものは)3玉分もある(12m)材なら先柱側に送って(向きを本線の向きにして)ワイヤを掛け直すが、2玉分(8m)なら、横引きしながらラジを土場に送っていけば、うまく出せる。

(撤収)

・架線の撤収。本線と作業索を緩める。
・3tユニックで本線巻き取り(キトークリップ、滑車使用)。

(集材機)

・集材機で荷を吊って、リフチングラインを下ろす時、クラッチを先に繋いでブレーキを解除しないと、荷が急降下する恐れがある。メインクラッチは正転、逆転を切り変える時だけ踏む。
・主索の先柱。先柱から見て、主索が水平より上向きに張る場合は、ガイラインは先柱より遠い方に。主索が水平より下ならばガイラインは先柱より近い方(元柱側)に張る。
・エンドレスタイラーの横取りは、三胴の集材機ならば、ホールバックラインを搬器につけて、滑車を取って横に引き込める(「ホールバック」と言っても、横に引く)。横取りする場合はエンドレスラインは邪魔にならないように横によける。場合によっては主索の下(いってこい)でもよい。
・タイラーは集材機のドラム巻き取り数によって、スパンに限度があるが、エンドレスタイラーなら何百メートルでも可能。
・巻き取りクリップは電柱用。内側に薬品を塗ってあるが、何度も取ったりつけたりしていると薬品がとれてしまう。その薬品だけ売っているようだ。
・ロングスプライスは2・2・2の3つに割れと教科書にはあるが、3・3で割れば簡単で、1人でもできる。組みかえる時は、ストランドが動かせるならOK,動かないなら間違っている。


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