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ネタバレいっぱい海神再読第三十二回 七章2. 女官は何故反逆したのか。

サブタイトルにモブ登場…この女官は驪媚に相当する人だと思うので。

あらすじ:六太が意識を回復したのは驪媚の死の七日後のことだった。付き添っていた女官に促され、六太は城外へ逃亡するため城の地下に降りる。
女官は斡由に降伏を勧めるが、斡由は更夜に女官を連れていけ、と命じる。

●麒麟と血の穢れ

驪媚の血を浴びた六太は逃げるどころか七日意識不明だった。近くで流されたけど触れてない亦信の血でも寝込むんだから、当然かも。その間に斡由が悪心を起こさなくて運が良かった、というか、驪媚はそういう麒麟の体質を解ってなくて、単に憐れみ深いと思ってたのかも。
ところで「風の万里黎明の空」十一章3の景麒によれば、死者の血であっても怨詛なきものであれば臭い(=障り?)はごく薄いとのことである。驪媚の怨詛は濃かったということか。

●女官は何故反逆したのか

「王が真実何を行なっていらっしゃるか」深く考えもせずに短慮をした、と女官は言うけど、この人は尚隆が何を行なってると考えてるんだろう?
必要な(地官の帷湍が必要だと言うんだから真実必要なんだろう)堤を理由も告げず造らせず、元が乱を起こしてから大軍でやって来て、頑朴を水攻め出来る場所にだけ堤を造った、ってのは、元を嵌めようとしてるとしか思えないんだけど、そういう意味で言ってるなら凄い皮肉だけど、そうではなかろうし。
六太の考えのように、サボってたのをいまさら点数稼ぎ、ってのでもなかろうし。
堤を造る=正義、壊す=悪で、堤の場所は意識してないとか?
斡由ってば水攻めの心配、諸官に伝えとかなきゃだめじゃん…いや、知ってる白沢も同じ様なものだった。「天意を受けた王は正しいはず」という観念の強さと、ぶっちゃけて言うと、大軍に囲まれて負けそうだから斡由を切って王の味方になりたかったということなんではないか。
結局、斡由が天意を受けた王じゃないってことだよね。唯の仙だから、臣も自分の判断で自分の方針を変える。
逆をいうと、逆賊の主従の関係のいいところは天意に関わらず自分で決めたとはっきりするところ。この人も必死に考えたんだろうとは思う。

●「お前たちは私にどうせよと言うのだ」

六章3の台詞のリフレイン。元州諸官の中からも批判が高まり(ホント水攻めの事はホウレンソウしなよ…)、ここらからの斡由の心境を考えると楽しい。って鬼だな自分。
六章3の白沢の答は自分が犠牲になって斡由の命乞いする、だったけど、女官の答は「降伏なさいませ」それは五章3で更夜が言ったように、斡由が犠牲になれってこと。結果的に女官の言った通りになったんだけど、この時の斡由は更夜に女官を連れていけと命じてしまう。これは斡由の最後の過ちだったと私は思う。斡由の最終的目的が合理化しない判断ミス、という意味で。

●麒麟誘拐事件

六太が逃げたと聞いた時、捜せ、とすぐ命じている。六太は王を遠隔殺人できる、強力な人質だからね。斡由、誘拐犯だものね。

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