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ネタバレいっぱい海神再読第十二回 三章1.斡由は何故更夜を拾ったのか?

あらすじ:18年前、更夜は斡由に出会い、妖魔ごと斡由に拾われた。

●更夜の孤独

六太と別れてからの更夜。
・夢みてた蓬莱には行けないと教えられた。
・でも人恋しい。だから更夜という名前を忘れたくない。でも妖魔の大きいのは呼んでくれない。
・大きいのに人を襲わせたくない。だから自分で狩りをして人以外の餌を与える。
・でも大きいのといると自分も妖魔として攻撃される。
・大きいのと離れれば六太のところに行って人とともに暮らせるだろうか。
・でも大きいのとは別れられない。この妖魔は更夜を殺そうとしなかった最初の生き物だから。

更夜の八方塞がり感。妖魔と別れられない理由が悲しい。

●斡由

回想だけど斡由登場!

更夜に話しかけ、
餅(食べ物)を勧め、
名を呼び、
撫でて、
大きいのごと引取る。

最後以外は二章2の六太の繰返し。
斡由は唯の仙なのに、妖魔を警戒はしても恐れてはいない。冷静で興味深げ。妖魔に慣れてるって感じだ。攻撃と威嚇の違いが判るんだ。荒廃の時代に妖魔対策に明け暮れてた経験からってことだろうか。七章6尚隆と類似(尚隆は使令で慣れていた?)
斡由、武装して武装した部下を連れてたということは、妖魔を退治に来たんだろうな(身分高いのに自分で来たりするんだなあ)、なのに更夜が自分の知ってる妖魔と様子が違うから声をかけたんだかなあ。
ここの斡由は更夜の思い出補正もあるのか無茶いい人である。
頭を撫でたのは大きな温かな手だし、眩しい程の笑みを返してくるし。
大きな温かな手はずっと更夜が欲しかったもの。
更夜を捨てた母親の手や突き落とした男の掌じゃなくて街のこどもに与えられるような温かそうな手。

●斡由は何故更夜を拾ったのか?

更夜が捨てられ大きいのに救われたのがどこかははっきりしないけど「口減らしのために黒海に投げ込まれた子供」に言及したことからして、斡由は更夜を元州で捨てられた子と思ってたのかもしれない。斡由の力が足りなくて捨てられた子供。私は斡由推しですが、斡由は万能だなんて思ってないです。天意を受けた王が当てに出来ない時代に全力を尽くしただけ。で、更夜を拾ったのは自分の力不足に対する償いかも。更夜は腕にひどい怪我をしてたから放っておいたら生きられなかったろう。他の州では仕方ないと見捨てられたような民を救うことで自分を立ててきたのが斡由。
妖魔ごと拾ったのは更夜と大きいのの様子を見て、更夜の言うことが本当だと判断したからかな。様子を見れたというのがミソで、妖魔でさえ落ち着いて観察できる、てのが「豪胆で鳴らした」斡由なんだろな。
もちろん他の者が絶対救わないだろう子供を自分が救った、というのは斡由のプライドをくすぐったろう。利用することまでは考えてなかったと思う、この時点では。

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