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ネタバレいっぱい海神再読第十三回 三章2.斡由登場!

あらすじ:六太は元州城で斡由に出迎えられる。斡由は王に漉水治水をさせるため六太を元州に留めておくと告げ、六太は承知する。

●元州、頑朴

現在。空路元州に向かう途中の会話。キーポイントいくつか。
・更夜は拾われた三年後…つまり今から約十五年前に大きいのと共に護衛になった。
・斡由は大きいのに餌を与えさせたので、大きいのは人を食べなくてもよくなったが、護衛の務めのためには襲う(更夜が襲わせる)こともある。…ここで言っちゃってるんだよね。六太は普通に受け入れてる、亦信の護衛と同じ感覚で。
・関弓から元州頑朴までは徒歩なら一ヶ月かかるが、飛行系の妖魔や騎獣に乘れば四分の一日しかかからない。

話の後、元州頑朴到着。街は関弓より大きくよく整備され、周辺の山野も靖州より緑が多いという描写。斡由は謀反人だけど、元州を守ったという具体的な業績も持っている。
後に発覚することだけど、血塗られた迷宮の上に建つ垂直の州城が斡由の内面の象徴なら、水平に広がる豊かな元州もまた斡由の内面の象徴。

●斡由登場

んで現在の斡由登場。
・州侯の座についていた。
・六太を州侯の座に登らせ叩頭する…敬ってなくても頭は下げられる奴なんだよ。
・誘拐の目的を漉水治水を王に承知させるためとし、六太の合意を取り付ける。

物柔らかで礼儀正しく弁舌爽やか…だけど、良すぎて胡散臭い、正体不明の印象あるよね。

●尚隆は何故、漉水の治水の裁可をくださないのか

大河漉水の堤を切ったのは先王梟王。一章1の例から考えるに、不満を言った民の誅伐のため? 
以来人の住めない土地になってたのが新王の即位で帰国した民が開拓してかなりの里廬ができていた、てのは一章2でも記述されていること。
なんでそんなとこを開拓したかというと…ここから推測ですが…四分一令のせいではないかしらん? 「風の万里黎明の朝」一章3に出てきた尚隆の初勅。公地を四畝開墾した者に一畝を自地として与えるという…雁は空前の開墾ブームとなり、肥沃な土地が空いていて他州とくらべて落ち着いてた元州に帰国民が流れ込んだのでは? それで荒れ地が耕作できる土地になって、なのに堤を造らず造らせず、水害が起きたら全ておじゃんの状態が続いたら…元州も怒るわ。
で、その場合、斡由は尚隆をどう思うかというと…賢いとは思わないよね。いいことを思いついても後のことを放ったらかす、権力を振り回すだけの愚王だと。朝議に出ない等の噂も伝わってたら、ますます莫迦にしちゃうよ。そんな斡由が八章2で尚隆に直に対面するという仕掛けが大変大変素晴らしいのです。
さて話を戻して、治水放置への抗議には六太も同調。尚隆は要するに六太や臣にまともに向き合ってなかったってこと?(六太の認識ではそうだった)。
かくして斡由はやってることが誘拐と謀反準備なのに、まんまと六太を(この時は)丸め込むのだった。

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