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ネタバレ「東の海神西の滄海」+「漂舶」

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記事「ネタバレいっぱい海神再読」をまとめました! 「十二国記」の「東の海神西の滄海」の感想文、全章に渡って全伏線を拾ったつもり。クライマックス八章2と続編「漂舶」の謎を解け!
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#驪媚

ネタバレいっぱい海神再読 海神の謎に挑戦!

はじめまして。樹狐と申します。よろしくお願いします。 早速ですが、これから十二国記「東の海神西の滄海」(以下「海神」とする)のネタバレ再読感想文を始めます。 感想文といってもすごい長いです。各章の各区切りごと、ところによってはかなり長くなっています。あと海神の他の章のこととか、シリーズの他の話のこともでてきたりします。 なんでそうなるかというと、海神を綿密に伏線を張った精密機械みたいな物語と思ってるからです。ネタバレありありなんで、初読の方はシリーズを出来たら全部、最低「月

ネタバレいっぱい海神再読第十四回 三章3.赤索条の謎

あらすじ:尚隆の牧伯、驪媚も囚われていた。更夜は六太・驪媚・赤子に赤索条をかける。 ●赤索条の謎 麒麟の力を封じる赤索条。使い方はこう。 ・六太の額の角の箇所に白い石を当てる。 (六太は苦痛を感じる) ・石に赤い糸を渡して頭に結び押さえ、結び目に呪を唱える。 (苦痛はやみ、体の中に空洞ができた気がして麒麟の力が封じられた) ・赤子の首にも赤い糸を巻きつけ結んで呪を唱える。 ・驪媚の額にも白い石が赤い糸で括られている。 (麒麟の角のように仙も額に第三の眼があるが、それを封じ

ネタバレいっぱい海神再読第十五回 三章4.驪媚からみて斡由はどんなだったか。

あらすじ:驪媚が斡由を語る。 ●驪媚 尚隆の忠臣。先王の時代からの官吏で、昔は夫と子供がいたが、官吏になる時に別れてしまって消息も知らない…人生を仕事に捧げちゃった人なのだな。 個人的な侍官・下僕もいるが、おそらく皆捕らえられている。 ●驪媚からみた斡由 ・驪媚たちや他の国遣の官吏に酷いことをするような道を失った者ではない。 ・ものの道理を分かっているし、民のことをよく気に掛けている。 ・能吏で、ほとんど実権はないのに限られた権の中でよくやっていた。 …とかなり高評価

ネタバレいっぱい海神再読第十七回 四章1.激論!六太と斡由と驪媚。

あらすじ:六太誘拐翌日、元州城。六太と斡由と驪媚は激しく語り合う。 ●議題は王 斡由:王の治水放置への非難から始まって、太綱でさえ地方自治は認めてる。国府にやる気がないのなら州に、王にやる気がないなら官にさせよ。全権を委任する官を設けよ。 驪媚:王の圧政は天が麒麟を死なせて三年で止めるが仙である官は止められないから、天意なき官の統治は駄目。天意→麒麟→王は疑ってはならない理。 斡由:麒麟が決めた王が最善な保証はどこにある?誤った王が麒麟の死によって除かれるまで三年かか

ネタバレいっぱい海神再読第二十七回 六章1. 驪媚は何故、赤索条を切ったのか。

あらすじ:頑朴城、六太が捕らえられた二ヶ月後、頑朴の西の山の向うに王師が到着した。 戦の気配に苛立って尚隆を貶す六太に、驪媚は牧伯に任ぜられた時の事を話し、三官吏とからめて尚隆の王として優れた面を語る。それでも王である尚隆への不信を捨てない六太に、宮城に帰るよう告げ、赤索条を剥ぎ取る。 ●自己犠牲の是非 一般的には忠臣驪媚の感動的な自己犠牲…なんだろうけど、すみません、つっこみます。 私、実は自己犠牲による自殺てのが苦手で。そういうエピには反射的につっこんでしまう。本当に

ネタバレいっぱい海神再読 第二十九回 六章3. 斡由の信じたもの

あらすじ:牢屋に駆け込む更夜。赤索条から解放され、しかし驪媚の血を浴びて意識不明に陥る六太。 更夜の報告を受けた斡由と白沢の問答。斡由はまだ信じていた、民も説明すれば解ってくれる、と。 ●麒麟と血の穢れ 大きいのの警告にもかかわらず六太に駆け寄ろうとし、使令に襲われかけたにもかかわらず六太に呼ばれたら迷わず駆け寄る更夜はいい奴だ。 六太は血に弱い。血に触れたわけでなくても、近くで怨みをもって流血して死んだ者がいたら亦信の時のように熱を出して寝込むんだから、自分の身に血を浴